葛飾北斎の美人画の源流と魅力に迫る
北斎の美人画に着目し、その画風の変遷を同時代の名手たちが手掛けた浮世絵とともにたどる本展。北斎の美人画の継承者たちも取り上げ、娘の葛飾応為(かつしかおうい)らも併せて紹介される。
広報担当は、「現代では、北斎といえば『冨嶽三十六景』をはじめとする名所絵(風景画)が有名ですが、江戸時代では、美人画の名手としても知られていました。本展では、宮川長春から北斎に至る美人画の系譜を、北斎と同時代の浮世絵における名手たちの作品とともにご紹介し、美人画の名手としての北斎のルーツと、その画風の変遷に注目します。重要文化財2点、北斎の娘の葛飾応為の肉筆画なども展示されます」と見どころを語る。
北斎の美人画と同時代の名手たちによる豪華競演
前半では、宮川長春から勝川春章、そして北斎へと受け継がれた美人画の流れをたどる。重要文化財・宮川長春「風俗図巻」や、美術館で初公開となる勝川春章「散策美人図」・葛飾北斎「初夢美人図」など、貴重な名品が一堂に会する。
さらに北斎が琳派の流れを汲む「俵屋宗理」の名を継いで画風を一変させた約10年間にあたる宗理(そうり)期の楚々とした女性像から、壮年期の肉感的で艶やかな美人像まで、時代とともに変化する北斎の美人画と喜多川歌麿や溪斎英泉(けいさいえいせん)ら同時代の名手との競演も見どころのひとつだ。
また、蔦屋重三郎が手掛けた喜多川歌麿「歌撰恋之部 物思恋」や、葛飾北斎「風流無くてなゝくせ ほおずき」、開館展以来の全巻一挙公開となる葛飾北斎「隅田川両岸景色図巻」、重要文化財・葛飾北斎「潮干狩図」などが並ぶ。
北斎の娘である葛飾応為や蹄斎北馬(ていさいほくば)、魚屋北溪(ととやほっけい)など、美人画を得意とした弟子たちの作品も併せて紹介され、長く所在が不明だった葛飾応為の「蝶々二美人図」が公開されるのも見逃せない。
美人画の分野における北斎の魅力やその立ち位置が明らかにされる構成が、興味深い。
関連イベントも開催
講演会「浮世絵美人画の系譜~うつろう理想美~」
9月27日(土)14時~、『すみだ北斎美術館』館長・大久保純一氏による講演会が『すみだ北斎美術館』MARUGEN100(講座室)で開催。定員40名(事前申し込み制・先着順)、無料(ただし特別展観覧券、前売券、または年間パスポートが必要)。申し込みは公式HPにて。
スライドトーク
10月11日(土)・11月1日(土)の各日13時30分~14時(開場13時)、15時~15時30分(開場14時30分)、担当学芸員によるスライドトークが『すみだ北斎美術館』MARUGEN100(講座室)で開催。定員40名(各回開場時間から整理券配布)、無料(ただし特別展観覧券、前売券、または年間パスポートが必要)。
ワークショップ「北斎とコラボしてオリジナルの手拭いをつくろう!」
10月18日(土)14~16時、東京藝術大学デザイン科准教授・丸山素直氏を講師に招いたワークショップが『すみだ北斎美術館』MARUGEN100で開催。定員30名(13時30分から整理券配布)、無料(ただし特別展観覧券、前売券、または年間パスポートが必要)。対象は小学生以上(小学3年以下は保護者同伴)。
開催概要
特別展「北斎をめぐる美人画の系譜~名手たちとの競演~」
開催期間:2025年9月16日(火)~11月24日(月・休)
※前後期で一部展示替えを実施
《前期》9月16日(火)~10月19日(日)
《後期》10月22日(水)~11月24日(月・休)
開催時間:9:30~17:30(入館は~17:00)
休館日:月 (ただし10月13日・11月3日・24日は開館)・10月14日(火)・11月4日(火)※ただし10月21日(火)は展示替えのため特別展(3F・4F企画展示室)は休室
会場:すみだ北斎美術館 3階・4階企画展示室(東京都墨田区亀沢2-7-2)
アクセス:JR総武線両国駅から徒歩9分、地下鉄大江戸線両国駅から徒歩5分
入場料:一般1500円、高校生・大学生・65歳以上1000円、中学生500円、障がい者500円、小学生以下無料
【問い合わせ先】
すみだ北斎美術館☏03-6658-8936
公式HP https://hokusai-museum.jp/hokusaibeauties/
取材・文=前田真紀 画像提供=すみだ北斎美術館





