喫茶 木の実
モダンと郷愁がないまぜ
白黒のチェックフロアに配した多くの絵画、間仕切りの鉄製柄は店主山本さん故父・正義さんの遺作。ランプが彩る1955年創業の老舗喫茶は、空間ごとに工夫を凝らし、席ごとに表情を変える。しかも、酸素を出す植物灯、強力空気清浄機などもあり、どことなく空気がのびやかだ。評判のメニューは数あるが、なかでもハンドドリップを急冷した泡のせアイスコーヒーは「冬でも人気です」と山本さん。自家製ケーキ、特製ソース入りのサンドイッチにも頬が緩む。
『喫茶 木の実』店舗詳細
白鳥
アーチが連なる優美系にときめく
窓、飾り垂れ壁、鏡張り、そのすべてがアーチを描く。「母と始めるとき、父がデザインや店名を考えてくれたんです」と、店主の鈴木綾子さん。一角に、絶滅危惧種のスペースインベーターのゲーム機もあり、その気取らなさと、駅前を見下ろす心地よさが、老若男女を引きつけてやまない。朝のモーニング、昔ながらのナポリタンなどにもそそられるが、フルーツパフェには歓声が上がる。たっぷりのアイスを色とりどりのフルーツが彩り、多幸感たるや。たまらん!
『白鳥』店舗詳細
珈琲ハウス 赤茄子
人柄にじむ味と風情に心が踊る
店主の高橋秀博さんは元イタリアンのコックさん。ゆえに、オムライス、ナポリタン目当てが少なくない。けれど、ここは喫茶店。その腕と心配りはメニューひとつひとつに注がれる。自家製ババロアは、生クリームをホイップしてふんわりなめらかな舌触りに。「冷え方が違うから」と、クリームソーダは鋳物の手回しクラッシャーで砕いた氷入り。朝食に人気のおにぎりはコシヒカリを用い、あずきトーストは相性のいい昆布茶をセットに。心満ちるひとときだ!
『珈琲ハウス 赤茄子』店舗詳細
どりんく&とーく うふふ
まったり憩いたくなる一軒家カフェ
住宅地の路地に立つのは、瀟洒(しょうしゃ)なロッヂ風一軒家。夕暮れどきに始まり、みさおママが愛する郷里・新潟の地酒・鶴齢(かくれい)や、ウイスキーのボトルがカウンターをにぎわす。とはいえ、「コーヒーだけの人も少なくないのよ」と話す通り、ジャズやブルースが流れるなか、天井高い木造りの空間で、ハンドドリップのコーヒーをゆっくりすすりたくなる。山小屋の隠れ屋根裏のような2階席もいいが、音楽や本、文化を愛するママとのおしゃべりを楽しむなら、1階席がいい。
『どりんく&とーく うふふ』店舗詳細
構成=柿崎真英 取材・文=佐藤さゆり 撮影=木村心保