松栄亭[神田]

かの文豪が愛した名店の手仕事

ポテトコロッケ800円。ごろごろとした粗びき肉が交ざり、時折存在感を主張。歯応えよく、食欲を刺激する。ビールにも合う。

頬張ると、ホクホクしたジャガイモに笑みがこぼれる。老舗の佇まいに少し緊張したとしても、この素朴な味わいにホッと力が抜けるだろう。ジャガイモは茹でず、蒸かしているため、水分が適度に飛んで食感が生きる。調味料は塩、コショウのみ。豚の脂を煮出し、1週間かけて作ったラードで揚げると、脂の臭いがほとんどないので素材のよさが前に出るのだという。開店は明治40年(1907)。夏目漱石ら各界の著名人が通った時代の味が、今も守られている。

入り口の暖簾(のれん)が印象的。夜はお一人様も多い。
木札に手書きしたメニューが印象的。

『松栄亭』店舗情報

住所:東京都千代田区神田淡路町2-8/営業時間:店舗にお問い合わせください。/定休日:店舗にお問い合わせください。/アクセス:地下鉄丸ノ内線淡路町駅から徒歩2分

駒形軒[本所吾妻橋]

総菜屋さんが作る、ねっとりホットなカレー味

カレーコロッケ 97円。

「注文受けてから揚げるのは、親父の時からずっとだよ!」と、威勢よく話す土切正一さん。戦後すぐに開店して以来、看板商品はずっとカレーコロッケだ。ドライと生、2種のパン粉を使うソフトな衣を割ると、スパイシーな香りがふわっ。種は、タマネギとひき肉とカレー粉を炒め、蒸かしてミキサーにかけた男爵芋とよく練る。揚げたてほど甘みが立ち、優しい味だ。経木(きょうぎ)で包んでくれるのもうれしい。

注文を受けてから揚げる。

『駒形軒』店舗詳細

住所:東京都墨田区東駒形2-9-8/営業時間:10:00~19:00 /定休日:木/アクセス:地下鉄浅草線本所我妻橋駅から徒歩5分

ミサキベーカリー[北千住]

パクッサクッしっとり~で半世紀

コロッケパン 183円。

北海道産男爵芋を使ったなめらかな種を、食パンのミミをひいたパン粉をつけて揚げる。揚がったら、やや辛いソースにドッポン。すぐ引き揚げ、たらりと滴った後、ポタッに変わった瞬間に挟む。このタイミングが味とサクッ感の決め手になる。「切ると味が変わる」と、切らずに挟めるよう生地を折って焼き上げるパンを採用。現在は3代目の三崎成之さんと奥様が営んでいる。

『ミサキベーカリー』店舗詳細

住所:東京都足立区千住寿町20-4/営業時間:6:00~20:00/定休日:日/アクセス:JR・私鉄・地下鉄北千住駅から徒歩8分

キングステーブル[浅草]

冷めた方がおいしいテイクアウト専門店

コロッケサンド450円。

肉屋の息子として育った大澤保男さんは、肉が大好き。だから、コロッケにもごろごろ肉が入っている。こんがり揚げたらソースのプールにイン! パンに挟み、互いになじむまで寝かせるのが肝心だという。パンを鉄板で焼くことも重要。濃いめの味とあいまって、食いしん坊魂に火をつける。看板娘の美恵子さんは「冷めても、というか、冷めた方がおいしいの」。食べ切れなかった分も、翌朝になるとグッと味が締まり、これまたナイス。

『キングステーブル』店舗詳細

住所:東京都台東区浅草5-71-9/営業時間:10:00~18:00(売切れ次第終了)/定休日:無/アクセス:私鉄・地下鉄浅草駅から徒歩15分

構成=フラップネクスト 取材・文=teamまめ(佐藤さゆり、信藤舞子、松井一恵)  撮影=井原淳一、オカダタカオ、加藤昌人 イラスト=霜田あゆ美