シティガイド『タイムアウト』とライブハウス『リキッドルーム』がコラボしたカフェ

入り口を入ってすぐの階段で2階へ上ると店がある。
入り口を入ってすぐの階段で2階へ上ると店がある。

2009年春にオープンした『Time Out Cafe & Diner』は、世界 333 都市 59 カ国、14 言語(2022年12月時点)で展開する地域密着型シティガイド『タイムアウト(Time Out)』と、東京の最先端の文化を発信するライブスペース『リキッドルーム』とのコラボレーションにより完成されたカフェ。

国内外のアーティストやクリエーターが、さまざまなパフォーマンスを展開する最先端のカルチャー発信基地としての顔も持っている。世界中から人と文化が集うスペースとして、カフェの営業のみならず、トークイベント・ワークショップ・DJイベント等さまざまなイベントも行われている。

棚に収められたたくさんの本や、ミラーボールにテンションが上がる。
棚に収められたたくさんの本や、ミラーボールにテンションが上がる。

リキッドルームといえばかつては新宿にあったと記憶しているが、店長の廣川野絵さんによれば2009年に恵比寿に移転し、ここで営業を始めていたという。筆者も以前はライブハウスに足繁く通ったものだが、そんなこととはつゆ知らず。いつしかライブを観に行くことから足が遠のいていたんだなあ、と時の流れを感じる。すっかり浦島太郎の気分だ。

夜になるといっそう賑やかになる店内。
夜になるといっそう賑やかになる店内。
気さくで親切な店長の廣川野絵さん。
気さくで親切な店長の廣川野絵さん。

廣川さんは、もとは音楽が好きでいろんなライブハウスに通っていたそうだ。しだいに好きが高じてリキッドルームのスタッフになり、「今は店長になっちゃいました」と笑う。

開放的で明るい店内。ふかふかのソファでゆっくりくつろげる。
開放的で明るい店内。ふかふかのソファでゆっくりくつろげる。

ライブハウスといえば、タバコのヤニと酒のキツイ匂いを思い出すが、こちらはすっきり無臭だ。「うちは電子タバコのみ喫煙OKなんですよ」と廣川さん。令和時代の晴れた秋の日に見た昼間のライブハウスは、かなりクリーンで快適な空間だった。

口の周りは脂でテッカテカ! 200g超の特大パテと厚切りトマトを豪快に挟んだハンバーガー

さあさあ、ランチの時間だ。

「週替わりのランチメニューは900円からと手頃な価格で、ハンバーガーや唐揚げ定食、カレーなどが人気ですね。ドリンクも各種カクテルから国内外のビールまで用意されています。16時までのランチ営業なので、遅めのランチやコーヒータイムを楽しめますよ!」と廣川さん。ソフトドリンクならプラス300円でドリンクバーとスープバーが付けられるという。

ランチのなかでもほぼ定番に近いという信州和牛100%バーガー1300円をオーダーすると、シェフの小野覚敬さんが調理に取り掛かってくれた。

最初はフライパンでこんがり焼き目がつくぐらい焼いたあと、少し水を加えてジューシーに蒸し焼きにする。
最初はフライパンでこんがり焼き目がつくぐらい焼いたあと、少し水を加えてジューシーに蒸し焼きにする。

「新鮮な信州産牛肉を指定の工場で急速冷凍しているんですよ。だからウマいっすよ〜!」と小野さんは話す。フライパンで直径20cmはありそうな大きなパテがこんがり焼けている。

パテを焼く間にトマトやレタスを切り、ローストオニオンやバンズを焼く。小野さんは「トマトは肉厚のものが合うんですよ」とトマトを厚切りにする。
パテを焼く間にトマトやレタスを切り、ローストオニオンやバンズを焼く。小野さんは「トマトは肉厚のものが合うんですよ」とトマトを厚切りにする。

おっと、忘れてた! 300円プラスしてドリンクバー&スープバーもオーダーしていたのだ。慌ててドリンクとスープを取りに行く。

コーヒー、紅茶、オーガニックティー、グレープフルーツジュース。コーヒー紅茶はホットもある。日替わりのスープ(1種)も飲み放題だ。
コーヒー、紅茶、オーガニックティー、グレープフルーツジュース。コーヒー紅茶はホットもある。日替わりのスープ(1種)も飲み放題だ。

ハンバーガーが完成しスープとドリンクも準備していよいよ実食。こんなワイルドなハンバーガーだもの、人の目を気にせず、大きな口を開けて豪快にかぶりつきたい!

