ムーミンバレーパーク[飯能]
大人だからこそ味わえる、深い物語の陰影
2019年、埼玉県飯能市の宮沢湖のほとりに出現した「ムーミン」のテーマパーク。
日本人にとって「ムーミン」といえばあのテレビシリーズの印象が強いので、ほのぼのとしたいわゆる癒やし系の世界観を創造する人も多いと思うがさにあらず。ここで展開されるのはむしろトーべ・ヤンソンの書いた原作全9作に忠実な世界感。ときに洪水が起こったり、彗星が落ちてくる恐怖にみまわれたり、一家で灯台に移住したりと、いろんな困難を乗り越えて成長していく深い物語で、そのエッセンスがあちこちに散りばめられている。
もちろんムーミンの家や灯台、水浴び小屋などシンボル的なランドマークはある。フィンランド語で体験を意味する「コケムス」や「リトルミィのプレイスポット」「海のオーケストラ号」など子供が楽しめるアトラクションや「エンマの劇場」もある。しかし、それだけでは終わらない。一つひとつに意味があり、全体で小説版ムーミンの世界観が作られていることを忘れてはならない。
パーク内ではお酒も楽しめる。
トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園[飯能]
パラレルワールド感が漂うもう一つの公園
飯能にはもう一つ、ムーミンパークのような公園がある。
西武新宿線飯能駅から南東へ3.7km。異色の建築家・村山雄一の手による建造物が入間川沿いに4棟立っている。もしかしたらこちらのほうがムーミン谷感があるかもしれない。
開業は1997年。当初は大人の事情で公園名に「トーベ・ヤンソン」の文字はなく、「あけぼの子供の森公園」とそっけなっかった。ちなみに村山はドイツの神秘主義者で教育者・ルドルフ・シュタイナーの影響を色濃く受けており、それぞれの建物には、ムーミンをイメージしながらも完璧なまでの村山(≒シュタイナー)独自の神秘主義的世界感が実現されている。ヤンソンの名前がなかったのもうなずける。
長時間いると頭がクラクラしそうだが、この完成度で入場無料というのは素晴らしい。
ロバーツコーヒー[麻布十番ほか]
ロバーツコーヒー[麻布十番ほか]
北欧屈指のコーヒーチェーンで、フィンランドのほか、世界に100店舗以上を構えている。
コンセプトは「自由に」「シンプルに」「ナチュラルに」。フィンランド人は、1日に6~7杯のコーヒーを飲むといわれ、フルーティな浅煎りの豆が特徴的。
普通のドリップのほか、ハンドドリップもあり、こちらは5分ほどかけてじっくり淹れてくれる。浅煎り、深煎り、デカフェ(カフェインレス)から選べるのもいい。オレンジシロップを使うアペリキンシスなどのエスプレッソラテや、自家製シナモンロールや北欧ブルーベリータルト、プッラやジェッラなど北欧の伝統的スイーツもおすすめだ。
飯能の『ムーミンバレーパーク』に隣接する「メッツァビレッジ」のほか、麻布十番と、相鉄線天王町近くの「星天qlay」に店舗を構える。
KIELO COFFEE[秋葉原]
北欧気分を味わえる人気のカフェ
秋葉原駅から徒歩5分ほど、昭和通り沿いにあるカフェ『KIELO COFFEE』。
「KIELO」とはフィンランド語でスズランのこと。フィンランドの国花でもあるスズランの花言葉は「再び幸せが訪れる」。一杯のコーヒーから幸せの花を咲かせるとの思いから店名になったという。
アクセントに北欧家具も取り入れた店内は、白地とウッドのシンプルな内装。オーナーが実際に訪れたフィンランドの家庭を再現しているそうで、居心地がいい。
人気のフルーツサンドや自家製チーズケーキとともに、至福のコーヒーブレイクを過ごせる。
スパメッツァおおたか 竜泉寺の湯[流山おおたかの森]
ドラゴンロウリュと水風呂で極上の“ととのい”体験を
流山おおたかの森に2022年4月27日にオープンした『スパメッツァおおたか 竜泉寺の湯』。店名は「スパ」と、フィンランド語で「森」を意味する「メッツァ」を組み合わせたもので、高濃度炭酸泉や温泉、サウナと水風呂などが楽しめる。
『竜泉寺の湯』の代名詞ともいえる炭酸泉を使用した湯船は男湯に4つ、女湯に5つと多彩だ。
この施設の自慢の一つがサウナと水風呂。内湯内にあるドラゴンサウナでは、世界No.1シェアを誇るフィンランドのハルビア社のストーブが5台並ぶ圧巻の光景が広がる。
充実の『スパメッツァおおたか 竜泉寺の湯』で、極上の“ととのい”体験をぜひ。
丹波山温泉 のめこい湯[山梨]
人口520人の丹波山村が、テントサウナの聖地に!
2000年に湧いた湯に、初めて触れた村人の第一声が「のめっこい」。“つるつる・すべすべ”のことで、“人と人が仲良くする”という意味もある。源泉は『道の駅たばやま』の駐車場で、地下1500mから湯をくみ上げ、多摩川の源流・丹波川にかかる吊り橋を利用してポンプで送っている。
開業20年を超えた2021年、野崎喜久美さんが総支配人に就任した。パワフルな野崎さんは村の若者らと“のめっこく”なり、一緒に新企画に挑む。その柱が設営、薪割り、ロウリュまでセルフで楽しめるレンタルテントサウナで、「早くもテントサウナの聖地と呼ばれます」と野崎さん。
フィンランド発祥といわれているテントサウナ、目下、『丹波山温泉 のめこい湯』でもリピーター増加中だ。
文=武田憲人(統括編集長)