看板は出てないけれど、あったかムードのお店です

中野レンガ坂商店会の入り口。夜になるとライティングがきれいなオシャレスポットだ。
中野レンガ坂商店会の入り口。夜になるとライティングがきれいなオシャレスポットだ。

中野駅南口から徒歩1分の中野レンガ坂商店会の中にある人気店。なのだが、うっかり行き過ぎてしまった。理由は看板がなかったから。もしや、こだわり?わからない人は来なくていいとか?不安になって店長の馬目(まのめ)さんに聞いてみた。「いやー、風でどっか行っちゃったんですよね」。なんだ〜。それならよかった。こだわり強め、キビシメの店だったらどうしようかと心配しちゃいました。

窓側にコンロが配置されている。
窓側にコンロが配置されている。

というわけで、目印は水色の窓枠と外から見えるキッチンだ。外からでも鍋を振る姿や調理風景が眺められる。仕込み中の馬目さんが、道行く近所の人に声をかけられることもしばしばで、窓越しに世間話をしたりするのもしょっちゅうだ。

カウンターの向こうは作業台。
カウンターの向こうは作業台。

もちろん客席からもキッチンはすぐそばだから、できたて熱々の料理をすぐ手渡しできる。仕込みをしながらでも終始冗談を言い合ってる馬目さんと副店長の須藤さん。なんだかあったかムードが満々だ。

常時16種以上あるパスタ。何にするかヒジョーに悩む

これはメニューの一部。反射で見えていないのはローストビーフのペペロンチーノ。
これはメニューの一部。反射で見えていないのはローストビーフのペペロンチーノ。

パスタは定番だけで16種、そのときのおすすめメニューも含めるとそれ以上の数からセレクトできる。しかも、ボロネーゼにクルミが入っていたり、油そばがあったりと工夫のあるメニューがいっぱい。なかなか悩ましい。しばし悩んだ結果、ローストビーフのペペロンチーノに決定。パスタに加えて名物のローストビーフも食べられるのが魅力だ。

うっすらピンク色に仕上がった名物のローストビーフ

ローストビーフは脂の少ない赤身肉を使用。
ローストビーフは脂の少ない赤身肉を使用。

牛モモ肉を丁寧に仕上げたローストビーフ。真ん中がうっすらピンク色の理想的な仕上がりだ。これを繊細な手さばきで薄く切り分けていく。わさびマヨネーズと自家製ポン酢を添えた名物!!ローストビーフ850円はとても人気のメニューで、ディナー客の多くがオーダーするそう。これを使ったローストビーフのペペロンチーノには、たっぷり80gがトッピングされる。

イタリアンを筆頭に、飲食関係に長い経験を持つ店長の馬目さん。ワタナベエンターテインメント所属の芸人だったことも。
イタリアンを筆頭に、飲食関係に長い経験を持つ店長の馬目さん。ワタナベエンターテインメント所属の芸人だったことも。

調理ライブ始まる!ニンニクの香りがたまらない

ニンニクの香りが立ってきたその瞬間がわかるほど。
ニンニクの香りが立ってきたその瞬間がわかるほど。

ニンニクと鷹の爪をオリーブオイルで炒め始めた。すると一瞬で店じゅうに香りが!あー、もう!この時点でおいしそう!強烈に刺激される匂いに胃袋が反応する。

茹であがった生パスタをフライパンにざばっと入れて……。
茹であがった生パスタをフライパンにざばっと入れて……。
フライパンを振る。パスタが踊る!踊る!!
フライパンを振る。パスタが踊る!踊る!!

馬目さんがフライパンを振ると、見る見るうちにパスタとがソースが気持ちいいほど軽快に混じり合っていく。それと同時においしそうな香りはぐんぐん強くなっていく。調理風景って本当に見ていて飽きない。

人気なのも納得。モッチモチの生パスタとローストビーフ

ローストビーフのペペロンチーノ1000円。麺の量は並。
ローストビーフのペペロンチーノ1000円。麺の量は並。

こんもりのったネギの白、ローストビーフのピンクに万能ねぎの緑と唐辛子の赤。ビジュアルも映える。麺の量は並盛135g、中盛175gで同料金。大盛は270gで200円の追加料金となる。並の倍の量になるので何人かでシェアするなら大がおすすめだ。

ローストビーフといっしょにまきまき。
ローストビーフといっしょにまきまき。

最初にガツン!とニンニクが来た。しっかりとした塩味と唐辛子がピリッとくる。そしてなんといってもパスタだ。「うちで使ってる生パスタ、本当においしいんですよ!」と馬目さんがいうとおり、モチモチっとした弾力がたまらない。乾麺のパスタとはまったく違った食感だ。シコシコとした歯ごたえで、ソースもよく絡む。

自家製ドレッシングとポン酢がかけられるのが独特。
自家製ドレッシングとポン酢がかけられるのが独特。

ローストビーフは思った以上にしっとりと柔らかくコクがあり、確実にワインが合う味だ。ただのペペロンチーノと違うのは、ポン酢とリンゴやオニオンが入った自家製ドレッシング風味のソースがプラスされているところ。ガッツリしたパンチのある味にさわやかさが加わり、シャキシャキとしたネギもいいアクセントになっている。

店、客、そして街。心地いい距離の近さ

カウンターからキッチンを眺める。窓には商店街を歩く人が見える。
カウンターからキッチンを眺める。窓には商店街を歩く人が見える。

店内は細長く、席を移動するときはほかの客に少し気を使う。しかし、できあがった料理を手渡しですぐに受け取れる近さや、キッチンの臨場感、窓越しに広がる商店街などむしろこの狭さが心地いい。おいしい食事とリラックスした気軽な時間が楽しめる。あたたかいムードの小さな名店だ。

左が副店長の須藤さん。こう見えてかなりの大食いという。
左が副店長の須藤さん。こう見えてかなりの大食いという。
写真を撮る間も冗談をいいあう。本当に楽しそう。
写真を撮る間も冗談をいいあう。本当に楽しそう。
住所:東京都中野区中野3-34-22 第2コウヘイビル 1F/営業時間:ランチ11:30~14:30LO、ディナー17:00~22:30(フード21:45LO、ドリンク22:00LO)/定休日:不定/アクセス:JR中央線中野駅から徒歩2分

取材・⽂・撮影=ミヤウチマサコ