王道純喫茶で味わう昔ながらのナポリタン『珈琲 琵琶湖』

昔ながらのナポリタン 単品780円、セット980円。シュガーポットで供される粉チーズをたっぷりかけて味わおう。
昔ながらのナポリタン 単品780円、セット980円。シュガーポットで供される粉チーズをたっぷりかけて味わおう。

1979年開業。食事やケーキなど多彩なメニューが揃うなか、一番の人気を誇るのが昔ながらのナポリタン。デュラム・セモリナ粉100%使用の中太パスタは、もちもちとした食感で、食べごたえがある。具は、あえてゴロゴロとした食感を残した豚挽き肉とピーマン、タマネギ、マッシュルームなどの野菜。完熟トマトのみで作った濃厚なケチャップで和えたその味は、まさに喫茶店で食べた昔ながらのナポリタンだ。コーヒー480円~は味と香りを失わないように、こまめに豆を挽き、注文を受けてから1杯ずつサイフォンで淹れる。

太い木の柱や梁、ステンドグラスのランプシェードが印象的な店内は、「純喫茶」と呼ぶにふさわしいレトロな雰囲気がある。
太い木の柱や梁、ステンドグラスのランプシェードが印象的な店内は、「純喫茶」と呼ぶにふさわしいレトロな雰囲気がある。
レンガと白壁の外観が印象的な山小屋風の外観。2階の窓の上にある赤いテントのひさしがかわいい。
レンガと白壁の外観が印象的な山小屋風の外観。2階の窓の上にある赤いテントのひさしがかわいい。

『珈琲 琵琶湖』店舗詳細

凝り性の数学講師が手がけるコーヒー工房『thy coffee Atelier』

Notre Premierのハンドドリップは720円。バスクチーズケーキ クラシックは780円。
Notre Premierのハンドドリップは720円。バスクチーズケーキ クラシックは780円。

もともと凝り性だと自認する店主の佐藤さんは、異色の経歴の持ち主だ。数学の教師になるために横浜の大学院で学んでいたとき、「ブルーボトルコーヒー」でアルバイトを始めたことからコーヒーの奥深い世界にハマったのだとか。社会に出て教壇に立つ傍ら、バリスタとして独立したいと開業準備を進め、2022年に『thy coffee Atelier』をオープンした。『thy coffee Atelier』には、ハンドドリップ用のコーヒー豆が常時5種類ある。ブレンドは常に定番と月替わりの2種類があり、定番ブレンドはNotre Premier(ノートル・プルミエ)と名付けられている。「私たちの最初の」という意味のフランス語だ。店主自身が、甘さが残るように焙煎している。

「コーヒーのことは、レシピも含めていろいろ聞いてもらいたい」と店主の佐藤さん。
「コーヒーのことは、レシピも含めていろいろ聞いてもらいたい」と店主の佐藤さん。
幅の広いダイニングテーブルをカウンターのように設えている。
幅の広いダイニングテーブルをカウンターのように設えている。

『thy coffee Atelier』店舗詳細

住所:東京都大田区東蒲田2-20-13/営業時間:日によって異なるため公式Instagramを要確認/定休日:不定/アクセス:京浜急行電鉄本線京急蒲田駅から徒歩9分

その月だけのスイーツが味わえる住宅地のカフェ『SSYET』

桃の「季節のスープとフォンテーヌブロー」。ドリンクとセットで1500円。
桃の「季節のスープとフォンテーヌブロー」。ドリンクとセットで1500円。

オープンしたのは2020年。周辺は蒲田駅から10分ほど離れた静かな住宅地だ。店主の金井真実(かないまみ)さんは、独立してカフェを開くにあたって、カフェがあまりない場所として蒲田を選んだ。オープン以来、1カ月ごとにメニューを変えるのが『SSYET』のスタイル。毎月3種類のスイーツが用意されていて、どれも甘さは控えめ。そのうちのひとつは、いつも「季節のスープとフォンテーヌブロー」だ。 フォンテーヌブローとは、フランスの同名の街で生まれた、フレッシュチーズを使ったデザートのこと。『SSYET』 では、そのフォンテーヌブローに季節のフルーツをアレンジして提供している。お店を開いたころは、フォンテーヌブローを知っている人はほとんどおらず、注文する人も少なかった。しかし、口コミが徐々に広がり、今では真っ先に品切れになる看板メニューに成長した。

