村瀬秀信(TOP写真左)
『散歩の達人』チェーン店担当。大洋ホエールズ最後の日、ハマスタでの応援姿が新聞に掲載される。著書に『4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ 涙の球団史』(双葉社)など。
かつとんたろう(TOP写真右)
『散歩の達人』とんかつ担当。同級生に田代富雄の親戚がいたことから大洋ファンに。最もベイスターズが弱かった時に最もハマスタに行っていたことで、人生の歯車が狂い始めた。
「あの信号で焦らされる感じ、いい球場の条件だよ」
かつ ハマスタに来るときは関内駅からが多いと思うんですけど、村瀬さんはそれ以外の駅からも来ることってあります?
村瀬 ありますよ。日本大通り駅とかも使いますし。
かつ でも村瀬さん、関内駅のとこの横断歩道で道向こうのスタジアムを眺めながら待たされるのがいいんだ、って話をよくしてるじゃないですか。
村瀬 おれ、子供の時からそう思ってたんですよ。ああいうのがやっぱいい球場の条件だよ。あの信号で焦(じ)らされる感じ。
かつ それすごくわかるんですけど、ひとつ不満があって。横断歩道渡ったところってスタジアムの正面じゃないでしょ。
村瀬 ああ、なるほどね。今はゲートっぽいのもできて、正面感は出てきたけど。
かつ 横浜スタジアムができたのは1978年なのに、その前にあった横浜公園平和球場と正面が同じ方向を向いてるんですよ。関内駅ができたのが1964年だから……。
村瀬 えっ、関内駅ってそんな新しいの? だって隣の桜木町駅って初代の横浜駅で、明治時代に日本で最初にできた駅でしょ。
かつ そうですよ。根岸線ができたのって結構新しくて、それ以前は横浜市電が球場までの主な交通手段だったんです。それで平和球場の最寄りの電停が花園橋で、桜木町方面から来る市電と大さん橋方面からのが交差するところにありました。そこって、例の横断歩道の先の交差点なんですよ。だから平和球場がそこを正面にするのはわかるんですけど、関内駅ができた後のハマスタもなんでそうしちゃうかなって。
二人が試合日によく立ち寄るのは①
中華街とベイスターズ コロナ明けは明るいぞ!
かつ しかし関内駅とか日本大通り駅が横浜スタジアムに行くだけなら便利ですけど、ぼくは元町・中華街からってのも好きなんですよ。買い食いしたり観戦する時のおやつを買ったりしながら球場に向かう感じ。この『牡丹園』もありますしね。店内のサインや旗もすごいですけど、店の外のディスプレイにもいろいろ飾ってあって。
村瀬 それに何食ってもうまいんだよね。フツーにおいしい店なのに、むしろベイスターズが邪魔してたんじゃないかって思っちゃいますよ(笑)。結構勝ってる今はともかく2003年前後の暗黒時代なんてねぇ。ここ、その頃からファンの溜まり場になってて、この店で知り合って仲良くなった人もいますよ、おれ。あ、壁に飾ってある三浦さんのユニフォーム、サインの日付が引退の日だ。
牡丹園・林さん そうなんですよ、引退試合のときに着ていたものにサインを書いていただいて。
村瀬 すげぇ。どんだけ濃いんですか、ここのつながり。
林 でもファンの人たちにも、うちはすごく助けられてますよ。特にデーゲームだと、試合が始まる前にも後にも、両方いらしてくださるお客さんもいらっしゃいますし。試合中だけが暇な時間で(笑)。
村瀬 しかし昔に比べるとほんとに中華街もベイスターズ色が出てきたよね。日本ハムから森本稀哲が来たときは、『関帝廟』でラーメンマンの格好してましたし。
かつ あと育成で台湾人選手が何人か来たとき、王溢正(ワン イーゼン)とかだったかな、あのときは彼らのポスターが中華街中に貼られてましたよね。
村瀬 いやぁ懐かしい。2013年のWBCのときはベイスターズからは日本代表が選ばれなくて、台湾代表の王だけが出てたよね。それでキューバにめちゃくちゃに打たれて。
かつ ベイスターズの昔の話をすると、暗くなるのでやめましょうよ……。まあ昔からのベイスターズファンと話すときは、暗い話をした方が楽しいんですけどね(笑)。
村瀬 未来っすね、未来。そっちの話をしましょう。
かつ コロナの影響も少なくなってきて、スタジアムでは声出し応援、中華街では平日でもこの人混みですよ。まっすぐ歩けないくらいの中華街、本当に久しぶりに見ました。またスタジアムもきっと満員でしょうね。2022年は2位でしたから、今年こそなんとか!
村瀬 森・小園・松尾とかの若手に期待ですよ。やつらがやってくれなくっちゃ。
かつ おお、まさに未来だ。優勝しましょう、優勝。かんぱーい!
二人が試合日によく立ち寄るのは②
二人が試合日によく立ち寄るのは③
牡丹園
番長も愛するハマの味
中華街の誇るベイスターズ愛にあふれる名店。2003年頃からファンが集まりだし、三浦大輔氏ら関係者も多く訪れる。名物の生ウニの中華風茶碗蒸し3500円~はウニの濃厚なクリーミーさと茶碗蒸しのツルンとした食感がたまらない逸品だ。
文・構成=かつとんたろう 撮影=小野広幸
『散歩の達人』2023年5月号より