並べることで深く触れられる作品の魅力
実際の場所を題材とした日本画の名作が、現地の写真とともに並べられる本展。2023年開催時よりも、新たに選んだ作品が多数登場する。中でも見どころのひとつは、2019年放送のNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』でオープニングのタイトルバックに登場した山口晃《東京圖 1・0・4輪之段》。皇居を中心とした東京の風景が、画家独特の鳥瞰図で描かれている点に注目したい。
学芸員の髙島千広さんは「重要文化財の速水御舟《名樹散椿》や東山魁夷の『京洛四季』(《春静》、《緑潤う》、《秋彩》、《年暮る》)をはじめとした、当館屈指の名品が集結します。海外を題材とした作品では、千住博《ピラミッド「遺跡」》や竹内栖鳳《城外風薫》を展示します。また、山口晃《東京圖 1・0・4輪之段》は、当館所蔵となって初の展示です。ぜひ、この機会にたっぷりとご堪能ください」と見どころを語る。
中国、イギリス、エジプトなど海外へも聖地巡礼
日本だけでなく海外にも視野を広げていく本展。中国・蘇州の水郷をみずみずしい筆致で表した竹内栖鳳《城外風薫》をはじめ、霧に包まれたイギリス・ロンドンのタワーブリッジを捉えた平山郁夫《ロンドン霧のタワァ・ブリッジ》、晴天の下に立つエジプトのピラミッドを描いた千住博《ピラミッド「遺跡」》などが登場する。
そうそうたる画家たちの名品を通して、日本各地、世界各国の「聖地」を巡る旅を楽しみたい。
開催概要
特別展「日本画聖地巡礼2025―速水御舟、東山魁夷から山口晃まで―」
開催期間:2025年10月4日(土)~11月30日(日)
開催時間:10:00~17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月(10月13日・11月3・24日は開館)・10月14日(火)・11月4日(火)・11月25日(火)
会場:山種美術館(東京都渋谷区広尾3-12-36)
アクセス:JR・地下鉄恵比寿駅から徒歩10分
入場料:一般1400円、大学生・高校生1100円、中学生以下無料(付添者の同伴が必要)
※身体障害者手帳などの手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)1200円。
※きもので来館すると一般200円引き
※複数の割引・特典の併用不可
【問い合わせ先】
ハローダイヤル☏ 050-5541-8600
公式HP https://www.yamatane-museum.jp/exh/2025/pilgrimage.html
取材・文=前田真紀 画像提供=山種美術館





