他ではあまり見ない、串揚げとワインという組み合わせ

カウンターとテーブル席、奥に座敷の個室もある。
カウンターとテーブル席、奥に座敷の個室もある。

池袋駅東口から7分ほど、ジュンク堂の裏にあたるエリア。ここまで来ると、人混みは穏やかになりはじめ、落ち着いた雰囲気になってくる。黒が効果的に使われたシックな外観が目印の『源MOTO』は、串揚げと自然派ワインのペアリングを楽しめるのが特徴だ。1人か2人で訪れるなら、揚げたてがすぐ提供されるカウンター席へ。串揚げは食べたい量に合わせて楽しめる「おすすめスタイル」。苦手な食材は最初に伝えておくといい。

独自レシピの練り粉と細かいパン粉で、軽くサクサクな串揚げ

串揚げ1本290円均一。写真はニューカレドニア産の天使の海老の串揚げ。
串揚げ1本290円均一。写真はニューカレドニア産の天使の海老の串揚げ。

常時約20種が提供される食材は、エビ、和牛などの定番から、アスパラ、ネギなど旬のもの、生麩やフォアグラなど変わり種までさまざま。日により出合える串揚げは変化する。満足したら「ストップ」と一言伝えよう。

タッパーに入っているのが練り粉。バッター液ともいう。
タッパーに入っているのが練り粉。バッター液ともいう。
エビの足にも生パン粉を丁寧に付ける。
エビの足にも生パン粉を丁寧に付ける。

小麦粉、牛乳、卵、水、とろろなどが入った独自のレシピの練り粉に、下処理した食材をくぐらせ、細かな生パン粉を付ける。食材を蒸し揚げ、ふっくら仕上げるためには大切な工程で、丁寧に衣を付けていたのが印象的だ。また、油から上げる寸前、くるっと串を回すのも大事な手順。遠心力で油が切れ、衣がカラリと軽く揚がるそう。さまざまな技や工夫が感じられる。

さっくり揚がったエビ。迷った挙げ句、スパイスソースを付けてみた。
さっくり揚がったエビ。迷った挙げ句、スパイスソースを付けてみた。

サクッ。揚げたての串揚げは実に軽い食感で、エビは熱々でプリプリ、そしてふっくら。これはおいしい!味付けは、安定のポン酢、天然海水塩に北海道の天然昆布をプラスした「なまら塩」、ガラムマサラを入れたスパイスソースの3種。スパイスソースを付けてみたところ、エビの甘さにスパイシーな味わいが絶妙にマッチ。無限にいける軽さとおいしさだ。

串揚げは左からエビ、よもぎの生麩、下仁田ネギ、和牛。つけダレは左からポン酢、塩、スパイスソース。
串揚げは左からエビ、よもぎの生麩、下仁田ネギ、和牛。つけダレは左からポン酢、塩、スパイスソース。

五島列島から仕入れるこだわりの魚介類や、能登半島直送の新鮮な野菜

鮮魚の盛合せ2480円。左上から時計回りにメジマグロ、シマアジ、ヒラスズキ、クロムツ。
鮮魚の盛合せ2480円。左上から時計回りにメジマグロ、シマアジ、ヒラスズキ、クロムツ。

刺し身にも注目してみよう。魚介は国内屈指の漁場である五島列島で100年以上続く鮮魚店『林鮮魚店』から仕入れている。魚の種類によるが、下処理を施し、店内で2〜3日熟成させてから提供するものが多いという。この手間により、身が引き締まり、旨味がぎゅっと凝縮する。

刻んだ昆布が入った特製醤油。
刻んだ昆布が入った特製醤油。

醤油にも一工夫。九州の甘醤油と一般的な醤油を混ぜ、さらに刻んだ昆布が入れてある。刺し身につけてみると、やさしい甘味が口の中にふわりと広がり、魚の旨味がさらに強く感じられる。塩で食べるのも新鮮さをストレートに感じることができるのでおすすめだ。

能登半島から直送される赤土野菜の盛合せ980円。
能登半島から直送される赤土野菜の盛合せ980円。

魚醤と生クリーム、ハーブを入れたハーブソースと、味噌とセミドライトマトを合わせたトマトソースの2種でいただく野菜の盛り合わせも人気だ。旬の野菜はみずみずしい歯ごたえと甘みがたっぷり。どの料理にも一捻りした工夫がプラスされ、センスの光る新しさを味わえる。

左のハーブソースは軽めのバーニャカウダ風。トマトソースはコクがあり、野菜ととても合う。
左のハーブソースは軽めのバーニャカウダ風。トマトソースはコクがあり、野菜ととても合う。

揚げ物、刺し身、なんでも合うのはどんなワイン?

ワインの品揃えがとても豊富。
ワインの品揃えがとても豊富。

自然派ワインにもこだわり、仕入れ先はフランスやイタリア、国産はもちろん、世界各国から。「最近は南アフリカ産ワインの質がとても高くなっています」とワインに詳しい店長の原田さん。グラスで楽しめるワインも多数用意されている。

イタリア産オレンジワインのアランサット。飲みやすくフルーティ。
イタリア産オレンジワインのアランサット。飲みやすくフルーティ。

では、串揚げ、刺し身、野菜、など料理のバリエーションも豊富だが、これらの料理に合うのはどんなワインだろうか。おすすめされたのは最近話題のオレンジワイン。白ブドウを皮ごと使い、赤ワインのような作り方をするため、オレンジ色の色調が特徴だ。

実際に飲んでみると、白ワインよりも厚みやコクがあるため、串揚げととても相性がよく、さらりとした口当たりも魅力だ。また、赤ワインよりも渋みや辛味が少ないので、刺し身など繊細な味わいにもぴったりだ。今まで「刺し身には白ワイン」と思ってきたが、なんにでもマッチするオレンジワインは万能選手。ぜひ絶妙なペアリングを試してみよう。

和と洋を行き来する自由さ。ゆったりと贅沢な時間を

奥には掘りごたつ式の個室がある。
奥には掘りごたつ式の個室がある。

和と洋の間を行き来する自由な感性の料理、そしてワインとのペアリング。ゆったりと時間をかけて味わいたい店だ。

しゃれた看板が目印。
しゃれた看板が目印。
住所:東京都豊島区南池袋2-11-5/営業時間:17:00~23:00(22:00LO、ドリンクは22:30LO)/定休日:無/アクセス:JR・私鉄・地下鉄池袋駅から徒歩7分

取材・⽂・撮影=ミヤウチマサコ 画像提供=源MOTO