“ロフト”での芸術家たちとの交流をとらえた貴重な作品が一堂に
幼少期から写真に親しみ、1940年代から本格的に報道写真に取り組むようになったW. ユージン・スミス。第二次世界大戦中にはグラフ雑誌『ライフ』の特派員として沖縄やサイパンなどの激戦地を取材。戦後も同誌を中心に、人々の生活に密着した作品を次々に発表し、複数の写真と短い解説文を組み合わせて物語を紡ぐ「フォト・エッセイ」の第一人者として確固たる地位を築いた。
1954年に『ライフ』誌を退いたあとにニューヨーク・マンハッタンのアパート、通称「ロフト」に移り住み、そこでセロニアス・モンクやマイルス・デイヴィスをはじめとするジャズ・ミュージシャンやサルバドール・ダリや抽象表現主義の画家たち、ロバート・フランクなどの写真家まで、時代を担う多彩な芸術家と交流する。本展では当時のジャム・セッションや交流の様子が収められた貴重な写真も展示される。
担当者は「アメリカのドキュメンタリー写真を代表する写真家、W. ユージン・スミス。『ライフ』誌で第二次世界大戦の激戦地を取材し、晩年には〈水俣〉を発表するなど、社会に深く向き合う作品で知られます。本展は、1950年代半ば、ニューヨークのロフトを拠点に活動した『ロフトの時代』に焦点を当てます。芸術家たちが集う空間で、写真の新たな可能性を模索したスミス。報道と芸術が融合する、スミス作品の新たな魅力に出合えます」と見どころを語る。
写真の芸術的可能性を追求したスミスの写真表現に迫る
4章にわたる展示構成の中でも注目なのが、第2章「ロフトの時代」。ロフトでの生活と制作は、スミスの写真観を大きく変えた時期だった。
マンハッタンの街並みを定点的に記録した〈私の窓から時々見ると…〉や、生活空間を撮影した〈ロフトから(From the Loft)〉など48点が登場。当時スミスが書き残した言葉やスケッチ、新聞の切り抜きが貼りめぐらされていたロフトの壁が、ロフトで流れていた音楽とともに展示室に再現される。これまで断片的に扱われてきたロフト期前後の作品群を体系的に提示することで、スミスがジャーナリズムの枠を超えて自身の写真表現をいかに拡張したのか、その全体像に迫るものとなっている。
関連イベントも開催
シンポジウム
全3回にわたって、登壇者を招き、『東京都写真美術館』1階ホールでシンポジウムを開催。各回定員190名、参加費無料。当日10時より1階総合受付にて整理券が配布される。
・3月18日(水)14時~、「W.ユージン・スミスと音楽」
登壇者:アイリーン・アーカイブ・アイリーン・美緒子・スミス氏、ドキュメンタリー作家で本展図録寄稿者であるサム・スティーブンソン氏
・4月18日(土)14時~、「W.ユージン・スミスと水俣」
登壇者:アイリーン・美緒子・スミス氏、写真家・芥川仁氏、フォトジャーナリスト・桑原史成氏、写真家・石川武志氏
・5月23日(土)14時~、「W.ユージン・スミスとロフト」
登壇者:アイリーン・美緒子・スミス、W. ユージン・スミス・エステート マネージャー・ケヴィン・ユージン・スミス氏
ギャラリートーク
担当学芸員によるギャラリートークは、3月20日(金・祝)[文字表示付き]・4月24日(金)[手話通訳付き]・5月22日(金)[手話通話付き]の3回開催。各回14時~、参加費無料(ただし要当日有効チケット)。
開催概要
「W.ユージン・スミスとニューヨークロフトの時代」
開催期間:2026年3月17日(火)~6月7日(日)
開催時間:10:00~18:00(木・金は~20:00・入館は閉館30分前まで)
休館日:月(ただし5月4日は開館)、5月7日(木)
会場:東京都写真美術館(東京都目黒区三田1-13-1 恵比寿ガーデンプレイス内)
アクセス:JR恵比寿駅から徒歩7分、地下鉄日比谷線恵比寿駅から徒歩10分
入場料:一般700円、学生560円、中学生・高校生・65歳以上350円
※小学生以下、都内在住・在学の中学生および障害者手帳をお持ちの方とその介護者(2名まで)は無料。
【問い合わせ先】
東京都写真美術館☏03-3280-0099
公式HP https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-5095.html
取材・文=前田真紀 画像提供=東京都写真美術館







