昭和の雰囲気が残る商店街で続く、学生に人気のつけ麺屋
さかえ通り商店街を歩くこと数分。「つけ麺」と大きく描かれた提灯が目を引く店に到着。暖簾や表面のメニューにもヒマワリの飾りがあしらわれ、ポップで明るい店構えだ。
店内はうなぎの寝床のように奥に広がる。券売機にはズラッとメニューが並び、何を食べるか迷うところだが、写真付きが人気メニューということで、今回は店長もイチオシの肉三昧つけ麺1300円を味わうことにした。
ひと手間かけた3種類の自家製チャーシューを堪能する
見るからにボリュームのある盛りに驚いたが、しっかりと味の染みこんだチャーシューがおいしそうだ。チャーシューは豚バラ肉、鶏のムネ肉とモモ肉の3種類。
豚バラ肉はかえしと自家製醤油ダレに二度漬けし、鶏肉は3日間ほど漬け込んで低温調理する。注文を受けてから豚バラ、鶏モモ肉は遠赤外線で焼くことで表面をカリッと仕上げている。どちらも一口味わうと、しっとりとやわらかく、旨味が凝縮している。このチャーシューでご飯を食べたらおいしいだろうな……。そんな想像がふくらむ。
麺は特注の高加水中太麺を使用。プリッとした食感と、それでいて喉ごしも良いからツルツルと食べられてしまう。量は200gから300gまで3段階で選ぶことができる上、茹で前と茹で後の量まで親切にも明記されているので、お腹の空き具合で適切な量を選べるのはうれしい。
大山鶏や国産豚骨を丸々2日間炊き上げて作るスープと、毎朝炊き上げる10種類以上の食材を煮だした魚介系ダシと合わせたつけ汁は、とろみがあるマイルドな味。中太麺によく絡み、バランスもよい。
商店街にパッと明るさをもたらし続ける
店主の河野康彦さんは福岡県出身ということで、創業当時は同じ場所でうどん店からスタートしたという。福岡時代はカレーライス専門店で働いていたという異色の経歴をもち、「いつか自分の店を」という目標をもって上京し、ここ高田馬場に縁づいた。
その後、つけ麺に転身し、今や周辺の学生やサラリーマンにファンも多い人気店になった。河野さんは「お客さまに喜ばれること、そしてお客さまにしっかりと向き合いたいという思いからヒマワリという店名をつけました」と話す。柔和な話し方や笑顔も印象的で、だからこそまた足を運びたいと思わせてくれる。味もさることながら、河野さんの温かさが感じられる店の雰囲気も約20年続く理由なのかもしれない。
取材・文・撮影=千葉香苗、構成=アド・グリーン