人々の日常に寄り添い、約100年『タカセ 池袋本店』

モカパフェ950円。タカセオリジナルブレンド650円。
モカパフェ950円。タカセオリジナルブレンド650円。

初代が香川県高瀬町から上京し、あんぱんの製造販売を始めたのが大正9年(1920)。「創業時は池袋より大塚の方が栄えていたと聞いています」と、常務取締役の森弘樹さん。昭和10年(1935)頃には食堂(レストラン)、喫茶室も開いた、戦災により焼失。戦後再建し、昭和50年代に今のビルが建った。

現在、9階はコーヒーラウンジに。2階の喫茶室でモーニングをして、3階のレストランでランチを食べ、食後は眺望良好な9階でハンドドリップのコーヒーを、という一日満喫コースも可能だ。「長年営業していると人生の節目にも立ち会う」そうで、夜景をバックに婚姻届にサインするカップルもいたとか。帰りは1階の売店でお土産のパンを買うのも忘れずに。

入り口にもずらりとパンが並び、道行く人を店内へ誘う。
入り口にもずらりとパンが並び、道行く人を店内へ誘う。
9階のコーヒーラウンジはくつろげる空間。
9階のコーヒーラウンジはくつろげる空間。
ドリンクを注文すれば、1階のパンを9階で食べることも。
ドリンクを注文すれば、1階のパンを9階で食べることも。
本店含め、都内で5店舗展開。板橋には自社工場もある。
本店含め、都内で5店舗展開。板橋には自社工場もある。
コーヒーラウンジ入り口のサンプルを見ているだけで楽しい。
コーヒーラウンジ入り口のサンプルを見ているだけで楽しい。
9階の窓から、JR池袋駅東口の景色を見渡せる。
9階の窓から、JR池袋駅東口の景色を見渡せる。

『タカセ池袋本店 コーヒーラウンジ』店舗詳細

あらゆる人を受け止める特別な空間『皇琲亭』

アンブル ドゥ レーヌ850円。チーズケーキ570円。
アンブル ドゥ レーヌ850円。チーズケーキ570円。

1983年の創業当時、コーヒー専門店はまだ少なかった。そこでオーナーがこだわったのは、紀州備長炭を用いた炭火煎珈琲や貴重な古材をあしらった内装。「特別感を味ってもらうため、非日常を演出しました」。そう話しながら三浦研さんが作ってくれたのは、美しいアンブル ドゥ レーヌ。濃く抽出し、砂糖を加えたコーヒーに生クリームをのせた一品で、口の中で甘みと苦味がリズミカルに旋回する。

現在、訪れる人は以前より多種多様。アニメの推しのアクスタとコーヒーを写真に収める人がいるのは池袋らしい。読書する人、スタッフと会話する人などそれぞれ思い思いに、互いの時間を侵食しないように過ごす。それがまた、絶妙にいい。

椅子やテーブルは長野県の松本民芸家具のものを使用。
椅子やテーブルは長野県の松本民芸家具のものを使用。
店内の柱や梁(はり)は秋田の古民家から移築した年代物。
店内の柱や梁(はり)は秋田の古民家から移築した年代物。
扉にはめ込んであるエンボス加工されたガラスも印象的。
扉にはめ込んであるエンボス加工されたガラスも印象的。
コーヒーは注文ごとにハンドドリップ。アンブルドゥレーヌはグラスで提供。
コーヒーは注文ごとにハンドドリップ。アンブルドゥレーヌはグラスで提供。
運営しているのは、世界各地からコーヒー豆を輸入販売する『山下コーヒー』。
運営しているのは、世界各地からコーヒー豆を輸入販売する『山下コーヒー』。

『皇琲亭』店舗詳細

取材・文=信藤舞子 撮影=井原淳一
『散歩の達人』2025年11月号より