パテの下にはレタスが敷いてあるが、すっかり隠れてしまっている。
パテの下にはレタスが敷いてあるが、すっかり隠れてしまっている。
ずっしりと重いぞ、信州和牛100%バーガー!
ずっしりと重いぞ、信州和牛100%バーガー!

口いっぱいにほおばると、口の端から肉汁が溢れ出た。牛の旨味がすごい。ボリューミーで食べごたえ充分だ。バンズはカリカリに焼いてありクリスピーで、甘みが出るまでじっくりローストされたオニオンと厚切りトマトの爽やかな酸味が牛肉の旨味を引き立てる。バンズにさりげなく塗られた粒マスタード&マヨネーズが風味を活かしていい仕事してるなあ〜。存在感は薄くても、いい味を醸し出すヤツ。筆者もそんな人間になりたい。

そして皿の半分を占拠するポテト。外はカリッカリ、中はホクホクでおいしい! すると廣川さんが「ポテトに衣を付けて揚げているんですよ。すっごくカリカリおいしいですよね」とニッコリ。ああ、ずっと奥歯に詰めていたい。そんな快い噛み心地だ。

粗挽きビーフの肉汁を、バンズがレシーブしてくれる。実は、すべての旨味を吸い込んだバンズがいちばんおいしかったりする。
粗挽きビーフの肉汁を、バンズがレシーブしてくれる。実は、すべての旨味を吸い込んだバンズがいちばんおいしかったりする。

口の周りに肉汁がつこうが、大口を開けてノドチンコが見えようが、なりふり構わず食らいつきたくなる。そんなワイルドなハンバーガーだった。食べ終わった後、心の中で「サンキュー、信州牛〜!」と、ラストソングを歌い終わったアーティストっぽく叫んだのはココだけの話。

知る人ぞ知るノマドワーカーの聖地!? ひとりでも、グループやビジネスでも使い方いろいろ

テーブル席とバーカウンター。そして各国の『タイムアウト』が並ぶグローバルライブラリー、無線LAN(Wi-Fi)環境・電源を完備しているほか、ギャラリースペースも隣接されている。それゆえにランチタイムを狙ってやってくるノマドワーカーも多いのだとか。

バーカウンターにはさまざまなお酒が揃っている。ランチタイムはアルコールのオーダーもOK。
バーカウンターにはさまざまなお酒が揃っている。ランチタイムはアルコールのオーダーもOK。

廣川さんは「お客様に伺ったら、ノマドの方はWi-Fiと電源供給の設備が両方ないとダメらしいんですね。だから、ありがたいことにウチは最高の環境なんですって(笑)。そのほかにも近所にお住まいの方やお勤めの方がフラリとやってきて、ランチを食べながらくつろいで行かれますよ」と話す。

天窓から自然光がさんさんと注がれて明るい店内。
天窓から自然光がさんさんと注がれて明るい店内。

筆者も仕事の空き時間にカフェでパソコンを広げ、作業をすることがよくある。確かにWi-Fiと電源があるカフェはありがたい。『Time Out Cafe & Diner』をJR各駅にオープンしてほしいくらいだ。

店内は席どうしの間隔が広くゆったり過ごせる席が多いし、イスやソファも座面が広めで座り心地がいい。グループで人目を気にせず楽しみたいなら、VIP ROOM使用(1000円+1人1オーダー/1時間)も可能だ。

「より静かな空間での打ち合わせで利用したい」とビジネスの現場でも重宝しているそうだ。
「より静かな空間での打ち合わせで利用したい」とビジネスの現場でも重宝しているそうだ。

なるほど、ひとりでのんびりもいいけれど気心の知れた仲間だけでランチをしたり、ビジネスの場としても幅広く使える。ボリュームたっぷりのランチが提供され、ドリンクも飲み放題ならついつい長居になってしまうのも仕方がない。次に来る時は、バッグに仕事道具とお気に入りの文庫も入れてこよう。

住所:東京都渋谷区東3-16-6 リキッドルーム2F/営業時間:11:30~21:00(ランチは16:00まで)、土13:00〜20:00/定休日:月・日・祝(イベントにより営業時間、定休日は変更あり)/アクセス:JR・地下鉄恵比寿駅から徒歩5分

構成=アート・サプライ 取材・文・撮影=パンチ広沢