テイクアウト専門店から再び待望のカフェへ
2015年にオープンした『Cafe Orbit』は、2021年までは現店舗の隣のビルで、軽食もできるカフェを開いていた。
2021年12月に現在のビルに移転。コロナ禍ではテイクアウト専門店として営業していたが、2024年1月に、店内で飲食もできるスペースを新設し、再びカフェとしてリニューアルオープンしたのだ。
店名の“Orbit”には、惑星の軌道という意味がある。
惑星が軌道をえがくように、お客さんの生活の中でひと休みしたい時に戻ってくる場所になりたいという店主の願いから名付けられた。
お店に入ると、店主の渡辺雄貴さんと妻の恵美さんがとびっきりの笑顔で出迎えてくれる。
旧店舗では、渡辺さんとお母さんでお店に立っていた。恵美さんは店主のお母さんの元でお菓子作りを学び、今は夫婦でカフェを切り盛りしている。
2人掛けのテーブルセットが5セットとアットホームな店内。ナチュラルテイストの内装で、ほっと一息つきたい時にピッタリ。
学生から年配の方まで、お客さんの年代は幅広く、男性が一人でも入りやすい雰囲気だ。
ラテアートでほっこり笑顔に!
看板メニューは、エスプレッソマシンで入れるスペシャリティコーヒーだ。ミルクが入った時に甘みが感じられるような、オリジナルでブレンドしているという。
苦味の少ないカフェラテは、コーヒーが苦手な方も楽しめそう。
カフェを地元で開くのが夢だった渡辺さんは、大学卒業後に飲食系の専門学校でカフェの経営を学んだ。青山のカフェで働いていた時には、ラテアートの大会にも出場していたほどの腕前。
コーヒーの上にピッチャーでミルクを注ぎながら、綺麗なハートとリーフ模様を描いてくれた。
「ラテアートを見るとお客さんが笑顔になってくれるのがうれしい」と渡辺さん。
妻の恵美さんは、フォームミルクをピックでなぞり、絵柄を描くのが得意。
かわいい猫のラテアートを見れば、思わず笑顔になってしまうだろう。
飲むのがもったいないくらいかわいいカフェラテは、ミルクがふわっとしていてクリーミー。
砂糖を入れなくても甘みがあるので、アートを崩さないで飲める。
時間がある時は、店内でラテアートを眺めながらゆっくりと過ごすのがおすすめだ。
母から受け継がれたレシピ
移転前のカフェでは、渡辺さんのお母さんが軽食やお菓子を作っていた。新店舗への移転を機に、恵美さんがレシピを受け継いで、焼き菓子を作っている。
移転前の店舗から通う常連客も「前のお店から変わらず、優しい味でおいしい!」と評判だ。
最近人気があるのは、キャロットケーキ500円だ。シナモンが効いたしっとりとした生地の上にチーズフロスティングがたっぷり。
ほどよい甘さと絶妙なスパイシーさが合わさり、クセになりそうな味だ。
地元で愛されるカフェとして、長く続けていくのが夢
渡辺さんは、平日は実家の電気店で働いている。まだ子どもも小さいので、今はカフェのオープンは土日のみ。
これから少しずつメニューを増やし、無理のない範囲で徐々に営業日を増やしていく予定だ。
「この場所で、人とのつながりを大切にしながら、長く愛される店にしたい」と想いを話す。
取材した土曜の午後は、買い物帰りのママさんや子連れのファミリーなどが次々に訪れ、コーヒーを買いながら、渡辺さん夫妻に近況報告をしていく。
陽だまりのような笑顔の夫妻と話していると、ついつい長居をしてしまう心地よさがあった。
居心地の良い空間とかわいいラテアートは、あなたの心をなごませてくれるだろう。
取材・文・撮影=濱田美枝