フォンテーヌブローは毎月異なるアレンジで提供している。
フォンテーヌブローは毎月異なるアレンジで提供している。
居心地の良い空間で、甘すぎないスイーツを。
居心地の良い空間で、甘すぎないスイーツを。

『SSYET』店舗詳細

住所:東京都大田区西蒲田1-2-12 カマタブリッヂ102/営業時間:カフェタイム14:00~17:30LO・バータイム 偶数月の金・土のみ 19:30~21:30/定休日:火・水/アクセス:JR・私鉄蒲田駅から徒歩10分

広い店内はスペシャルティコーヒーの入り口『蒲田カフェ』

「背徳のバーベキューサンド」650円とアイスのエチオピアは単品で800円。
「背徳のバーベキューサンド」650円とアイスのエチオピアは単品で800円。

住宅地の入り口のようなロケーションに、テーブル席とソファ席を持つゆったりした空間。朝8時から18時まではカフェタイム、18時以降23時まではバータイムとして営業し、食事とドリンクを組み合わせて提案するなど使い勝手の良い店だ。バリスタが自家焙煎するコーヒーは、農園指定の豆が中心。これまで本格的なコーヒーが飲める店が少なかった蒲田で、スペシャルティコーヒーの入り口になっている。フードメニューも豊富で、モーニングの時間帯はクロックムッシュやクロックマダム、ランチタイムはグラタンやパスタ、サンドイッチが提供されている。オープンしたのは2021年12月だが、1年ほど経った2023年1月に、お店に自動車が突っ込むという災難に見舞われた。しかし今では無事復活を遂げ、その修繕のために行われたクラウドファンディングに協力した蒲田の人たちの名前が店内に掲げられている。

クラウドファンディングの返礼品になった木札。
クラウドファンディングの返礼品になった木札。
福島宏樹さんはバリスタとして20年以上の経験を持つ。
福島宏樹さんはバリスタとして20年以上の経験を持つ。

『蒲田カフェ』店舗詳細

住所:東京都大田区西蒲田5-14-5/営業時間:カフェタイム 8:00〜18:00・バータイム 18:00〜23:00(土・日・祝はカフェタイム10:00〜18:00・ バータイム18:00〜23:00)
/定休日:木/アクセス:JR・私鉄蒲田駅から徒歩5分

オリジナリティあふれるモーニングが自慢!『きりん珈琲』

プレミアムモーニングのきりん流のりバターサンド1050円(コーヒー、サラダ付き)。
プレミアムモーニングのきりん流のりバターサンド1050円(コーヒー、サラダ付き)。

「モーニングの醍醐味は、安くてお得な気分を味わって今日も1日がんばるぞって思えること」と話す店主の大原明日香さん。モーニング文化が根強い岐阜県出身で、東京でもその魅力を広めたいと2019年に店を開業した。自家焙煎のコーヒーとセットで味わえるモーニングメニューには、大人気の厚焼たまごサンドセットをはじめ、専門店かと見紛うばかりの一風変わったサンドイッチが揃う。神田にあった喫茶店「エース」をリスペクトしたきりん流のりバターサンドは、海苔の佃煮とマスカルポーネチーズのマッチ具合が期待をはるかに超えてくるおいしさだ。

店主の大原さん。コーヒー豆は、好みに合わせて飲みやすく焙煎してくれる「完全オーダーメイド」で購入できる。
店主の大原さん。コーヒー豆は、好みに合わせて飲みやすく焙煎してくれる「完全オーダーメイド」で購入できる。
土・日は満席のことも多いので予約がおすすめ。
土・日は満席のことも多いので予約がおすすめ。

『きりん珈琲』店舗詳細

住所:東京都大田区大森西7-7-20/営業時間:7:00〜20:00(火は14:00〜)/定休日:月・火(火は不定)/アクセス:京浜急行電鉄本線梅屋敷駅から徒歩7分、JR・私鉄蒲田駅から徒歩14分

