食材と日本酒に津々浦々の風味立つ『風追ゐ』【三鷹】

勢子蟹の蒸し寿司いくらかけ1680円、5点刺し盛り1050円、焼き寒さわら せり柚子餡980円。
勢子蟹の蒸し寿司いくらかけ1680円、5点刺し盛り1050円、焼き寒さわら せり柚子餡980円。

修業時代、岩手の宮古から静岡の舞阪まで漁港巡りで縦断した店主の山梨央(ひろき)さん。「今も休みの日は食材探しが楽しい。生産者に近くありたいんです」。ある日の刺し盛りは、北三陸の神経締めのスズキや舞阪のタイなど各地の旬が一皿に集結。出会った漁師に地元の酒販店を紹介してもらったこともあり、食材と同じ産地の日本酒で一杯やる楽しさも。お燗向けの酒も揃い、カニ出汁のしみた蒸し寿司と「奥播磨 芳醇辛口」の燗酒との相性ときたら!

盛り付けや彩りも美しい。
盛り付けや彩りも美しい。
小牧さくらさん(右)がお酒の仕入れを担当。
小牧さくらさん(右)がお酒の仕入れを担当。
店主の山梨さんは懐石や寿司店で修業。
店主の山梨さんは懐石や寿司店で修業。
冷酒向け7割、燗向け3割ほど。この日は「酉与右衛門(よえもん)」や「長珍」「飛良泉」「悦凱陣」など、地方の酒販店からの仕入れも多い。90ⅿl 550円~。
冷酒向け7割、燗向け3割ほど。この日は「酉与右衛門(よえもん)」や「長珍」「飛良泉」「悦凱陣」など、地方の酒販店からの仕入れも多い。90ⅿl 550円~。

『風追ゐ』店舗詳細

住所:東京都武蔵野市中町1-10-7 山本ビル2F/営業時間:16:00~22:00LO(木は17:00~)/定休日:不定/アクセス:JR中央線三鷹駅から徒歩6分

美しく澄んだべっぴんおでん『おでん都』【三鷹】

おでんのたまご220円は半熟。茹でたん660円。この日のむきセコ蟹1980円など海鮮料理も人気。魚介の仕入れは豊洲の『魚辰』から。
おでんのたまご220円は半熟。茹でたん660円。この日のむきセコ蟹1980円など海鮮料理も人気。魚介の仕入れは豊洲の『魚辰』から。

お通しのおでん大根330円から、透明で繊細な味わいに驚かされる。「注ぎ足しではなく、昆布や煮干し、マグロ節などで毎日出汁をひく。だから味がブレないんです」と西岡塁さん。圧力鍋で下ゆでし、注文後におつゆで温める茹でタンをはじめ、一皿で供されるおでん盛合せと違ってどれも単品エースを張れる味わい。この上品なおつゆで作るだし割550円はもはやお吸い物で、グビグビいけてしまう。

1階のカウンターは立ち飲みと座り席を用意。
1階のカウンターは立ち飲みと座り席を用意。
八丁通りの路地に立地。
八丁通りの路地に立地。
日本酒は定番の「常山」「松の寿」を含め約20種。プレミア酒を除き半合550円、1合990円。焼酎は、「黄麹蔵」(右端)など国分酒造のものを幅広く揃える。
日本酒は定番の「常山」「松の寿」を含め約20種。プレミア酒を除き半合550円、1合990円。焼酎は、「黄麹蔵」(右端)など国分酒造のものを幅広く揃える。

『おでん都』店舗詳細

住所:東京都武蔵野市中町1-19-9/営業時間:17:00~23:00LO/定休日:日/アクセス:JR中央線三鷹駅から徒歩5分

地元酔客の心をつかむちょっといい酒肴たち『肴ノate 二合半(こなから)』【三鷹】

シラウオやサワラ、生ウニなど7種が並んだ刺し身全盛り1749円、おばんざい3種759円。
シラウオやサワラ、生ウニなど7種が並んだ刺し身全盛り1749円、おばんざい3種759円。

日本酒も料理も品書きは日々替わる。「普段使いの常連客が多いので『今日は何があるかな?』とワクワクしてほしくて」と奥平篤之さん。魚の仕入れは、経堂の名店『魚真』から。ナメタガレイは煮付けに、地ハマグリは酒蒸しに、活車エビは刺し身か焼きにと、“こういうの!”と欲していた海の幸に喉が鳴る。お通しはないので、刺し身の盛り合わせを頼むと1種だけ先に出してくれることも!

「接客は元気が一番」と店主。奥にテーブル席も。
「接客は元気が一番」と店主。奥にテーブル席も。
豚ナンコツ入りの炒飯869円。店主は中華でも修業。
豚ナンコツ入りの炒飯869円。店主は中華でも修業。
この日の日本酒は「酒一筋 かたつむり」「美寿々」「会津中将」ほか、酒質も産地も偏らないよう約6種。焼酎は「安田」や「中々」などを厳選。各120ⅿl 759円。
この日の日本酒は「酒一筋 かたつむり」「美寿々」「会津中将」ほか、酒質も産地も偏らないよう約6種。焼酎は「安田」や「中々」などを厳選。各120ⅿl 759円。

『肴ノate 二合半』店舗詳細

住所:東京都三鷹市下連雀3-28-8 エスポワール本町1F/営業時間:17:30~24:00(火・金は11:30~13:30でランチ営業あり)/定休日:日/アクセス:JR中央線三鷹駅から徒歩5分

居心地も気前もいい住宅地に潜む良店『さかな家 碧(あお)』【武蔵境】

日生の牡蠣のバター炒め(写真手前)や天ぷら・フライは各990円。奥は店主のおまかせ刺し盛り7点。
日生の牡蠣のバター炒め(写真手前)や天ぷら・フライは各990円。奥は店主のおまかせ刺し盛り7点。

魚介は鮮度と良心的価格を大切にする多田薫さん。カキは熱を通してもふっくらで、噛(か)むとミルキーなうまみがジュワ~。「いま加熱用では豊洲で一番評価が高い岡山県日生(ひなせ)のカキを現地から直送してもらってます」。清瀬の『魚三九(うおさく)』から仕入れる鮮魚の刺し身は小指ほどの厚さに切って7点盛りで1430円。日本酒は「楯野川」の純米大吟醸90ⅿlも焼酎の「八幡」も全部550円と、うれしいズボラ設定!

