午年の守り本尊は智慧(ちえ)の仏「勢至菩薩(せいしぼさつ)」
2026年は午年。仏教では、「守り本尊」という干支ごとに担当の仏が定められています。
基本的には、生まれた干支ごとに決められており、一生涯その人を守ってくれる仏ではありますが、その年にゆかりのある仏としてお参りするのも良いのではないでしょうか。
それぞれの守り本尊は次の通り。
子=千手観音菩薩、丑・寅=虚空蔵菩薩、卯=文殊菩薩、辰・巳=普賢菩薩、午=勢至菩薩、未・申=大日如来、酉=不動明王、戌・亥=阿弥陀如来。
というわけで、今年の守り本尊は「勢至菩薩」ということになります。仏教や仏像に興味や信仰のある方でないと、耳なじみの薄い名前かもしれませんね。
智慧の象徴であるのが勢至菩薩。「智慧」とは、真実を見極め正しい判断をする力のことで、勉強などで得られる「知恵」とは異なります。御利益としては、智慧明瞭(本質を見極め迷いをなくす)・家内安全・除災招福とされる仏です。
筆者オススメ!都内の勢至菩薩を拝観できるお寺
そんな勢至菩薩ですが、単独で祀られる例はほとんどありません。阿弥陀三尊の脇侍(わきじ=水戸黄門でいうところの「助さん・格さん」的なポジション)として、観音菩薩とともに阿弥陀如来の横にいることがほとんど。
都内には、江戸六阿弥陀と称される阿弥陀如来像があります。江戸時代には、これらを参拝して回る巡礼が大流行しました。その中のひとつで、調布市にある「常楽院」には阿弥陀三尊として、勢至菩薩も祀られています。
中央に座すのが阿弥陀如来で、向かって右で蓮台を持っているのが観音菩薩。そして、左で合掌をしているのが勢至菩薩です。
その他にも、都内にはいくつか素晴らしい阿弥陀三尊を祀るお寺があります。筆者のオススメは、秘仏(毎年4月21日・22日のみご開帳)ですが、あきる野市の「大悲願寺」の阿弥陀三尊。
こちらの勢至菩薩は、鎌倉時代作と推定されるもので、凛々しい表情が特徴的です。
午年だから馬を頭に乗せた「馬頭観音」もゆかりの仏
勢至菩薩とともに「午年」にゆかりのある仏といえば「馬頭観音」です。観音菩薩は、聖(正)観音を基本として、十一面観音や千手観音など、さまざまな姿に変身して私たちを助けてくれようとします。
馬頭観音は、そんな観音菩薩の変身バリエーションのひとつ。頭上に馬の顔が表されているので、他の観音菩薩とも見分けがつきやすい像です。馬が、草原の草を食べ尽くすように、私たちの煩悩や災いを食べ尽くしてくれることを意味しているとされます。
また、穏やかな表情で表現される観音菩薩が多い中、馬頭観音は憤怒相(ふんぬそう=怒ったような表情)も特徴のひとつ。御利益は、厄除けや無病息災など。また、かつては馬は重要な移動手段でもあったことから交通安全や旅行の安全を祈願する方も多い仏です。
練馬区には珍しい姿をした馬頭観音が!
筆者がオススメする都内の馬頭観音は、練馬区の「本寿院」の像。通常は憤怒相をした観音菩薩の顔の上に馬の頭が乗っているのが一般的ですが、「本寿院」の像は馬そのものが法衣を着ている珍しい姿をしています。
なぜこのような像になったかは不明のようですが、本像が作られた江戸時代には農耕などにも重用された馬を供養するために、馬頭観音を祀る民間信仰が広まっていたようで、その一例なのかもしれません。
他にも、都内で拝観可能な馬頭観音はいくつかあり、「浅草寺」の駒形堂にも祀られています。縁日である毎月19日にご開帳され、その姿を拝観することができます。
また、馬が主役である競馬場には馬頭観音が祀られていることがしばしば。府中市にある『東京競馬場』の周りにも、数体の石像の馬頭観音があり、レース中の事故などで亡くなった馬を弔っています。
2026年という「今この年」にしかできないお参りがあります。
午年にゆかりのある仏像に手を合わせることは、今年を意識的に生きる、ひとつのきっかけになるはずです。新しい一年のはじまりに、仏像との静かな時間を持ってみてはいかがでしょうか。
写真・文=Mr.tsubaking








