人々の日常に寄り添い、約100年『タカセ 池袋本店』
初代が香川県高瀬町から上京し、あんぱんの製造販売を始めたのが大正9年(1920)。「創業時は池袋より大塚の方が栄えていたと聞いています」と、常務取締役の森弘樹さん。昭和10年(1935)頃には食堂(レストラン)、喫茶室も開いた、戦災により焼失。戦後再建し、昭和50年代に今のビルが建った。
現在、9階はコーヒーラウンジに。2階の喫茶室でモーニングをして、3階のレストランでランチを食べ、食後は眺望良好な9階でハンドドリップのコーヒーを、という一日満喫コースも可能だ。「長年営業していると人生の節目にも立ち会う」そうで、夜景をバックに婚姻届にサインするカップルもいたとか。帰りは1階の売店でお土産のパンを買うのも忘れずに。
『タカセ池袋本店 コーヒーラウンジ』店舗詳細
住所:東京都豊島区東池袋1-1-4/営業時間:11:00~19:00LO(土・日・祝は11:00〜20:30LO)/定休日:無/アクセス:JR・私鉄・地下鉄池袋駅から徒歩1分
あらゆる人を受け止める特別な空間『皇琲亭』
1983年の創業当時、コーヒー専門店はまだ少なかった。そこでオーナーがこだわったのは、紀州備長炭を用いた炭火煎珈琲や貴重な古材をあしらった内装。「特別感を味ってもらうため、非日常を演出しました」。そう話しながら三浦研さんが作ってくれたのは、美しいアンブル ドゥ レーヌ。濃く抽出し、砂糖を加えたコーヒーに生クリームをのせた一品で、口の中で甘みと苦味がリズミカルに旋回する。
現在、訪れる人は以前より多種多様。アニメの推しのアクスタとコーヒーを写真に収める人がいるのは池袋らしい。読書する人、スタッフと会話する人などそれぞれ思い思いに、互いの時間を侵食しないように過ごす。それがまた、絶妙にいい。
『皇琲亭』店舗詳細
住所:東京都豊島区東池袋1-7-2 東駒ビル1F/営業時間:11:00~22:00/定休日:無/アクセス:JR・私鉄・地下鉄池袋駅から徒歩3分
取材・文=信藤舞子 撮影=井原淳一
『散歩の達人』2025年11月号より





