他ではあまり見ない、串揚げとワインという組み合わせ
池袋駅東口から7分ほど、ジュンク堂の裏にあたるエリア。ここまで来ると、人混みは穏やかになりはじめ、落ち着いた雰囲気になってくる。黒が効果的に使われたシックな外観が目印の『源MOTO』は、串揚げと自然派ワインのペアリングを楽しめるのが特徴だ。1人か2人で訪れるなら、揚げたてがすぐ提供されるカウンター席へ。串揚げは食べたい量に合わせて楽しめる「おすすめスタイル」。苦手な食材は最初に伝えておくといい。
独自レシピの練り粉と細かいパン粉で、軽くサクサクな串揚げ
常時約20種が提供される食材は、エビ、和牛などの定番から、アスパラ、ネギなど旬のもの、生麩やフォアグラなど変わり種までさまざま。日により出合える串揚げは変化する。満足したら「ストップ」と一言伝えよう。
小麦粉、牛乳、卵、水、とろろなどが入った独自のレシピの練り粉に、下処理した食材をくぐらせ、細かな生パン粉を付ける。食材を蒸し揚げ、ふっくら仕上げるためには大切な工程で、丁寧に衣を付けていたのが印象的だ。また、油から上げる寸前、くるっと串を回すのも大事な手順。遠心力で油が切れ、衣がカラリと軽く揚がるそう。さまざまな技や工夫が感じられる。
サクッ。揚げたての串揚げは実に軽い食感で、エビは熱々でプリプリ、そしてふっくら。これはおいしい!味付けは、安定のポン酢、天然海水塩に北海道の天然昆布をプラスした「なまら塩」、ガラムマサラを入れたスパイスソースの3種。スパイスソースを付けてみたところ、エビの甘さにスパイシーな味わいが絶妙にマッチ。無限にいける軽さとおいしさだ。
五島列島から仕入れるこだわりの魚介類や、能登半島直送の新鮮な野菜
刺し身にも注目してみよう。魚介は国内屈指の漁場である五島列島で100年以上続く鮮魚店『林鮮魚店』から仕入れている。魚の種類によるが、下処理を施し、店内で2〜3日熟成させてから提供するものが多いという。この手間により、身が引き締まり、旨味がぎゅっと凝縮する。
醤油にも一工夫。九州の甘醤油と一般的な醤油を混ぜ、さらに刻んだ昆布が入れてある。刺し身につけてみると、やさしい甘味が口の中にふわりと広がり、魚の旨味がさらに強く感じられる。塩で食べるのも新鮮さをストレートに感じることができるのでおすすめだ。
魚醤と生クリーム、ハーブを入れたハーブソースと、味噌とセミドライトマトを合わせたトマトソースの2種でいただく野菜の盛り合わせも人気だ。旬の野菜はみずみずしい歯ごたえと甘みがたっぷり。どの料理にも一捻りした工夫がプラスされ、センスの光る新しさを味わえる。
揚げ物、刺し身、なんでも合うのはどんなワイン?
自然派ワインにもこだわり、仕入れ先はフランスやイタリア、国産はもちろん、世界各国から。「最近は南アフリカ産ワインの質がとても高くなっています」とワインに詳しい店長の原田さん。グラスで楽しめるワインも多数用意されている。
では、串揚げ、刺し身、野菜、など料理のバリエーションも豊富だが、これらの料理に合うのはどんなワインだろうか。おすすめされたのは最近話題のオレンジワイン。白ブドウを皮ごと使い、赤ワインのような作り方をするため、オレンジ色の色調が特徴だ。
実際に飲んでみると、白ワインよりも厚みやコクがあるため、串揚げととても相性がよく、さらりとした口当たりも魅力だ。また、赤ワインよりも渋みや辛味が少ないので、刺し身など繊細な味わいにもぴったりだ。今まで「刺し身には白ワイン」と思ってきたが、なんにでもマッチするオレンジワインは万能選手。ぜひ絶妙なペアリングを試してみよう。
和と洋を行き来する自由さ。ゆったりと贅沢な時間を
和と洋の間を行き来する自由な感性の料理、そしてワインとのペアリング。ゆったりと時間をかけて味わいたい店だ。
取材・⽂・撮影=ミヤウチマサコ 画像提供=源MOTO