自然体で味わう異国の日常。オーストラリアの食文化を茅ケ崎で『SEEKER』
絵に描いたような雑居ビルの狭い階段を上がり、扉を開けると、途端に洗練された空間が広がる。都内で和食の料理人としての経験を積み、そののちにシドニーの老舗ロースタリー『メッカ』などでシェフとして3年半修業した後藤さんがオープンしたワインビストロのコンセプトは、ストレートに「オーストラリア」。目にも楽しい華やかな小皿料理は、現地の味をベースに、豪州産の自然派ワインとのペアリングを楽しむことができるよう、豊かなアレンジが施されている。「オーストラリアは移民の国。食文化も多様で、“これぞ”という伝統料理や味付けがないんです。だからこそ自由で、柔軟。そこが面白いと感じています」。スマートでありながら、どこか肩の力が抜けていて自然体。実に茅ケ崎らしい空気感が漂う。
『SEEKER』店舗詳細
現地の記憶を一皿に。本格エスニックが楽しめるビストロ『Lotus』
シェフの小島さんはイタリアンレストラン出身。エスニック料理にイタリアンの感性を掛け合わせた、大胆で新鮮なアレンジにそのセンスが光る。アジア各国で親しまれている料理への造詣も深い。「年に数回、東南アジア各国を現地調査のために訪れています。あるときは、ベトナムでフォーを何十杯も食べたり(笑)。またあるときは日本では見たことない料理ばかりを食べてみたり。本場のエスニック料理は、食材の使い方や組み合わせが日本人好みでも、味付けが口に合わないことも少なくありません。そういった料理を舌で記憶して持ち帰り、日本人の好みに合うよう、さらにお酒が進むような味付けにアレンジしています」。どの料理も濃い味付けではないものの、ハーブとスパイスがしっかり効いており、アジアのビールとベストマッチ。
『Lotus』店舗詳細
取材・文=重竹伸之 撮影=高野尚人
『散歩の達人』2025年7月号より