彩り野菜のピリ辛肉みそ炒め660円など中華メニューも。
彩り野菜のピリ辛肉みそ炒め660円など中華メニューも。
気さくな店主のファンも多い。テーブルも2卓用意。
気さくな店主のファンも多い。テーブルも2卓用意。
日本酒は吉祥寺の『大阪屋酒店』から仕入れる。「大信州」「山の井」など食中酒からフルーティー系まで約10種。焼酎は「真鶴」「伊佐美」など現地仕入れの銘柄も。
日本酒は吉祥寺の『大阪屋酒店』から仕入れる。「大信州」「山の井」など食中酒からフルーティー系まで約10種。焼酎は「真鶴」「伊佐美」など現地仕入れの銘柄も。

『さかな家 碧』店舗詳細

住所:東京都武蔵野市境南町2-12-21/営業時間:17:00~23:30LO/定休日:日(月が祝の場合は休)/アクセス:JR中央線・西武鉄道多摩川線武蔵境駅から徒歩4分

現地食材とディープな泡盛で南国気分『沖縄料理居酒屋 ズミ』【武蔵小金井】

茎付きが珍しい海ぶどう680円、ゴーヤチャンプル780円。
茎付きが珍しい海ぶどう680円、ゴーヤチャンプル780円。

店主の山岸哲弥さんは年に2、3回足を運ぶほど沖縄と泡盛好き。「海ぶどうもゴーヤも沖縄の生産者から直送。海ぶどうは新鮮ですごいプチプチ感ですよ」。大ぶりの皮付きラフテー500円はプルプルで、爽やかなオリオンの生中780円も、重厚な香りの泡盛「KUINA BLACK 山原くいなゴールド」も相性よし。2階には車座で座れる席も。「沖縄のお酒と料理で、お客さん同士つながってもらえれば!」。

店内は南国ムード満点。店主の手には夫婦ハブ酒500円。
店内は南国ムード満点。店主の手には夫婦ハブ酒500円。
石垣島の製麺所から仕入れる丸いストレート麺を使う八重山そば780円。
石垣島の製麺所から仕入れる丸いストレート麺を使う八重山そば780円。
「八重泉」「請福(せいふく)」など石垣島の泡盛や、古酒も。1杯680円~。はいさいボール580円から久米仙のライスウイスキー880円まで沖縄の酒がずらり。
「八重泉」「請福(せいふく)」など石垣島の泡盛や、古酒も。1杯680円~。はいさいボール580円から久米仙のライスウイスキー880円まで沖縄の酒がずらり。

『沖縄料理居酒屋 ズミ』店舗詳細

住所:東京都小金井市本町5-8-3/営業時間:17:00~23:00/定休日:不定/アクセス:JR中央線武蔵小金井駅から徒歩5分

圧巻の刺し盛りは鮮魚店直営だからこそ『STAR 魚’s MAN(スターウオーズ マン)』【東小金井】

黒ムツあぶりやシマアジ、ヒラメ、大トロなどが彩るこの日の特上盛1540円。2人前からは2段重ねでサプライズ演出。
黒ムツあぶりやシマアジ、ヒラメ、大トロなどが彩るこの日の特上盛1540円。2人前からは2段重ねでサプライズ演出。

武蔵境で百年余の鮮魚店が営んでおり「3代目が豊洲の卸と深いつながりがあるから、この魚種、この鮮度のものをお安く提供できるんです」と、店長の松本優生さん。刺盛特上盛8点はなんと2点まで自由に選べ、本マグロ大トロも生ウニも寒ブリもご指名OK! キンキの煮付けやクロムツの一夜干しなど加熱する料理もスター揃いで、注文は長考必至。「田酒」「仙禽」などこちらも実力派が並ぶ地酒をやりながら、じっくり悩むべし。

カウンターのほかテーブル席や半個室も。
カウンターのほかテーブル席や半個室も。
金目鯛の煮付けは時価(写真は2068円)。
金目鯛の煮付けは時価(写真は2068円)。
仕入れは『はせがわ酒店』からで、吟醸香のあるフルーティーな味わいの日本酒中心。1合990円の通常メニューに加え、「十四代」「飛露喜」など希少な銘酒も入荷する。
仕入れは『はせがわ酒店』からで、吟醸香のあるフルーティーな味わいの日本酒中心。1合990円の通常メニューに加え、「十四代」「飛露喜」など希少な銘酒も入荷する。

『STAR 魚’s MAN』店舗詳細

住所:東京都小金井市東町4-38-17 水沢ビルB1/営業時間:17:00~23:00(金・土は~24:00)/定休日:無(臨時休あり)/アクセス:JR中央線東小金井駅から徒歩2分

取材・文=鈴木健太 撮影=泉田真人

『散歩の達人』2025年2月号より