【和食】
贅沢個室空間、楽しみ方はあなた次第『吉里 柏別邸』
長く営んでいた古い居酒屋を、全個室の料亭にリノベ。風情のある石畳のアプローチを進み、店内に足を踏み入れると、落ち着いた空間が広がる。ランチタイムは、さまざまな料理が愛らしく盛り込まれた弁当や、華やかな御膳、本格的なコース仕立ての「膳」がメインだが、アラカルトでも注文可能。たとえば串焼きや鰻を少量頼みながら、お酒をいただくのも小粋な楽しみ方だ。目にも美味な日本料理は、松花堂弁当1980円、「膳」コースは3300円~と、昼ならリーズナブル。「柏なんだから量もたっぷりでないと」と、料理は上品だが盛りのよさも◎。
『吉里 柏別邸』店舗詳細
1、2人なら、店主との会話も楽しいカウンターへ『お料理 なかき』
店主の中山繁人さんは新潟・三条の割烹料理店を営む家に生まれ、銀座の京料理屋で修業した“和食エリート”。縁もゆかりもない柏に店を構えたが、街の人に温かく迎え入れられ、ほのぼのと落ち着く店をつくり上げた。昼は3000円のコース一本のみと潔く、先付から食後のデザートに至るまですべて手作り。食材やお酒は店主の故郷・新潟のものを多めにセレクト。ランチに含まれる新潟郷土料理のわっぱ飯や「鶴齢純米吟醸」など、美酒・美食を、昼からゆっくり召し上がれ。
『お料理 なかき』店舗詳細
【中華】
普通盛り500円に200円足すとこうなる『ぎょうざやさん』
餃子とチャーハンの持ち帰り専門店が送る、千葉県3大デカ盛りと名高い一品。子供の頃、飲食店をやっていた叔父から教わった味が原点だという。もはや既製の容器には入り切らず、2パックに分けてもフタが閉まり切らないのでラップで包んでなんとか収まっている。これだけギュウギュウなのに、家でパックを開くとパラパラの炒飯がふんわりほぐれるのが不思議だ。破壊的な量とは裏腹に、ほんのり優しい醤油の風味が広がる。
『ぎょうざやさん』店舗詳細
ハレの日に出かけたい中華の名店『老中国菜 知味斎』
先代から店を引き継ぎ、リニューアル。火柱を上げながら鍋を振るう厨房の様子を小窓から垣間見られ、ワクワク感が抑えられない。運ばれてきたのは柏の農家から仕入れるチンゲン菜など、季節野菜が満載の天然塩炒め。歯触りシャキシャキで、 奥深い野菜の香味が複雑に絡み合い、舌の上で広がっていく。上品な香りを放つ海老と黄ニラの春巻きや、四川唐辛子が味を引き立てるやわらかな仔羊背肉など、本格中華がめくるめく。
『老中国菜 知味斎』店舗詳細
路地裏に潜む中華バルでくつろぐ『ChineseBar&Restaurant 漸』
路地裏に隠れる店は、2017年5月に開店。店主の岡崎康則さんは「『知味斎』の総菜工房だった所なんです」と、中華の基礎を学んだ修業先に縁を感じたそう。畑仕事で会得した目利き力で、農産物直売所などで生きのいい野菜を見つけている。さっと油通しして、リズミカルに鍋であおる空芯菜は、小気味よい歯触りと旨味が酒のアテに抜群。また、イクラの紹興酒漬けをのせた土鍋ごはんやカクテルなど、中国酒の使い方も新鮮だ。
『ChineseBar&Restaurant 漸』店舗詳細
【イタリアン】
余韻の長~い郷土料理とワインを『Trattoria Chicco』
扉を開くまで張っていた肩肘が、着席してメニューを読むうちに、ほどけていく。食材の宝庫、ピエモンテ州の1つ星レストランで活躍したシェフの渡邉秀和さんいわく、「普段も気軽に通って」。派手さはないが、上品で洗練された州の料理を披露している。素揚げしたカボチャとチーズ、トマトを重ねて焼く前菜は、秋の十八番。縦に切り頬張れば、ほくっ、とろっ~の後に、砕き散らしたアマレットが弾ける。じわっと記憶に残るお皿が続く。
『Trattoria Chicco』店舗詳細
味わうほどに痛感するナポリへの心意気『Pizzeria Tintarella』
どんと薪窯を構えるピッツェリアは真のナポリピッツァ協会認定店。マルゲリータが評判だが、ラードで揚げたピッツァが珍しい。「ナポリはラードもよく使うんです」と店主の遠藤秀雄さん。中から燻製モッツァレラとリコッタチーズがとろけだし、直前に切ったパルマ産生ハムとルッコラが旨味を増幅。デカさにたじろぐが、生地は軽やかだ。柏野菜も使うタパス、現地で惚れたドルチェも揃え、腹がいくつあっても足りない!
『Pizzeria Tintarella』店舗詳細
【フレンチ】
皿に凝縮された手仕事の結晶『BISTRO GAVROCHE』
「食材そのものより、いかに仕込みで工夫するかが面白くて。それでフレンチにハマったんです」と語るのは、店主の降田優(ふりたまさる)さん。白レバーを使い、優しい味わいに仕上げたパテ、マリネし、コンフィにした砂肝がプリッとするリヨネーズサラダなど、一つひとつの手間が半端ない。なかでも豚のローストは、香草とともに低温で焼き上げ、柔らか。オリーブとアンチョビの酸味の効いたソースと味わえば旨味が爆発。ボリュームにも圧倒される。
『BISTRO GAVROCHE』店舗詳細
取材・文=木村悦子、佐藤さゆり(teamまめ)、松井一恵、高橋健太(teamまめ)、増山かおり 撮影=山出高士、井上洋平、高野尚人、井原淳一、オカダタカオ




