純白のバーコートに宿る不朽の予感『Bar柿沼』
「スタンダード」を大事にしたい。それがバーテンダー・柿沼辰弥さんの抱く思いだ。例えばカクテル。日本生まれのバンブーをはじめ、100年以上も前に誕生したものを多く供している。クラシカルな白いバーコートをまとうのは偉大な先輩たちへの尊敬から「決して汚さないきれいな仕事ぶりに憧れがあったんです」。白熱灯がともる憩いの場は長く愛されるこの町のスタンダードとなるに違いない。
『Bar柿沼』店舗詳細
シガーも楽しめる『歯車』
明かりは蝋燭のみ。静寂と暗がりの中に浮かぶのは、能舞台のようなカウンターと、そこに立つ主・濱本義人さんだけだ。ただくつろぐだけなら家でもいい。ここは日常と離れたサードプレイス。「広くない空間をお客様同士が共有する。多少の気遣いをしながらほろ酔いになって、心地よい流れを作るという過ごし方の提案でもあります」。光や音、入る情報が少ない分、普段と違う考えに行きついたり。日の高いうちから訪れるという悦楽も。
『歯車』店舗詳細
セレクトされた酒が知識と舌を満たす『Fingal』
銀座や池袋の隠れ家的な街だったころの1998年に開店。当時、界隈にバーは少なかったが、谷嶋元宏さんは会社員から大好きなこの世界に飛び込んだ。「東京は世界中の美酒が集まる地。普段触れられないお酒と出会える場にしたかったんです」。バックバー、ウイスキーの深い世界をうかがい知るボトルが。小さな蒸留所のものや、入手困難なショット1万円のものまで揃う。その1杯のストーリーを聞けば、味わいはさらに深まる。
『Fingal』店舗詳細
構成=前田真紀 取材・文=沼由美子 撮影=木村心保