一力
味よし人よし、もつLOVERの天国
大病を患った鈴木順二さんが、今秋、7カ月ぶりに営業再開。「久々にマスターに会いに来たの」「この店に灯がともってねえと通り全体が寂しくてさ」とは常連の弁。彼らが愛するのは芝浦直送のモツを使うもつ焼き。「今朝つぶしたブゥちゃんが届くから新鮮」と店主が言う通り、小袋はプリプリで臭み皆無、タンはサクッと歯が入り旨味が広がる。昔はレバ刺しで出していたくらいの鮮度の部位を焼く極上のレバー焼き400円は、とろとろ食感に破顔!
『一力』店舗詳細
田の神さぁ
同郷の鶏と焼酎のペアリングが最高
「宮崎県えびの市から直送の、うまい赤鶏の鶏刺しを食べてほしい」と同市出身の入佐孝博さんが開店。鶏刺し三点盛りは、ねっとり官能的な食感のささみ、コリコリ食感の砂肝、軽く炙(あぶ)った胸のたたきが皿を美しく彩る。同じく赤鶏の白レバー刺しは濃厚な味わいがウニのよう! 焼酎も地元えびの市の明月6種を揃えており、例えば芋の香りが野趣あふれる黒麹グラス400円は、タマネギたっぷりの甘いタルタルを纏(まと)ったチキン南蛮と相思相愛。
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赤城
もつを焼き約半世紀の、店主渾身の串
1979年創業の老舗を角田(つのだ)さん夫婦が切り盛り。店主の克彦さんは修業時代を含め、もつを焼いて約50年。その技を存分に堪能できるのがもつ焼き4本ミックスだ。プリッとしたカシラを噛めば肉汁が口に広がり、飴色に光る濃厚甘辛だれがかかったシロやレバーは焼酎ハイボールを加速させる。この琥珀色の酒はいわゆる下町ハイボールで、八重子さんが一杯ごとにアイスピックで氷を割り入れてくれるので最後まで味が薄まらずうまい!
『赤城』店舗詳細
彩波
絶妙火入れは、鮮度への自信の表れ
岩野真幸さんが故郷の新小岩・みのり商店会で開いた店は、地元の老若男女で常ににぎわう。「串焼きの豚は火を通してもやわらかい上州豚とことんを焼いてます。カシラの肉汁なんてヤバいっすよ」。サンドという脂の多い部分を使ったプリプリのシロ、ふっくらやわらかくうまみの濃いチレも、また美味。こちらも看板の鶏刺しは宮崎県の赤鶏を使用。トゥルトゥルと舌で躍る白レバー、噛めば旨味が広がる炙りモモなどで肉祭りを謳歌せよ。
『彩波』店舗詳細
鳥正
店主自らが市場に赴き、魚を吟味
魚は島田正作さんが1日おきに船橋市場へ仕入れに行く。「卸の人とは付き合いが長いし、大量に買い付けるからいいものを安く仕入れられるんです」。魚料理専門の職人がさばくお刺し身盛合せは、カンパチのプリプリ感や脂ののったシマアジのコリコリ感で新鮮さを実感。ほかにも巨大なタイのかぶと焼き648円や魚介が10種も入った寄せ鍋1944円など、どれも食べ応え満点。「お客の期待を裏切らないよう50年間一生懸命やってきました」。
『鳥正』店舗詳細
鳥勢
香ばしい匂いが誘うのんべえの集会所
昭和通り商店街に突如現れる黄色い店と酒飲みたち。なんだこのアジア的空間は?「光や風が通り抜けるように人が行き交うオープンな店にしたくて」とやきとり焼いて40年近くの糸田正樹さん。娘さん手製のPOPに「うますぎて泣いちゃう」と書かれた各串は、独特な甘いタレをまとったふんわりレバーや、一度炒ってまろやかにした塩を振る手羽先などが酒を進ませる。しかもセルフで注ぐ100円緑茶ハイなど格安で飲めるから、あっという間に赤ら顔!
『鳥勢』店舗詳細
新小岩福島
魚屋直営ゆえに、質と鮮度に自信あり
ルミエール商店街を曲がった先の細い路地に店はある。「そこの角にある『魚次三(うおじさ)』という魚屋の3代目がここのオーナー。だから魚が足りなくなったら『魚次三』ですぐ補充し、新鮮なものをお出しできるんです」と料理長の木田達也さん。それプラス、築地から直に仕入れた魚介が彩る刺し盛りは中央に当日一番食べてほしい旬の魚が鎮座。マダイなど白身は熟成させたものが並ぶ。刺し身に料理長厳選の地酒を合わせれば旨味が口内でふくらみ、ついもう一献。
『新小岩福島』店舗詳細
立呑みしげきん
板前の手作り酒肴が奇跡の340円均一
店主の伊藤茂雄さんは、やきとり屋や寿司屋などを経て、2007年に立ち飲みをオープン。「立ち飲みだけど、料理に対し、とにかく“仕事”はきちんとしたい」という職人肌で、ポン酢も鶏モモからミンチにするつくねも、ほぼ全部手作りだ。しかも、店に並ぶ゙約50種の短冊メニューは、特別料理以外340円均一とすこぶる安い。なかには量を半分にし170円で頼める“半組み”メニューも! 常連いわく「ここ最高でしょ? 私たち週4で通うしげきん中毒なの」。
『立呑みしげきん』店舗詳細
構成=福井晶 取材・文=鈴木健太 撮影=オカダタカオ、丸毛透