から揚げ専門店があるなら生姜焼きもあり!
「このお店をオープンさせたのは2020年ですが、その時すでにから揚げ専門店がブームだったんです。そこで、から揚げ専門店があるならウチは生姜焼き専門店でいこうと思いました」と、オーナーの神崎さんは話す。
すでに居酒屋を中心に3店を展開しており、『いかがで生姜?』は満を持しての定食屋の開業だった。「生姜焼きが嫌いな人っていないでしょう? 何より私が好きなんですよ」とあくまで生姜焼き推しだったという。
生姜はすべて高知県産の黄金生姜を使っている。その名の通り、鮮やかな黄金色をした生姜で、生姜の有効成分である辛味や香りの成分が一般の生姜より強いことが特徴。パンチの効いた味は、一度食べたら忘れられない個性の強さ。そんな黄金生姜を皮ごとミキサーにかけて粗みじんにし、たっぷりと使っている。
定番の豚の生姜焼きの豚肉は、秋田県産のSPF桃豚。柔らかくて脂身は甘みがあるブランド豚だ。食べてみると程よい弾力が感じられ、脂とのバランスもよく味わい深い。甘辛いタレとよく絡むので、ごはんが進むこと間違いなし。
豚の生姜焼きメニューはほかに、濃厚な味のブランドポークを使ったむさし麦豚の肩ロース生姜焼き定食1540円もあるので、ぜひ食べ比べてみたい。
中まで柔らかい厚切り豚の生姜焼きは絶品
そんな自慢の生姜焼きのなかでも、おいしいと評判の「厚切り豚の生姜焼き」は店イチオシの一品。
早速いただいてみると、食感も柔らかく中までジューシーだった。1cmほどの厚みの豚ロース肉はきめ細かい肉質で脂も多すぎず、生姜の辛さと上品にマッチする。まるで極上の豚ステーキを食べているような、ごちそう感覚の生姜焼きだ。この肉の柔らかさの秘密は真空低温調理にあるという。
「肉は温度が高いとどうしても固くなってしまいます。そこで、肉を真空状態にしてからスチームコンベクションオーブンを使い低温でじっくり火入れしたところ、柔らかく仕上がったんです。何度も実験を繰り返していくなか、低温で100分近くかけて火を入れると理想の柔らかさになるという結論に到達したんです。タレもいろいろと組み合わせ、試行錯誤しながらこの味に決まりました」と神崎さん。
神崎さんとともに、梅澤店長ほか、立ち上げスタッフが開発に関わった。手間暇をかけて作り上げた味なのだ。
脂がのったサバも生姜焼きで豪快に
魚の生姜焼きは、当初は鮭でいく予定だったとのこと。「あまり大きな鮭がなくて、生姜焼きには物足りないなと思ったんです。そこでサバがいいかなと。私が基本的にサバが大好きなので、じゃサバで、と(笑)」と神崎さん。
大きさにこだわったというサバはボリュームもたっぷり。このサバもスチームコンベクションでふっくらと仕上げている。タレと一緒にいただくと、ガツンと生姜の辛さと香りが口の中に広がり、タレの甘味とのバランスも絶妙だ。そのインパクトのある味が、肉や魚の脂を洗い流してくれるような爽快さを生み出している。
このほかには鶏の生姜焼きもある。しっとりと焼き上げた鶏の生姜焼きは隠れた人気料理。こちらも定食で990円とお得な価格だ。
意外と奥行きのある店内。奥には個室も
外からはカウンター席しかないように見えるが、ゆったりと座れるテーブル席、奥にはパーテーションで仕切られた個室もある。
昼の営業時間は16時までで、ランチタイムを外しても食べられるのがうれしいポイント。メニューには、生姜焼きのほかにカレーや丼、コロッケなどの揚げ物もラインナップされ、生姜焼きと組み合わせて楽しめるメニューも豊富だ。仲間とがっつり食べたいときにも、1人でサクッと食べたいときにも立ち寄れる使い勝手の良い店なのだ。
テイクアウトの窓口もあるのでお弁当の持ち帰りもOK。夕食の総菜としてもおすすめしたい。
取材・⽂・撮影=新井鏡子 構成=アド・グリーン