形のかわいさも心惹かれるぽんでパン
コロンと丸い手の平サイズのパンが店頭に並ぶ。この店オリジナルのタピオカ粉を使ったグルテンフリーの創作一口パンだ。
食べてみると、モッチリというよりミッチリという表現に近い。割ってみれば生地の密度が濃く、一口サイズとはいえ食べてみればそれなりにお腹にたまる。個人的にはこっくりとしたクリームチーズ味も好きだが、濃厚なパルメザンチーズにブラックペッパーが香るチーズ&ペッパーがおすすめ。これまでに食べたことがない味で、お酒のお供にもよさそうだ。
ポンデとは、ブラジルの郷土食ポン・デ・ケイジョからとったものでチーズパンのこと。これをヒントにして作ったのがぽんでパン。もちもち食感の生地に、抹茶や紅ショウガ、枝豆など日本の旬の素材を組み合わせた独自のパンを生み出した。
「パンは毎日お店で手ごねして製造しています。これまでに200種類以上の味を生み出してきました。例えば秋であればカボチャやサツマイモなど季節の食材を取り入れたものもあれば、僕自身がコレがいいかな?と思ったものを提案し、シェフに試作してもらうこともあります」と話すのは、運営元の株式会社ぽんで専務取締役執行役員・茂手木岳洋(もてぎたけひろ)さん。大のコーヒー好きということで、知人と二人で立ち上げた店舗だ。
食べやすい一口サイズとさまざまな味、そして1個100円(税抜)という価格が好評で、開店から閉店まで客足が絶えることがない。
ひと手間を惜しまず自家焙煎で豆の個性を引き出す
自慢のコーヒーはすべて併設するロースタリー(焙煎所)で自家焙煎している。ブラジルやエチオピアなどコーヒー産地の中でも、エリアや農園を指定したスペシャルティグレードな生豆を使用している。1粒ずつハンドピックし、直火式の焙煎機で強火で短時間に仕上げることで、豆本来の甘みを強く引き出している。
おすすめの1杯として味わってみたのは、エチオピア産の「イルガチェフェG-1 ナチュラルコチャレ」。中煎りのシティローストで最高品質のエチオピアモカだ。ローズを思わせる芳香を放ち、コクがありながらも野イチゴのような果実感を真っ先に感じる。飲み進めていくと、今度は甘さが口の中に広がり味の変化がおもしろい。
グルテンフリーなパウンドケーキも好評
座席は1階と2階に設けている。1階のソファ席は座面が低く、座席面も広いのでゆったりと過ごせる。店内には本を片手にくつろぐ人も多く、おいしいコーヒーとおいしいパンで至福の時間を過ごしている。
ぽんでパンのほかにタピオカ粉を焼き上げた完全グルテンフリーのしっとりとした食感のパウンドケーキもあり、店頭ではホール1本単位で、店内では1カットまたは2カットを好きな種類を選んで味わうことができる。
いつ来ても新しい味に出合えるカフェ。自分のお気に入りなくつろぎスポットとなったので、池袋へ足を運ぶ楽しみが一つ増えた。
取材・文・撮影=千葉香苗、構成=アド・グリーン