花がいっぱいの1階と2階。3階は緑ゆたかなテラス席
池袋駅西口から歩くこと8分。大通りから右折し、小さめな道に入るとすぐに店が見える。道の奥は住宅地。駅前から続く大通りはとてもにぎやかだったが、少し離れるだけでずいぶん静かな雰囲気だ。
1階は持ち帰り用プリンのショーケースとカウンター席。店内利用の場合はここでオーダーをする。大きな窓からはあたたかな日差しを受け、色とりどりのドライフラワーが店内を明るく華やかに見せている。
階段を上がって2階へ。1階同様に窓が大きく、白い壁が明るい印象。ここでもドライフラワーがナチュラルなアクセントになっている。奥を見ると、さらにもう一つ階段が……。
細い階段を上り、ドアを開けると3階は緑ゆたかなバルコニー。ちょっとした隠れ家感があって気分が盛り上がる。6席ほどではあるが、なかなか開放的で気持ちのいい空間だ。クラフトビールやワインをオーダーして、夜風に当たりながら飲むのもオススメ。
卵、砂糖、牛乳すべてにこだわって作り上げるプリン
店内で提供されるプリンは定番2種と期間限定メニュー1種の計3つ。今回は定番のレトロプリンと白いプリンをオーダー。レトロプリンにはカラメルソース、白いプリンにはラズベリーソースがついてくる。どちらも自家製だ。
プリンの主な材料は卵、砂糖、牛乳、バニラビーンズの4つ。このうち牛乳はどちらのプリンも同じ北海道産のものを使用しているが、卵と砂糖はそれぞれ違うものを使う。「味や色に対するこだわりから、種類を変えているんです」とスタッフの中村さん。
飼料、水にまでこだわった相模原市産の「昔の味たまご」を使用するレトロプリンは、濃厚な卵の味が存分に楽しめる。食感は少し固めでぷるんと濃厚。なんとなく懐かしい感じがする。バニラビーンズを贅沢に使っているため、甘い香りがとても上品だ。奄美諸島のきび砂糖で作るカラメルソースはコクと深みのある甘さでプリンとの相性が抜群。
白いプリンは純国産鶏から取れる日野市産「さくらこめたまご」を使用。レトロプリンの卵と比べるとさっぱりした味わいだ。黄身の色が薄めなことと、きび砂糖ではなく北海道産のピートグラニュー糖を使うことで、白く美しいプリンになる。つるりとやわらかな食感で、とても濃厚。プリンのさわやかな甘味とラズベリーソースの酸味がぴったりだ。
ランチプレートも人気。「パンペルデュ」って何?
3種類あるランチプレートのうち2つにのるのがパンペルデュ。パンを卵と牛乳を混ぜた卵液に約1日浸してから焼き上げる、甘くないフレンチトーストのようなもの。卵は白いプリンにも使っている「さくらこめたまご」を使用している。
パンペルデュプレートはサーモンとローストビーフの2種類で、どちらも1100円だ。さっそくパンペルデュをいただこう。厚みのあるブリオッシュの食パンから、ほんのり湯気が立っている。ナイフで切ると、ぷるんとした手応えだ。
卵の風味たっぷりでやさしいおいしさ。軽い口当たりでバターがたっぷり入ったブリオッシュの食パンを使っているので、中央部はぷるんとしているが、耳はサクッとした食感だ。小ぶりに見えたが厚みがあるので意外にボリュームもある。甘みはないのでサーモンやローストビーフなどのおかずとも相性がいいと感じた。ランチプレートを食べてから、シメにプリンというのがベストコースだ。
池袋から少し離れた穴場のこだわりカフェ
冒頭でも触れた通り、大通りが近いものの思った以上に静かでおだやかさのあるエリアだ。中村さんも「池袋駅から徒歩圏内ですが、少し離れているので落ち着いた雰囲気がいいと思っています」と話す。
白いプリンの上に旬のフルーツのジュレやモンブランをのせるなど工夫を凝らした期間限定のプリン。中村さんを含むスタッフが開発し、自家製で提供している。どのメニューも素材の味を大切にした、やさしくてこだわりのある味。おいしいプリンでリラックスできる穴場のカフェだ。
取材・⽂・撮影=ミヤウチマサコ