取材・文=香取麻衣子(かとりまいこ)
鉄道旅をこよなく愛するライター。月刊『散歩の達人』の「祭り&イベントInformation」はもちろん、さまざまな媒体で祭り記事を執筆。
2025年で100周年! 日本最高峰の競技大会「土浦全国花火競技大会」
茨城県土浦市・桜川畔/11月1日(土)※荒天の場合は8日(土)
全国から約60の花火業者が集まり、「スターマイン」「創造花火」「10号玉」の3部門で匠の技を競い合う。腕自慢の花火業者がしのぎを削り、自慢の作品を引っ提げて打ち上げる花火は見応えたっぷり。競技の合間には市や企業による余興花火も打ち上げられ、幅500mにおよぶワイドスターマイン「土浦花火づくし」が人気。巷(ちまた)では日本三大花火大会のひとつに数えられ、歴史・規模・技術と三拍子が揃う。17時30分~20時。
“すっごい”ポイント!
なんといっても花火師の技術の高さが見どころ。最新の花火が次々と秋の夜空に打ち上げられる。長岡、大曲に並ぶ花火大会で、都心から日帰りでアクセスできるのがうれしい。
●JR常磐線土浦駅西口から徒歩30分(土浦駅から有料シャトルバス運行)
白装束の男が松明(たいまつ)を両手に追いかける「タバンカ祭(松明祭)」
茨城県下妻市・大宝八幡宮/9月6日(土)
「タバンカ」の由来は、畳や鍋ぶたを地面に叩きつけて大松明の火を消そうとするバタンバタンという音から。応安3年(1370)に大宝寺別当坊が出火した際、それらを使って消火したという故事を再現。両手に燃え盛る松明を持った氏子は「火」、畳や鍋ぶたを持った氏子は「消火活動」を表し、両者が追いつ追われつ境内を駆け回る。火の粉を浴びると災い除(よ)けになるとされ、参拝客は歓声を上げながら火の粉を浴びようとする。
“すっごい”ポイント!
白装束の氏子が松明を豪快に振り回しながら参拝客を追いかける場面もあり、ギリギリのせめぎ合いが面白い。度胸試しに大松明を飛び越えようとする子供たちもいてカオス。
●関東鉄道常総線大宝駅から徒歩3分
“火”をテーマにした催しが目白押し!「第78回秦野たばこ祭」
神奈川県秦野市・本町小学校ほか/9月27日(土)・28日(日)
かつて市内で栽培されていた葉タバコの耕作者の慰労会として始まった祭り。2日間にわたり「火」をテーマにしたイベントをつないでいく。なかでも27日の「ジャンボ火起こし綱引きコンテスト」がユニーク。櫓(やぐら)に立てた高さ約5mの心棒を両側から綱で引っ張り合い、火が付くまでの時間を競い合う。28日には開催初期から踊り継がれる「たばこ音頭パレード」や「らんたん巡行」などが続き、ラストは盛大な打ち上げ花火で締めくくる。
“すっごい”ポイント!
全国でここだけという巨大な火起こし器や、綱を引いた摩擦で点火するという原始的な方法など、ツッコミどころが満載。2025年も市内外のチームにより熱戦が繰り広げられる。
●小田急小田原線秦野駅北口から徒歩10分
裸の男たちが深夜に狂喜乱舞「見付天神裸祭」
静岡県磐田市・矢奈比賣(やなひめ)神社/9月21日(日)~28日(日)
矢奈比賣神社の神様が遠江国の総社である淡海国玉(おうみくにたま)神社へ渡御する際に行われる祭り。8日間通して行われる神事の中で最大の見どころは27日の深夜に行われる「鬼踊り」。腰みのを着けた裸の男たちが町内を練り歩き、23時過ぎになると掛け声を上げて拝殿に飛び込む。その数はなんと約1000人にものぼる。男たちが邪気を追い払うように足で地べたを踏み鳴らすような動作をしながらエネルギッシュにもみ合う姿は迫力満点だ。
“すっごい”ポイント!
激しい鬼踊りの最中、花火の打ち上げを合図に神社や街中の明かりが一斉に消えて、静寂な暗闇の中を神輿が淡海國玉神社まで渡御する。そんな静と動のギャップもまた魅力。
●JR東海道本線磐田駅からバス7分の「見付」下車、徒歩6分
豪華な帯を下げた大奴に注目!「島田大祭(帯まつり)」
静岡県島田市・大井神社/10月11日(土)~13日(月・祝)
度重なる大井川の水害により現在の地に鎮座した大井神社の神様が、ふるさとの御仮屋町に3年に一度里帰りする祭り。お殿様を中心に御神体を運ぶ神輿(みこし)、鹿島踊、5台の屋台など元禄絵巻を再現した大名行列は圧巻。なかでも花形的存在が25人の大奴(おおやっこ)。腰に差した2本の木太刀に艶やかな丸帯を下げた独特の出で立ちで厳かに踊り歩く。これは大奴が島田に嫁いできた花嫁の帯を披露し、挨拶回りと安産祈願に代えたという風習によるものだ。
“すっごい”ポイント!
延々と続く大名行列は約1kmもあり、神社から御旅所までの往復に約10時間もかかる。屋台踊りでは長唄や三味線などのプロの芸人が招かれ、まるで歌舞伎座にいるよう。
●JR東海道本線島田駅北口すぐ
夜空を覆い尽くす四尺玉の迫力たるや「燃えよ! 商工会青年部!! 第22回こうのす花火大会」
埼玉県鴻巣市・糠田運動場および荒川河川敷/10月11日(土)※荒天中止
行政主導ではなく、地元の経営者や若手後継者のボランティアによる手作りの花火大会。約2万発が打ち上げられ、見どころは尺玉三百連発や四尺玉が圧巻の「鳳凰(おおとり)乱舞」。全国2カ所でしか見られない四尺玉が、川幅日本一を誇る荒川の上空で直径800mもの大輪の花を咲かせる。「30名ほどで活動していますがチームワークはばっちり。鳳凰乱舞は自分たちにしかできない花火と自負しています」と実行委員長の志村祐介さん。17時30分~。
“すっごい”ポイント!
会議は仕事が終わる夜から始まり、会場の草刈りやゴミ拾いも行うという青年部メンバーの熱い思いが結集した美しい花火は感動必至。都心では見られないダイナミックなスケール!
●JR高崎線鴻巣駅西口から徒歩40分
取材・文=香取麻衣子
『散歩の達人』2025年9月号より
※掲載の祭り情報は2025年7月末時点のものです。お出かけ前に最新情報を必ずご確認ください。





