明治初期から行われていた山車の曳き回し

山車を曳く祭りは全国各地で行われているが、ここ所沢の秋祭り「ところざわまつり」でも山車が曳き回される。所沢における山車祭りの起源は明確ではないものの、各町会に残る山車の購入記録や製作年代から推測すると明治初期頃からと考えられている。明治後期には毎年9月15日に行われる旧所沢町の鎮守・神明社の秋の祭礼で、各町内から山車が集まったと伝えられている。

「所沢では明治時代から山車祭りが行われていたこともあり、旧町の町会が山車を所有していたので、5年に一度の市制施行の周年の記念行事などに山車を曳いていました」と話すのは、ところざわまつり実行委員会事務局の荻野さん。間の年には「商工祭ところざわまつり」を開催していたが、現在では「ところざわまつり」の名称で毎年山車の曳き回しが行われるようになった。

そんな歴史と伝統のある所沢の山車祭りの見どころを尋ねると、「『重松(じゅうま)流祭囃子』と呼ばれるお囃子が特徴。明治時代、所沢に住んでいた古谷重松(ふるやじゅうまつ)が始めたお囃子を継承しています。譜面がなく口頭で伝えるので、フリージャズのような即興性とテンポの良さが感じられます」と荻野さん。

明治時代から続く所沢の山車祭りを一目見ようと多くの人が訪れる。
明治時代から続く所沢の山車祭りを一目見ようと多くの人が訪れる。

山車同士がお囃子で競う「曳っかわせ」に注目!

当日は総勢10基の山車が登場! 日中は各町内を曳き回され、16時になると指定会場に集まって「統一行動」が始まる。西組と東組に分かれた山車が途中で出合った際に始まるのが、祭りの見せ場である「曳っかわせ」だ。山車と山車を向かい合わせて、約3~5分の間、お囃子の競演が行われる。

「曳っかわせは、いかに相手のリズムを崩してこちらのリズムに引き込むかが醍醐味。日が沈んでからは提灯に火が入るので、幻想的な雰囲気も味わえます」(荻野さん)。舞台の上ではキツネやおかめ、ひょっとこなどがテンポのいい音色に合わせて踊り、祭りを盛り上げる。

「曳っかわせ」では山車同士が至近距離でお囃子を奏で合う。
「曳っかわせ」では山車同士が至近距離でお囃子を奏で合う。

そのほか神輿の渡御やオープニングマーチ、民踊流し、さらには各町内会や商店会では独自のイベントも。所沢駅西口ロータリーではグルメイベント「ガチ旨グランプリ」が行われるほか、会場内いたるところで露店やキッチンカーによる出店もあって食べ歩きを楽しめる。歴史ある山車祭りとともにさまざまなイベントを満喫しよう。

開催概要

「ところざわまつり」

開催日:2024年10月13日(日)
開催時間:10:00~20:00
会場:所沢市内中央地区一帯(所沢駅西口から金山町交差点)
アクセス:西武池袋線・新宿線所沢駅すぐ

【問い合わせ先】
ところざわまつり実行委員会事務局☎04ー2922ー2196
公式HP:https://www.tokorozawa-cci.or.jp/matsuri/

取材・文=香取麻衣子 ※画像は主催者提供