時代が変わっても守り続けたい想い

JR五反田駅西口からほど近く、大手企業のビルが建ち並ぶエリアの一画に『カフェ ビアンコ』はある。外壁のブラウンと同系色にまとめた外観に、生い茂るグリーンの差し色が映える、少し大人な喫茶店という印象だ。店内も、ダークブラウンとアイボリーを基調とした落ち着いた雰囲気。ソファ席の後ろには、昔懐かしい漫画の名作がずらりと並んでいる。昨今の新型コロナウイルスの影響により、席数は以前より少なくしている。

営業日は平日のみ。朝7時から営業するこの店には、通勤途中の会社員たちがその日の英気を養いに次々と訪れる。モーニングセットやコーヒーなどと一緒に、それぞれが始業時間までの限られた時間を思い思いに過ごしているようだ。この店のモーニングは、トーストとサラダ、ゆで玉子、味噌汁、好きなドリンクがセットになっている。炭水化物やビタミン、タンパク質といった、栄養バランスにも富んだラインナップだ。

「せっかく食べてもらうんだから、栄養もちゃんと摂っていってもらいたいと思って」

店主である平山あきひさんのそんな想いから、オープン以来メニュー構成を変えずに提供し続けている。ランチメニューには、サラダのほかに野菜を使った煮物や酢の物などの小鉢もセットで添える気の配りよう。

モーニングセット500円~。

ランチメニューの自家製辛口カレーライスと鶏のから揚げランチは、この店の名物。カレーは、ルーのおかわりが1回までOKというサービスがあり、それを目当てに頼むお客さんも多いと言う。から揚げは、漬け込みダレから自家製というこだわりの一皿。ランチメニューは全品ライスとサラダ、小鉢、味噌汁、漬物がセットになっている。それでいて、価格設定は700~800円と良心的……!

今回は自家製辛口カレーライス 700円を頼んだ。

この店は、もともと平山さんのお母様がオープンした店だった。高知県出身の平山さんが東京の大学を卒業後、そのまま東京で就職したことがきっかけで、母娘一緒に上京。かつて喫茶店を営んでいた経験だけを頼りに、縁もゆかりもないこの場所での開業に挑戦した。それから2017年に引退するまで、29年間に渡ってお店に立ち続けたと言う。平山さんは、その意思を継いで、これからもオープン当初となるべく変わらないかたちで店を存続させたいと考えている。メニューはもちろん、タバコが大好きだったお母様への想いから、受動喫煙防止条例の施行後も店内での喫煙を可能にするよう奔走してきた。喫煙不可の喫茶店が増えてしまった中で、この店は喫煙者にとって貴重な存在だろう。

近隣のオフィスで働く会社員の常連が多い『カフェ ビアンコ』だが、コロナ禍の中でもお客さん同士の優しさや思いやりに助けられていると言う。例えば、席数を減らしたことで、ランチ時など満席になることが多くなっても、お客さん同士で席の譲り合いをするなど、気持ちのよいコミュニケーションが生まれているようだ。そう嬉しそうに話す平山さんの姿から、きっとそれは平山さんの人柄からくるものも大きいと感じた。どんなときもお客さんへの感謝を忘れずに、お母様がつくった店を守り続ける、店主のあたたかさが伝わってくる喫茶店だった。

『カフェ ビアンコ』店舗詳細

住所:東京都品川区西五反田2-9-7 ドルミ五反田アンメゾン 1F/営業時間:7:00~17:00/定休日:土日祝/アクセス:JR・私鉄・地下鉄五反田駅から徒歩3分

取材・文・撮影=柿崎真英