ロートレックの作品を飾った古き良きパリのカフェ『チェリー』

席に運ばれると、見事な盛り付けに歓声が上がるプリンアラモード1500円。
席に運ばれると、見事な盛り付けに歓声が上がるプリンアラモード1500円。

1960年創業の純喫茶。2014年に“古き良きパリのカフェ”をコンセプトに店は大変身。店内の赤い壁にはパリのキャバレー『ムーラン・ルージュ』を描いた作品で知られるロートレックの絵画を飾り、洗練された雰囲気のなかにも懐かしさを感じる独特の空間になった。店の看板料理のチェリー風 焼きチーズカレーをはじめ、フードメニューが充実しているのでレストランとしても利用できる。メニューには掲載していない、いわゆる裏メニューがプリンアラモード。半切りしたメロンの器にパイン、メロン、ブドウ、バナナ、オレンジなど10種類を超す季節のフルーツと、生クリーム、バニラアイス、プリンなどが入ったビッグサイズのスイーツだ。

ロートレックの作品を飾った店内でコーヒーを楽しめば、しばしパリ気分。
ロートレックの作品を飾った店内でコーヒーを楽しめば、しばしパリ気分。
オーナーの指田宏明さんはホール、奥様の郁代さんは厨房を担当する。にこやかな笑顔に人柄がにじむ。
オーナーの指田宏明さんはホール、奥様の郁代さんは厨房を担当する。にこやかな笑顔に人柄がにじむ。

『チェリー』店舗詳細

住所:東京都大田区蒲田5-19-8/営業時間:9:00~20:00/定休日:日/アクセス:JR・私鉄蒲田駅から徒歩5分

時がゆっくりと流れる昭和レトロ喫茶『テラス・ドルチェ』

テーブルでカップに注がれるブレンド珈琲700円。ジャンボアイスコーヒーは900円。
テーブルでカップに注がれるブレンド珈琲700円。ジャンボアイスコーヒーは900円。

昭和の面影を残す蒲田のアーケード商店街で、40余年の歴史を持つ純喫茶。創業以来続くサイフォンコーヒーの味を、現在は若き2代目店主が伝えている。この店ではアイスコーヒーもサイフォンで淹れる。濃いめに淹れたコーヒーと、クラッシュした氷が入ったグラスをテーブルまで運び、客の目の前でグラスに注ぐ。瞬間的に冷やすことで、味と香りが際立つのだという。これも初代店主が考案した人気メニューだ。また、フードメニューが多いのも特徴の一つ。メニューを開けば、ケーキ、パフェ、パンケーキ、ピラフ、スパゲティ、カレーなどに分かれ、それぞれに数種類が用意されており、選ぶのに迷ってしまいそうだ。いずれもドリンクとセットにすれば割安になる。

「サイフォンで淹れたコーヒーは、ゆっくり抽出するので香りが良いんです」と話す店主の小野田真識さん。
「サイフォンで淹れたコーヒーは、ゆっくり抽出するので香りが良いんです」と話す店主の小野田真識さん。
ガラス窓がある商店街側は1~2人用席、奥がグループ席。店内は喫煙可というのも昭和の喫茶店らしい。
ガラス窓がある商店街側は1~2人用席、奥がグループ席。店内は喫煙可というのも昭和の喫茶店らしい。

『テラス・ドルチェ』店舗詳細

住所:東京都大田区西蒲田7-64-2/営業時間:10:00~20:00/定休日:無/アクセス:JR・私鉄蒲田駅から徒歩4分

スペシャルティコーヒーに定食、お酒まで楽しめる『Cafe ig(カフェ アイジー)』

 ホットコーヒー600円、自家製 焼プリン600円、自家製 ベイクドチーズケーキ680円。ナポリタン930円。コーヒー豆は販売も。
ホットコーヒー600円、自家製 焼プリン600円、自家製 ベイクドチーズケーキ680円。ナポリタン930円。コーヒー豆は販売も。

喫茶、定食、酒と全方位のメニューが充実しているだけでなく、仕入れや淹れ方にこだわるスペシャルティコーヒーや丁寧に作り上げる自家製スイーツが評判。特に焼プリンは流れ落ちるほどさらりとしたカラメルソースが特徴で、濃厚な卵の風味とバランスの良い甘みと苦味が絶妙。店内は明るさのある落ち着いた雰囲気で、定食を食べる親子連れや、ゆったりとカフェオレを飲む一人客、お酒を楽しむ人たちと多くの楽しみ方にあふれている。作業一つひとつに手を抜かず、新しいメニューにも挑戦していくカフェだ。

