10名の科博研究者が迫る絶滅の謎とは
生命が誕生してから40億年、地球上で幾度も訪れた生命の危機。それはおもに地球外からやってきた小惑星の衝突や火山など地球内部の活動によりもたらされたが、ときには生命活動そのものが引き金になったこともあった。しかし生命は、その都度それらの危機を乗り越え、新たに繁栄を繰り返すことで、多様に進化を遂げてきた。本展は5回の「大量絶滅」事変(通称「ビッグファイブ」)を、化石や岩石に残されたさまざまな証拠からひもとき、「生き物たち」の生存をかけた進化の歴史をたどるもの。各種の古生物や火山、古気候・古海洋などを専門とする『国立科学博物館』の研究者10名の監修によって、さまざまな角度から5回の大量絶滅の謎に迫る。
「本展では、科博の古生物研究者全員と火山の研究者が協力して、文字通り、私たちの知識と人脈をフル活用し、『ビッグファイブ』の最新研究を紹介します。中でも本展では、『ビッグファイブ』のいくつかと深く関わるモロッコにおいて、オルドビス紀末の絶滅前の世界を垣間見ることができる『フェゾウアタ化石群』や、デボン紀の巨大板皮類ダンクルオステウスなどの発掘、三畳紀末の絶滅に関わる火山活動の調査なども実施しました。これらの世界初公開の調査結果をはじめ、本邦初公開となる標本・情報が満載です。ぜひ、ご期待ください」(総合監修、国立科学博物館 生命史研究部 進化古生物研究グループ長 矢部淳さん)
絶滅生物の復元物や、なぜ絶滅が起こったのか、各分野から迫る切り口が興味深い。
「ビッグファイブ」から生命進化の歴史を追体験
短期間に75%以上もの分類群が絶滅したとされる現象=大量絶滅は過去に何度も起こっているが、そのうち最も大きな5回の絶滅現象「ビッグファイブ」に迫る本展。
史上最大の絶滅の要因でもある火山活動を体感できる模型が登場するほか、全米有数の自然史博物館の一つである『デンバー自然科学博物館』の貴重な標本の数々も登場。
また、日本からは多摩川で発見された全長約6mのステラーダイカイギュウの全身化石が世界初公開され、「ビッグファイブ」や生命史を知る手がかりとなる貴重な標本が多数紹介される。
さらに本展のため、大量絶滅と関連の深いモロッコで実施された発掘調査についても報告される。オルドビス紀の世界を垣間見ることができるフェゾウアタ化石群や、三葉虫などの採集標本のほか、三畳紀末の絶滅に関わる火山活動の調査結果などが世界初公開されるのにも注目したい。
開催概要
特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」
開催期間:2025年11月1日(土)~2026年2月23日(月・祝)
開催時間:9:00~17:00(入館は~16:30)
休館日:月(ただし、11月24日・1月12日・2月16・23日は開館)、11月25日(火)・12月28日(日)~2026年1月1日(木)・13日(火)
会場:国立科学博物館(東京都台東区上野公園7-20)
アクセス:JR上野駅から徒歩5分、地下鉄銀座線・日比谷線上野駅から徒歩10分
入場料:一般・大学生2300円、小・中・高校生600円
※未就学児無料、障害者手帳をお持ちの人とその介護者1名は無料。
【問い合わせ先】
ハローダイヤル☏050-5541-8600
公式HP https://daizetsumetsu.jp
取材・文=前田真紀 画像提供=国立科学博物館





