駅近のカジュアルイタリアン
店頭にはさまざまなパスタの写真が載ったメニューがずらり。今回はどれを食べるか迷ってしまう。平日の13時少し前、ランチタイムはもうすぐ終わりなのに、店内はほぼ満席。でも、待つことなくすぐに席に案内された。
近隣の会社員のグループなどで店内はにぎやか。女性や年配男性のおひとり様もいて、思い思いにくつろいでいる。下町っぽい雰囲気がなんともいい感じ。
ランチでも14種類のラインアップ
生パスタはランチタイムにも14種類がラインアップ。今日は4種類のパスタランチの中から、Aセットをチョイス。生パスタに、ミニサラダ、ドリンクバー、トースト類(この日はガーリックトースト)、そして食後のアイスクリームがついてくる。これだけ食べても1130円と驚きの安さだ。何よりドリンクも自分のタイミングで飲めるのがいい。アイスティーやジュースもある。
サラダは注文してすぐ、パスタやガーリックトーストも5~6分で届いた。出来たての生パスタは、中まで熱々でモッチモチ。乾麺のアルデンテのように芯がない。表面もツルツルしていないのでソースとよくなじみ、小麦の風味もふんわりと感じられておいしい。トマトソースも辛すぎず、手作りの優しい味がする。
ガーリックトーストは、中までたっぷりニンニクバターが染みていてこれも熱々だ。アイスクリームは、パスタ皿が下げられたタイミングで持ってきてくれた。
こうしたスムーズな接客だから混雑時でもあまり待たされることなく食事をいただけるのだろう。あまり時間がないランチ時にはうれしい限り。
店主の伊藤雅一さんは、2009年にこのお店をオープンした。それまでは和食やイタリアンなどさまざまなお店で料理人として経験を積んできたそう。上野にお店を出したきっかけは、妻の実家があったから。それにしても、なぜ生パスタだったのだろう。
「生パスタは日持ちがする乾麺と違って、冷蔵して1週間ぐらいしか持たないんです。工場から仕入れていますが、乾麺よりも2倍の値段はします。1食が80gだとして乾麺は50円くらいですが、生パスタですと100円近くします。それでも生パスタにこだわった理由は、他の店であまりやっていないことをやりたかったことと、やっぱりおいしいんですよ。食べてもらったらわかると思います」と伊藤さん。
お値打ち価格の秘密は手作りのソース
「低価格で提供できる理由は、ソースを全て手作りしているからです。出来合いのものを使うと、こうはできません。ランチメニューは14種類ですが、グランドメニューは50種類ものパスタがあるんですよ」と続ける。50種類とは驚きだ。
「品質の高い生パスタをここまで低価格で出しているのは、東京では他にないんじゃないかと。他の店ですと、安くても1皿1000円以上はすると思います。生パスタは水分が多いので、時間が経ってしまうと、くっついてしまうようなところがあるんですが、その分、出来たてを食べてもらうと乾麺とは全然違います。今、一番安いペペロンチーノは580円ですが、オープン当初は400円だったんですよ」
400円は安いですね!
「高くて旨いのは当たり前じゃないですか。この値段でこのクオリティのお店はないから、幅広いお客さまに来ていただいてるのだと思います。ランチですとOLさんもたくさん来ますし、家族連れやカップルも来たり、夜は宴会もあります。夜は飲み放題もあるんですよ。そういう飲み放題やパーティー需要もあります」と伊藤さんは続ける。
人気のあるパスタはどれでしょうか。
「面白くて人気があるのは、ちょっと辛いカルボナーラとか、コッテリした2種のチーズや、オーソドックスにほうれん草和風味とベーコンのペペロンチーノですね」
グランドメニューを見ると、生パスタにも、ほうれん草を練り込んだ緑色のフェットチーネや、ペンネなどさまざまな種類のほか、豆乳のクリームスープパスタなどバラエティも豊富。人気のシーザーサラダは、ランチ時にはプラス100円でミニサラダから変更できる。
パスタの大盛りは150円なので、がっつり食べたい男性客にもうれしい。仕事の合間のささっとランチはもちろん、混雑していない時ならサラダからデザートまでゆっくり味わいながらおしゃべりを楽しむのもおすすめだ。
取材・⽂・撮影=新井鏡子 構成=アド・グリーン