もはや、敷地内は小さな街
昼時になれば、そこかしこにオフィスワーカーの姿が。行列ができている店もあり、活気がある! どうやら、団地の外から訪れる人が多いようだ。分かる。選べる店多いし、どれもそそられるもんなあ。
もちろん、住民と店の交流もある。『Nickel☆ニケル』のスタッフ・真綺さんは「ご年配の方から、娘のようにかわいがってもらってます」とにっこり。さらに、店舗同士のコラボも。「ウチの1周年記念のとき、『ガハハビール』さんにオリジナルIPAの醸造をお願いしたんです」と、『Louis Hamburger Restaurant』の小塚さん。その『ガハハビール』の軒先で一杯やっていると、下校中の小学生たちが「ガッハッハー!」と声を上げて目の前を駆け抜けていった。ウケる。この子たちが大人になったら、ここで飲んでんのかな?
もはや、敷地内は小さな街。牧歌的で人情味あふれる風情も、団地グルメの味わいと言えよう。自分ちの足元にこんな楽天地があるなんて! ちょっとうらやましくなっちゃったよ。
『Nickel☆ニケル』でハレの日だけでなく普段使いのフレンチを
自らを「理系だからかな、調理オタクなんだよね」と評するシェフの大岩達人さん。クラシックな技法をベースに研究を重ね、硬派な味わいと豊かな彩りが融合した自身のスタイルにたどり着いた。人気のハラミステーキを頬張れば、肉のうまみがじわり。アサツキの青々しさが残り、後味爽やかだ。ふっくら柔らかな鮮魚のポワレは焦がしバターソースにがっつり心つかまれる。パンに染み込ませて、最後の一滴まで平らげたい!
『Nickel☆ニケル』店舗詳細
/アクセス:地下鉄東西線東陽町駅から徒歩5分
『Louis Hamburger Restaurant(ルイス ハンバーガー レストラン)』は、ありそうでなかったチーズバーガー専門店
「バーガーごとにチーズを使い分けています」とは、店主の小塚(こつか)研介さん。看板のチーズロワイヤルには実に8種類も使用。小麦香るバンズ、ステーキ肉とスライス肉を合わせた肉感たっぷりのパティ、みずみずしい野菜といった、各食材の持ち味をブーストしている。かじりつけば圧倒的食べ応えににんまり。しかし、後味は軽やかで、どんどん進む。クラフトビールも合わせて、ゴキゲンなひと時を過ごそう。
『Louis Hamburger Restaurant』店舗詳細
団地で地ビールと絶品つまみをぺろり。『ガハハビール』
店主の馬場哲生さんいわく「ビールは笑って飲むもん」。その言葉通り平日休日、昼夜問わず、ビール片手に楽しげな人々の姿が目に映る。団地内で醸造した自家製クラフトビールは言わずもがなだが、実はつまみも侮れない。スパイス香るガハハとり唐揚げをビールで流しこめば、フルーティなホップの香りがさらに花開く。また、しっとり濃厚な下町レバーなら、重ためのビールにぴったりだ。
『ガハハビール』店舗詳細
取材・文=どてらい堂 撮影=井原淳一
『散歩の達人』2024年1月号より