美濃焼で伝えるラーメン文化の奥深さと魅力

「CERAMIC VALLEY」 映像=山中有。
「CERAMIC VALLEY」 映像=山中有。

グラフィックデザイナーの佐藤卓氏とライターの橋本麻里氏をディレクターとして迎える本展は、2人が2012年から取り組んでいる美濃焼に関するプロジェクト、「美濃のラーメンどんぶり展」がきっかけ。じつに日本のラーメン丼の90%を占めるという美濃焼。2人はラーメン丼を多様な視点から見ることで、1300年以上の歴史を持つ美濃焼の歴史や背景、日常食の器が生活にもたらす豊かさについて伝えてきた。

若尾 経「青磁 どんぶり」撮影=Wagner Romano。
若尾 経「青磁 どんぶり」撮影=Wagner Romano。
皆川 明 どんぶり。
皆川 明 どんぶり。

ラーメン丼から土のデザインの先進性と可能性を提示

陶磁器製品に使用する原土の採掘鉱山 撮影=西部裕介。
陶磁器製品に使用する原土の採掘鉱山 撮影=西部裕介。

会場では、ディレクターの橋本麻里氏とグラフィックデザイナーの加藤賢策氏による構成で、ラーメンの歴史と現在について紹介。映像ディレクター、岡篤郎氏によるラーメン店という環境を想起させる音のインスタレーション作品も展示され、ラーメン店を訪れたかのような体験ができる。

「ラーメンという『Fast』な料理から、物質としてもっとも寿命の長い、土という『Slow』な存在まで。全体を通貫する新たな視点を取り込んだ今回の展示では、全40組のアーティストがデザインしたラーメン丼を展示の中核として、オルタナティブな『屋台』の提案や、ラーメンの食環境を構成する『音』の体験、そして美濃という産地が体現するやきものの未来に至る、ラーメン×デザインの可能性をご覧いただきたいと考えています」(佐藤卓、橋本麻里)

また、佐藤卓氏による「デザインの解剖」の手法を用いたラーメンとラーメン丼の解剖コーナーにも注目。名称、見た目、香りにはじまり、丼の形、色、絵柄、触感、温度などの切り口で、日本の「ラーメン」と「ラーメン丼」が丸裸にされていく。

ラーメンの解剖/具材。
ラーメンの解剖/具材。

豪華アーティストたちによるオリジナルラーメンどんぶりが勢ぞろい

一乗ひかる どんぶり。
一乗ひかる どんぶり。

大きな見どころとなるのが、40人のアーティスト、デザイナー、建築家、イラストレーター、料理研究家などクリエイターたちがデザインした、40組のラーメンどんぶりとレンゲだ。中でも、館のディレクターの深澤直人氏ほか、糸井重里氏、佐々木俊氏、澁谷克彦氏、髙田唯氏、竹中直人氏、田部井美奈氏、ヒグチユウコ氏、細川護煕氏、LiSA氏が手掛けた「アーティストラーメンどんぶり」は、本人のコメントとともに本展で初めて発表される。ユニークかつゴージャスな丼が、デザインの可能性を存分に見せてくれる。

田名網敬一 どんぶり。
田名網敬一 どんぶり。

開催概要

「ラーメンどんぶり展」

開催期間:2025年3月7日(金)~6月15日(日)
開催時間:10:00~19:00(入館は~18:30)
休館日:火(4月29日・5月6日は開館)
会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2(東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン)
アクセス:地下鉄大江戸線・日比谷線六本木駅から徒歩5分、地下鉄千代田線乃木坂駅から徒歩5分
入場料:一般1600円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料

【問い合わせ先】
21_21DESIGN SIGHTギャラリー1&2☏03-3475-2121
公式HP  https://2121designsight.jp/program/ramen_bowl/

取材・文=前田真紀 画像提供=21_21DESIGN SIGHT