気軽に入店できるオープンエアーな駅近イタリアン

心地よい風が吹き抜ける、開放的な店頭。駅入り口からも店先が見える。
心地よい風が吹き抜ける、開放的な店頭。駅入り口からも店先が見える。

国分寺駅北口の目の前にある、オープンエアーな空間が広がるイタリアン食堂。ここが『ジャポリボタニカ』だ。すでに八王子で飲食業を営んでいたオーナーが、本格薪窯を導入した店を開きたいという願いを叶えるべく、2013年に国分寺でオープンした。

店の入口横にはずっしり積み上がる薪の数々があり、それだけでも一体どんなキッチンなのだろうかと店内の様子を想像してしまう。

開店の時間と同時に次々と客が入っていく。訪れる客は老若男女と様々だが、昼夜それぞれに違う趣を持つようだ。あわてて後を追って我々も入店する。

丁寧に仕込みをして作り上げる料理と本格ピザが人気

ファーストドリンクはノンアルコールシャンパン。前菜3品とともに。
ファーストドリンクはノンアルコールシャンパン。前菜3品とともに。

パスタかピザを選べるCHEF’sLUNCHコースは、店長一押しメニュー。前菜、サラダ、メインメニュー、ドルチェ、ドリンクに、ファーストドリンクもついて1680円と満足この上ないボリュームだ。この日は一番人気の水牛のモッツァレラを使用したマルゲリータピザを選ぶ(マルゲリータは+200円で1880円)。前菜は日替わりメニューで、取材の日はカポナータ、真鯛のカルパッチョ、ナポリジェノベーゼ(玉ねぎと白ワインの煮込み)の3種類。肉魚野菜とバランスの良い組み合わせだ。ドルチェとしてお目見えしたのは自家製のクリームチーズケーキで、朝から仕込みをして作った品とのこと。

「季節や入荷する素材に合わせて一品一品シェフが丁寧に仕込みをしています。前菜の玉ねぎと豚肉の煮込みは1日がかりですよ」と話してくれたのは、店長の岩平紘典さん。手の込んだ料理達はほどよい量で、後を引くのがまた良い。が、それぞれに味わい深くワインとのコラボレーションもさぞ豊かなものだと想像できる。取材時はアルコールが制限のある時期だったが、再開時が楽しみだと感じられた。

鍛えた腕をもつ職人が丁寧に焼き上げるピザ。温度管理が何より重要だという。
鍛えた腕をもつ職人が丁寧に焼き上げるピザ。温度管理が何より重要だという。

店奥に構える注目の薪窯は、特注で据えたもの。ひときわ存在感を放つこの窯では、店人気のピザを全て焼き上げる。250℃〜300℃まで加熱する高温をコントロールするのは至難の技。ピザ職人がその日の気候や食材を鑑みながら、全て培った経験と勘で焼き加減を調整する。

コースメニューの一つ、水牛のモッツァレラピザ。ピザはテイクアウトもできるのが嬉しい。
コースメニューの一つ、水牛のモッツァレラピザ。ピザはテイクアウトもできるのが嬉しい。

できあがった熱々のピザは香ばしい香りと小麦らしい舌触りが感じられる一品。耳までしっかり食べ応えがあり、ボリューミーだ。モッツァレラでも水牛のものを扱っているのは珍しい。他と比べると臭みがなくシンプルながらもクリーミーさがあるクセになる味だ。

ふらっと訪れたくなるのは、雰囲気づくりを大切にした空間だから

開店と同時にとにかく多くの客が訪れてくる。赤ちゃん連れから老夫婦、若いカップルと実に様々な様子だ。一組ひとくみが訪れるたびに「こんにちは」「久しぶりですね」と声を必ずかける岩平さん。どうやら常連客がたくさんいるようだ。声をかけられると呼応して答え、自然に会話を楽しむ空間が出来上がる。

居心地の良い店奥客席。オープンエリアもあり、子連れのママにも入りやすい。
居心地の良い店奥客席。オープンエリアもあり、子連れのママにも入りやすい。

この店がオープンした時から店長を務める岩平さんは、「いつかは飲食業を生業にしたい」と思いながらも、まずは社会人としての基礎を学ぶために営業職についたという。

なるほど、その人あたりや気配り、目配りが細やかで自然な空気を生み出していることからも極めてきた営業のセンスがうかがえる。

気配り抜群の店長の接客を受け継ぐ新進気鋭のスタッフたち。
気配り抜群の店長の接客を受け継ぐ新進気鋭のスタッフたち。

ホールで働くスタッフ達にも熱心に説明をする姿が見える。それに応え接客するスタッフ達もまた丁寧で自然な接客姿が印象的だ。

世代関係なく、多くの常連客が開店と同時に足を延ばすのも、こうした岩平さんが作り出す居心地の良さゆえなのだろう。

住所:東京都国分寺市本町3-5-14/営業時間:11:00〜14:30LO・17:30〜21:00LO(日のみ17:30〜21:00LO)/定休日:火/アクセス:JR中央線・西武多摩湖線国分寺駅から徒歩2分

取材・文・撮影=永見 薫