長きにわたって愛されているのが伝わってくる店内

『純喫茶マウンテン』と書かれている自動ドアから中へ入ると、タイムスリップしたような雰囲気に一瞬で包まれる。まるで実家に帰ってきたかのような安心感。浅草観光で疲れた人を癒してくれるだろう。

レトロな雰囲気が漂う店内。ゆったりと座れるイスとテーブルが観光の疲れを癒してくれる。
レトロな雰囲気が漂う店内。ゆったりと座れるイスとテーブルが観光の疲れを癒してくれる。

店内のノスタルジックな雰囲気を楽しんでいると、ふとあることに気付く。壁のいたるところに、著名人のサインや写真が多く貼られているのだ。昭和のスターや今をときめく若手俳優、大御所の芸人などずらり。「テレビや雑誌にもよく紹介されるんですよ」と過去に掲載された雑誌を見せてくれた店主の石井さん。

ただ、著名人が数多く来店するからといって、決してお高くとまっているわけではない。気さくで明るい店員さんの対応にこちらが笑顔になってしまうほど。なるほど、多くの人に愛されている理由が少しわかったような気がした。

名物は3色のクリームソーダ

甘味に力を入れている『純喫茶マウンテン』では、甘味の注文が絶えないという。なかでも人気なのが、クリームソーダ900円。昨今のレトロ喫茶ブームもあり、特に若い女性からよくオーダーされるそうだ。

左からあんずクリームソーダ・メロンクリームソーダ・レッドベリーソーダ。ポップな色みに心躍る。
左からあんずクリームソーダ・メロンクリームソーダ・レッドベリーソーダ。ポップな色みに心躍る。

さっそく、クリームソーダを注文してみることに。石井さんのご厚意で、あんずクリームソーダ・メロンクリームソーダ・レッドベリークリームソーダの全3種類を味わわせてもらった。イエロー・グリーン・ピンクがソーダの泡によってキラキラと輝いており、フォトジェニックな印象だ。

「ソフトクリームがとけてしまうので、写真を撮るなら早めにね!」と話す石井さん。クリームソーダが運ばれてきたら、まずはベストタイミングで写真を撮ろう。

 

濃厚なソフトクリームとメロンソーダがベストマッチ。溶ける前に写真を撮影しよう。
濃厚なソフトクリームとメロンソーダがベストマッチ。溶ける前に写真を撮影しよう。

ソフトクリームを口に運ぶと、濃厚なミルクの味わいを楽しめる。観光で疲れた体に甘さが染みわたっていくだろう。ソーダにはしっかり味がついており、ソフトクリームとのハーモニーを楽しめる。

5月になると、メロンソーダ・レッドベリーソーダ・あんずソーダそれぞれの味のかき氷500~600円が発売されるらしい。いち早く夏を先取りしたい人は必見だ。

かわらず愛される秘訣は「真心」だった

『純喫茶マウンテン』は創業してから2022年で50年を迎える。長きにわたってお客様から愛されている秘訣を伺うと、納得の答えが返ってきた。

お話を伺った石井さん(右)は生涯現役を目指しているという。
お話を伺った石井さん(右)は生涯現役を目指しているという。

「真心を大事にしています。常連のお客様にはもちろん、観光で訪れたお客様にも一期一会の気持ちで接していますね」。ただ、お客様のなかには一人で静かに過ごしたい人もいる。あまりでしゃばりすぎないのも、石井さんの真心のようだ。また、こんな話も聴かせてくれた。「無理せず、長くこの仕事を続けていきたいです。理想は生涯現役! 体に気を付けて、まだまだ頑張りたいですね」。

明るく話す石井さんを見ると、不思議と元気が湧いてくる。店を出てから駅へ向かう途中、自然と笑顔になっている自分に気づいた。

住所:東京都台東区浅草1丁目8-2/営業時間:11:30~20:00(土・日・祝は11:30〜21:00)/定休日:第1・第2月/アクセス:私鉄・地下鉄浅草駅から徒歩5分

構成=フリート 取材・文・撮影=表歩美