江戸時代に造られた運河沿いに咲く桜

江戸時代に掘削された運河が網の目のように張りめぐらされていて、古くから水運が盛んな深川エリア。なかでも門前仲町周辺の大横川や仙台掘川の河畔には見事な桜並木が連なり、満開を迎える3月下旬から4月上旬にかけて「お江戸深川さくらまつり」が開催される。

メイン会場となるのは門前仲町駅の南側を流れる大横川。川の両岸の約1.3㎞区間には約270本のソメイヨシノが一斉に咲き乱れ、毎年多くの人々が桜と水辺の織り成す景色をお目当てに訪れる。大横川の桜は枝が水面近くまでせり出すように咲くのが特徴で、和船や動力船に乗って迫力ある桜を楽しむことができる。

船での遊覧を満喫し、江戸情緒に浸る

和船の乗船体験は、定員8名の櫓(ろ)漕ぎ船で黒船橋を出発して東富橋をUターンして戻ってくる30分程の船旅。動力を使わない昔ながらの櫓漕ぎ船での遊覧は、江戸時代にタイムトリップしたような気分を味わえる。イベント開催期間中の土・日のみ、10~15時の運航で乗船料は1000円。「9時30分から整理券を配布しますが、毎年大人気で満開時には事前に並んでいただいても整理券の配布が終わってしまい乗船できないこともあります」と教えてくれたのは江東区観光協会の横山さん。

昔ながらの櫓漕ぎの船に乗って、江戸情緒あふれる粋な花見を楽しめる。
昔ながらの櫓漕ぎの船に乗って、江戸情緒あふれる粋な花見を楽しめる。

情緒あふれる櫓漕ぎ船は競争率が高いのもうなずけるが、船からの花見を諦めるのはまだ早い。「和船以外に動力船もおすすめですよ。期間中は17~22時に夜桜ライトアップが行われるので、動力船なら夜桜を堪能することも」(横山さん)。動力船は30人近く乗れることに加え、期間中毎日運航し、さらには予約制で確実なのがうれしい。黒船橋発着の大横川周遊と隅田川ミニクルーズのコースで、昼は40分3500円、夜は50分3900円(3月27日~4月6日は料金変動あり)。動力船からロマンチックな夜桜を観賞して、オツなひとときを楽しもう。

そのほかにも期間中さまざまな催しが。清澄白河に近い高橋乗船場では小名木川でのカヌー体験乗船会が行われるほか(3月22・23・29・30日)、森下・高橋・深川資料館通り商店街ではスタンプラリーを実施。富岡八幡宮の境内では期間限定の茶屋「富ヶ岡さくら茶屋」がオープンし(期間中の土・日のみ)、牡丹町商店街では桜にちなんだマルシェ(3月23日)が行われるなど、「期間中は深川地区全体でイベントを行っているので、ぜひ遊びにいらしてください」と横山さん。大横川に架かる石島橋のお休み処でも、土・日には地域の名店により深川飯やおせんべいなどが販売されるので、花見とともに食べ歩きも楽しんでみては。

船の上から枝垂れる桜を見上げるもよし、橋の中央から壮観な眺めを楽しむもよし。
船の上から枝垂れる桜を見上げるもよし、橋の中央から壮観な眺めを楽しむもよし。

開催概要

「お江戸深川さくらまつり」

開催期間:2025年3月22日(土)~4月6日(日)
開催時間:夜桜ライトアップは17:00~22:00
会場:門前仲町周辺(東京都江東区門前仲町)
アクセス:地下鉄東西線・大江戸線門前仲町駅すぐ

【問い合わせ先】
お江戸深川さくらまつり実行委員会☎03-3642-4867
URL:https://fukagawa-sakura.com/

 

取材・文=香取麻衣子 ※画像は一般社団法人江東区観光協会提供