ドライフラワーが飾られた温かみのある店内
モスグリーンを基調とした外観、店内を望むと、天井や壁にたくさんのドライフラワーが飾られたちょっと不思議な空間が広がる。店主の奥様はドライフラワーアーティストの油井奈々さんで、「花×酒」をテーマにプロデュースした作品が飾られている。アンティーク家具が配された店内のデザインも奈々さんが担当し、テーブルのタイル貼りをはじめとした装飾は店主自らが行っていて、手作り感のある温かみがある。
店長の倉澤音々(ねね)さんは「油井奈々さんは店舗でドライフラワーを作っているので、何度も通っていると生花がドライフラワーになる変化を見ることができます」と話してくれた。
花々が浮かぶ色合いも美しいクリームソーダ
メニューにはエディブルフラワー(食用の花)もあしらわれ、店内のどこを向いても花花花……なのだ。花は農家から直接仕入れて、その季節・その日に合ったものを使用しているので季節感も満載。
一番人気はアイマツリカ1100円。ジャスミンやグレープフルーツ、ライムのソーダに、アイスクリームとエディブルフラワーがのっている。「かなり甘いのでは?」とちょっと警戒していたが、ジャスミンの豊かな香りと柑橘系ですっきりとしているので爽やかな味わい。そこにアイスクリームが溶けていけば、ほどよい甘みが加わり、後を引くおいしさになっていく。
カラフルな花のクリームソーダはアイマツリカと、2か月ごとに変わる季節限定の2種類。アルコールを加えてカクテルとしても飲むことができる。
花に彩られた甘さ控えめのマフィン
お花のマフィン500円は、エディブルフラワーとハーブをのせている。花や野菜の色素で色づけしたチョコレートとのデコレーションは美しく、食べるのをためらってしまうほど。
抹茶とローズを食べると、抹茶のほろ苦さの中にローズシロップの甘い風味が加わり、ホワイトチョコレートとの一体感も楽しい。マフィンのしっとりとした食感もたまらない。
夏のラベンダーや秋のキンモクセイなど、季節ごとに新しいお花のマフィンが登場する。スイーツで季節を感じることができるから次回の来訪も楽しみになる。
倉澤さんは「マフィンには、少し塩を入れています。クリームソーダもそうですが、私が甘すぎるものが得意ではないので、少し控えめにしています。ですので、甘いのがちょっと苦手という男性にもお勧めです」と話す。
男性1人でもOK! 童心に返って花を食べる不思議な体験を
最後に倉澤さんは「ドライフラワーの装飾をはじめとした店内のデザインは女性に好評ですが、男性一人で利用される方もいます。
子供の頃に思った方もいるかと思いますが、『お花を食べる』という感覚をぜひ体験して下さい」と話す。
男性だとちょっと気後れしてしまいそうな可愛いカフェだがやさしい雰囲気があり、甘さ控えめのドリンクやマフィンなどでひと時を過ごすのもいい。ランチ時にはエディブルフラワーをあしらったイエローカレーやタコライスも食べられる。昼は食事、夜はバーとして楽しむのもいいだろう。
『HANABAR』店舗詳細
取材・文・撮影=速志 淳 構成=アド・グリーン