誰もが持つ創造性と生きることのつながりを探る

若木くるみ 《CANベルスープ》 2024年 空き缶を用いた版画 作家蔵。
若木くるみ 《CANベルスープ》 2024年 空き缶を用いた版画 作家蔵。

DIY(Do It Yourself /自分でやってみる)とは、目の前の問題を自分自身の工夫で解決していくアプローチのこと。日曜大工や住民主体のまちづくりといった、身近な場面で実践されているDIY。その過程では、自ら手を動かすことで得られる気づきや達成感といった、「つくるよろこび」も味わえる。

本展ではDIYの手法や考え方に関心を寄せる、5組の現代作家と2組の建築家を紹介。身の回りのものでつくる作品や、多様な人が関わる場のデザインに加え、震災や経済的な事情により多くのものを失った人々の切実な営みにも焦点を当てた作品が並ぶ。

自分なりの方法と感覚を頼りにつくるDIYが、その人自身に与える力、「生きること」につながる力となることが伝わる構成になっている。

瀬尾夏美 《地底に咲く》 2015年 ドローイング 作家蔵。
瀬尾夏美 《地底に咲く》 2015年 ドローイング 作家蔵。

5組の現代作家と2組の建築家が提示するDIYの可能性

ダンヒル&オブライエン 《STONE APPRECIATION》(部分) 2018年 作家蔵。
ダンヒル&オブライエン 《STONE APPRECIATION》(部分) 2018年 作家蔵。

アーティスト、建築家、路上生活者、災禍を経験した人々など、それぞれのDIYの実践を通じて、誰もが持つ創造性と生きることのつながりを探る本展。

7組の出品作家は版画、ドローイング、言葉、写真、映像、インスタレーションといった、多様な表現で空間をつくりあげている。その表現方法からみえてくるのは、特別な才能がなくとも、自分なりのDIYが可能だということ。

会場には、参加型作品の展示も登場し、見るだけでなく、「つくる・話す・考えること」を通して、気負わず楽しむことができるようになっている。

出展作家は、若木くるみ、瀬尾夏美、野口健吾、ダンヒル&オブライエン、久村卓、伊藤聡宏設計考作所、スタジオメガネ建築設計事務所。

伊藤聡宏設計考作所 誰でもできる建築教室の様子。
伊藤聡宏設計考作所 誰でもできる建築教室の様子。

開催概要

「つくるよろこび生きるためのDIY」

開催期間:2025年7月24日(木)~10月8日(水)
開催時間:9:30~17:30(金は~20:00。入室は閉室30分前)
休室日:月・9月16日(火)(8月11日・9月15日・9月22日は開館)
会場:東京都美術館(東京都台東区上野公園8-36)
アクセス:JR上野駅から徒歩7分、地下鉄銀座線・日比谷線上野駅から徒歩10分、京成電鉄本線京成上野駅から徒歩10分
入場料:一般1100円、専門学校・大学生700円、65歳以上800円
※高校生以下(18歳以下)無料
※障害者手帳を持参で本人と付き添い1名まで無料。

【問い合わせ先】
東京都美術館☏03-3823-6921
公式HP https://www.tobikan.jp/diy/

 

取材・文=前田真紀 画像提供=東京都美術館