衣服から浮かび上がる戦争の影響とは

戦艦柄の布団地 日本  明治38年(1905)頃。
戦艦柄の布団地 日本 明治38年(1905)頃。

日清、日露戦争下の明治時代後期から昭和20年の終戦まで、約50年の間に起こった戦況や暮らしの変化は、人々の衣生活や着ることの意識をどのように変えたのか。

本展では、戦勝への期待の中で作られた着物から、物資不足の節約生活の中で着られたもんぺや国民服、同時期の欧米のドレスやファッション誌、被服協會が調査のために収集したアジア各地の民族衣装までが展示される。

展覧会担当者は、「今年は第二次世界大戦の終戦から80年の節目の年です。本展では、戦時中の人々の生活や意識の変化を衣服によってたどります。戦争が人々の生活に及ぼした影響を考えるとともに、終戦後の装いや平和へのメッセージが込められた衣服も紹介します」と見どころを語る。

さまざまな衣服を通して、当時の人々の戦争への思いが伝わる構成が興味深い。

軍服を模した子供服 日本  昭和10-13年(1935-38)頃。
軍服を模した子供服 日本 昭和10-13年(1935-38)頃。
軍服を仕立て直した上衣 日本  昭和20年代前半。
軍服を仕立て直した上衣 日本 昭和20年代前半。
陶製アイロン 日本  昭和12-20年(1937-45)。
陶製アイロン 日本 昭和12-20年(1937-45)。
婦人標準服 日本  昭和18年(1943)。
婦人標準服 日本 昭和18年(1943)。
国民服(甲号)日本  昭和15-20年(1940-1945)。
国民服(甲号)日本 昭和15-20年(1940-1945)。

オンライン講演会も開催

8月2日(土)13~15時、講師に文化服装学院教授の朝日真氏を迎え、『文化学園服飾博物館』学芸員の村上佳代氏、金井光代氏とともに「国民服について」「被服協會収集の民族衣装」について語るオンライン講演会が開催される。事前申し込み不要。定員300名。

開催概要

戦後80年記念「衣服が語る戦争」

開催期間:2025年7月16日(水)~9月20日(土)
開催時間:10:00~16:30(7月18日・9月12日は~19:00、7月27日は~16:30、8月24日は~15:00)、土は10:00~15:00(7月26日・8月23日・9月13日は~16:30)※入館は閉館30分前まで。
休館日:日・祝、8月8日(金)~17日(日)
会場:文化学園服飾博物館(東京都渋谷区代々木3-22-7 新宿文化クイントビル)
アクセス:JR・私鉄新宿駅から徒歩7分、地下鉄新宿駅から徒歩4分
入場料:一般1000円、学生500円、小学生以下無料
※障がい者手帳を持参の人、および付き添いの人1名は無料。

【問い合わせ先】
文化学園服飾博物館☏03-3299-2387
公式HP https://museum.bunka.ac.jp/

 

取材・文=前田真紀  画像提供=文化学園服飾博物館