『旧神谷傳兵衛稲毛別荘』“日本のワイン王”による洋館別荘[京成稲毛]
電気ブランでおなじみの浅草『神谷バー』や、茨城県牛久のワイン醸造所『シャトーカミヤ』の創設者・神谷傳兵衛の別荘。大正7年(1918)に建てられた洋館で、天井飾りや欄間などにブドウの装飾があしらわれているのも見どころ。入館無料。
・9:00〜17:00最終入館、月休。
・☎043-248-8723
『はせぱん』行列の絶えない、かわいいパン屋さん[稲毛]
住宅地の中にある人気店。ゴロッとフルーツがのったデニッシュ、自慢のバケットを使ったボリュームたっぷり週替わりサンドイッチなど、見た目から食欲をそそるパンがズラリ! 人気のあんぱんシリーズは1人5個まで。
・9:30~なくなり次第終了、日・木休。
・☎043-307-8708
『並木酒店』神谷傳兵衛ゆかりの洋酒ならココで[京成稲毛]
せんげん通り商店街にある、昔ながらの酒屋さん。稲毛にゆかりのある神谷傳兵衛が生み出したブランデーベースのカクテル「電気ブラン」や、ハチミツや漢方薬を加えた甘いワイン「蜂印香竄葡萄酒」も扱っている。
・10:00~19:00、不定休。
・☎043-243-9204
『稲毛園』稲毛で90年、3代続く老舗茶舗[京成稲毛]
「地元の水に合わせたお茶を作っています」というのは3代目店主・海寶(かいほう)周一さん。静岡の本山、掛川、榛原、藤枝、さらに、京都の宇治の茶畑に足を運んで厳選した茶葉をブレンドして販売。オリジナルの電気ブランケーキも人気。
・10:00~19:30、日休。
・☎043-243-9218
『千葉市ゆかりの家・いなげ』ラストエンペラーの弟夫妻が居住[京成稲毛]
大正から昭和にかけて海岸沿いの松林を中心に建てられた別荘の1つで、昭和12年(1937)には、中国清朝のラストエンペラー愛新覚羅溥儀(あいしんかくらふぎ)の実弟である溥傑(ふけつ)と妻・浩が半年ほど滞在し、新婚生活を送ったという。入館無料。
・9:00~16:30、月・祝休。
・☎043-244-5370
『ソルヌン』並んででも食べたい! 平壌冷麺[京成稲毛]
北朝鮮出身のムン・ヨンヒさんと、稲毛出身の勝又成さん夫婦が営む、韓国焼き肉・平壌冷麺の専門店。ソウルの1号店が成功し、2024年3月、勝又さんの地元である稲毛に日本1号店をオープンした。
・11:30~14:00LO、17:00~20:00LO(火はランチのみ)、水休。
・☎043-216-2866
『haleaina』アロハな雰囲気漂うカヌレ&洋菓子店[稲毛海岸]
よつ葉の発酵バターとマイヤーズラムなどこだわりの素材で作った、外はカリカリ&中はしっとりのカヌレが評判。限定フレーバーを含む7種類が店頭に並ぶ。店名も内装も、オーナーの秋本直美さんが大好きなハワイにちなむ。
・11:00~18:00、月・火・木休。
・☎043-310-3525
『COROLA(コロラ)』いろんな“おいしい”を一皿で![検見川浜]
都内の和食や創作フレンチ、スペインバルで経験を積んだオーナーシェフの吉村英恵さんが営むカフェダイニング。ランチは日替わりの約8種類からメインをセレクト。種類豊富な総菜とともにワンプレートで提供。
・11:00~17:00、月休(月が祝の場合は翌火休)。
・☎043-277-5055
海辺の穏やかな気風が訪れる人を優しく包み込む
東京駅から総武線快速に乗って約40分で稲毛駅へ。かつて、稲毛の海岸沿いには別荘が点在し、別荘風旅館「海気館」をはじめ多くの旅館が立ち並んだ。「海気館」には森鷗外や島崎藤村など文人たちも滞在したというが、都心からすぐに行ける気軽さもあったのだろう。
稲毛駅を出て向かったのは、地元の人気ベーカリー『はせぱん』。開店前から行列! 地元の常連さんたちが「今週のサンドイッチ食べた? 生ハムの」「まだよ。今日はあんぱん狙い」なんて会話しながら心待ちにしている。常連さんおすすめの生ハムとカマンベールのバケットサンドは、優しくて飽きのこない味。これは通いたくなる。
続いて京成稲毛駅前、稲毛せんげん通り商店街へ。「昔は海水浴場へと続くメインストリートでした」と老舗茶舗『稲毛園』の店主・海寶さん。稲毛せんげん通りを進むと、この先は海!ではなく、今は国道14・357号。埋め立てにより海岸線は約3km先へ移動したが、国道沿いには『旧神谷傳兵衛稲毛別荘』や『千葉市ゆかりの家・いなげ』など、往時の面影を伝える貴重な別荘建築も残っている。
穏やかな気候の影響か、稲毛の人はとても温かい。平壌冷麺が人気の『ソルヌン』のオーナーシェフ・勝又さんは稲毛出身。ソウルで出会った北朝鮮出身の妻・ムンさんとともに帰ってきた。「体調を崩したとき、お客さんが心配して甘いものを差し入れしてくれて。稲毛の人はみんな優しい」とムンさん。
そういえば、まだ海を見ていない。なのに、どこに行っても海を感じたのは、この街にゆったりとした海辺の時間が流れているからかもしれない。文豪たちも、この空気に癒やされたのかな。やっぱり海が見たい。いなげの浜に寄って帰ろう。
取材・文=瀬戸口ゆうこ 撮影=鈴木奈保子
『散歩の達人』2024年8月号より