レトロなガラスの器になめらかなプリンがとてもきれい。
レトロなガラスの器になめらかなプリンがとてもきれい。
間口が広く、店内には明るい日差しが差し込む。
間口が広く、店内には明るい日差しが差し込む。

『Cafe ig』店舗詳細

住所:東京都大田区南蒲田1-9-1 本間ビル1F/営業時間:11:30〜20:30LO/定休日:水/アクセス:京浜急行電鉄本線・空港線京急蒲田駅から徒歩5分

日本茶で楽しむ和スタイルカフェ『KAKUMEI Burger&Café』

日替わり和前菜が付け合せになるKAKUMEI味噌麹バーガー1900円。
日替わり和前菜が付け合せになるKAKUMEI味噌麹バーガー1900円。

蒲田の中でもディープなスナック街にあるカフェで、牛ステーキ肉100%で作るハンバーガーが自慢だ。塩と混ぜた1cm大の赤身肉を手でぎゅっと握ってまとめ、鉄板にそーっと置いてレア気味に焼く。軽い口当たりのバンズにかぶりつくと、大きめの肉の塊が口の中でほろりとほどけ、肉々しい弾力が口の中いっぱいに広がる。まるでステーキを食べているような気分になるが、脂肪を取り除いた赤身肉使用で、ソースは味噌麹、付け合わせも和風なので食べごたえはありつつヘルシーだ。

パティは、1個あたり100gのステーキ肉を使用。
パティは、1個あたり100gのステーキ肉を使用。
スタッフがDIYで作り上げた内装がシック。
スタッフがDIYで作り上げた内装がシック。

『KAKUMEI Burger&Café』店舗詳細

住所:東京都大田区西蒲田7-10-10/営業時間:ランチ11:00〜14:00LO、ディナー18:00〜21:00LO(土・日・祝は11:00〜21:00LO)/定休日:火/アクセス:JR・私鉄蒲田駅かから徒歩5分

おいしいマクロビで心も体もリセット『ひだまりカフェ』

総菜3品が付いた、ひるの定食1650円。
総菜3品が付いた、ひるの定食1650円。

ヴィーガンと非・ヴィーガンが一緒においしく食事できるカフェ。肉、卵、乳製品などの動物性食品と白砂糖は不使用、できる限りオーガニックの食材を使用するが、ベジタリアンでない人のために魚料理も提供している。3種のメインのおかずから1品、「本日のおそうざい」4種から2品、または3品セレクトでき、玄米ご飯、味噌汁、おしんこ、健康茶がセットになる「ひるの定食」が人気。とくに圧力釜で炊く有機無農薬の玄米は、噛めば噛むほど甘みがありモチモチとしていて「玄米のイメージが変わった」という人も。大豆ミートに味付けをしてからりと揚げた「なんちゃって鶏の唐揚げ」など、健康に良いだけではなく、しっかりと「おいしい」メニューがいっぱい。心も体もリセットできるやさしさあふれるカフェだ。

その日にある食材をたっぷり入れた具沢山の味噌汁。
その日にある食材をたっぷり入れた具沢山の味噌汁。
 シンプルで明るい店内。野菜や調味料の販売もしている。
シンプルで明るい店内。野菜や調味料の販売もしている。

『ひだまりカフェ』店舗詳細

住所:東京都大田区蒲田4-31-1/営業時間:11:30~14:00/定休日:日・月・祝(不定あり)/アクセス:JR・私鉄蒲田駅から徒歩5分

取材・文・撮影=野崎さおり、中村こより、塙 広明、ミヤウチマサコ

蒲田は、城南を代表する繁華街である。と書くと、それは品川では? いや大井町や中目黒じゃないの? という声が上がるかもしれない。しかし、城南に生まれ育った人間なら知っている。蒲田こそが城南を代表する繁華街であり、城南文化、つまり渋谷や目黒、品川あたりから吹いてくる城南の風の吹き溜まりの街であることを。