大屋書房

江戸前タイムマシンで行こう

妖怪総出演の『百種怪談妖物双六』(むかしばなしばけものすごろく)は安政5年(1858)刊。

棚に積まれた本はことごとく和綴じ。博物館で見るような浮世絵、見ているだけで妄想が広がる古地図……。高価な稀少品でもなんと手に取れるという、神保町が誇る“江戸博物館”だ。復刻物や現代に出版された画集、研究書なども並び、博識な3代目、4代目店主もいるので、江戸ビギナーも大丈夫。外国人にも人気の店。

全10巻の人気江戸観光ガイドブック『絵本江戸土産』。嘉永3年(1850)~慶應3年(1867)刊。
町の由来や名所案内の正確さから今も第一級の江戸資料である名著『江戸名所図会』天保5年(1834)~刊。

『大屋書房』店舗詳細

住所:東京都千代田区神田神保町1-1/営業時間:10:00~18:00/定休日:日・祝(営業の場合もあり)/アクセス:地下鉄神保町駅から徒歩3分

magnif

雑誌でファッション考古学を学ぼう

各号の内容をわかりやすく表示。ビニール袋も開けて閲覧OK。データ化が完了しないと店出ししない、オーナー中武さんのこだわりに脱帽だ。

次号が出れば消え行く運命の雑誌、しかも最も流行に敏感なファッション系を中心に並べる。神保町らしからぬオシャレな店構えだが、どの時代の雑誌も貴重な文化ととらえる店主の心意気あふれる店。業界のプロから過去を新鮮に感じる若者、懐かしく思う元若者、日本文化に関心を抱く外国人など、お客さんもバラエティ豊か。写真集や関連書籍も充実。

マニアックなレトロアパートもきっちりおしゃれな特集に仕上げてしまう、1973年の『アンアン』2200円。
1965年の『メンズクラブ』3300円。スナップ写真に当時の街の風景が。

『magnif』店舗詳細

住所:東京都千代田区神田神保町1-17/営業時間:11:00~19:00/定休日:不定/アクセス:地下鉄神保町駅から徒歩2分

明倫館書店

理系脳細胞を覚醒させよ

理系といってもビジュアル系の書籍も多く、掘り出し物が満載だ。

ガウス、湯川秀樹、ダーウィン、アインシュタイン。紙袋に印刷された天才たちの顔ぶれが象徴するごとく、バリバリの自然科学一筋の専門古書店。しかし理系といっても幅広く、動植物、天文、コンピュータに建築と、実は文系にも取り付く島のある分野も多い。晴れた日に店先にズラリ並ぶ、ジャンル不問のラインナップも注目。

『明倫館書店』店舗詳細

住所:東京都千代田区神田神保町1-9/営業時間:10:30~18:30(祝は11:30~18:00)/定休日:日/アクセス:地下鉄神保町駅から徒歩1分

鳥海書房/鳥海書房 姉妹店

愛すべき生きとし生ける物へ

ペットも動物ならカラスも野鳥。食材も動植物だから料理本も。さくら通りの姉妹店の棚を見ると、動植物専門古書店が一気にカジュアルに感じられる。園芸書も釣り本も、想像を絶するサイズの図鑑もある。そして本店の古書センター3階の売り場に並ぶ、美しい博物画の圧倒的な品揃えは、ここは美術書の店か?と目を疑うほどなのだ。

1980年に刊行開始した『東京公園文庫』シリーズ420~648円。
大正15年(1926)刊行の江戸名物集を主体に再編した『江戸のたべものや』9180円。こちらは姉妹店で見つけた。

『鳥海書房/鳥海書房 姉妹店』店舗詳細

住所:東京都千代田区神田神保町2-3 神田古書センター3F /営業時間:10:00~18:30(金・土は~19:00、日・祝は11:00~17:30)/定休日:無/アクセス:地下鉄神保町駅から徒歩1分
住所:東京都千代田区神田神保町2-11-4/営業時間:10:00~18:30(金・土は~19:00、日・祝は11:00~17:30)/定休日:無/アクセス:地下鉄神保町駅から徒歩1分

手塚書房

プロも通う歌舞音曲の宝箱

こぢんまりした店内からは想像できない、演劇、邦楽、芸能関連の濃密な品揃えに圧倒される。特に歌舞伎と落語の充実度は、このジャンルの専門書店がない神保町では貴重な、いや、都内でも有数の古書店だ。昔の名優たちの舞台写真葉書も豊富で、その道のプロも探しに来るという。探せば署名本も手頃値段で……。

昭和の名人にして芸界随一の博覧強記、6代目三遊亭圓生の『寄席切絵図』。
『大江戸回り舞台』には、歌舞伎の演目にゆかりの場所や町の案内が書かれている。
三崎町にあった芝居小屋「三崎座」の明治35年(1902)の宣伝用出演者番附。

『手塚書房』店舗詳細

住所:東京都千代田区神田神保町1-27/営業時間:12:00~19:00/定休日:日・祝/アクセス:地下鉄神保町駅から徒歩2分

東方書店

日本文化の影響力を思い知る

中国・香港・台湾などの書籍と雑誌、国内で刊行された関連書籍と研究書を扱う専門書店。ガイドブックや武術、料理の本もあるので、研究者はもちろん、中国に興味のある人の来店も多い。マンガや人気日本人作家の翻訳本も充実し、近年は関心の幅もグッと広がってきた。輸入書籍の学生割引(10%)やセールも多いので要チェック!

『東京B級美食』の下巻3888円はスイーツ店のみを掲載し、マニア度もアップ!
表紙に富士山と謎な新幹線もどきを合成しちゃった日本地図、『日本地図册』1890円。

『東方書店』店舗詳細

住所:東京都千代田区神田神保町1-3/営業時間:10:00~19:00(日・祝は12:00~18:00)/定休日:無/アクセス:地下鉄神保町駅から徒歩1分

東京堂書店

名物“軍艦”は頭の柔軟体操の場である

その形から愛称がついた「軍艦」。みっちりと並ぶ様が美しい。

日本随一の本の街・神保町にあって信用を得ているのは、まずは地道な仕事だ。乱雑にならず、棚に空白をつくらず、常にメンテナンスを心がけている。そして1階中央、「軍艦」と呼ばれる平台は、新刊と共に既刊も置く濃厚な知の泉。ここで頭を柔らかくして2・3階へと向かうのがおすすめだ。そして、フェア。全書店員さんが楽しみながら考え、続々と案があがってくる。フェアは書店員さんの頭の中。本好きでなくとも、のぞいてみたい。

通り沿いは1~3階までカフェスペース。
『あしたから出版社』島田潤一郎、1650円。ひとり出版社・夏葉社を立ち上げた作者の自伝。若い人に読んでほしい。

『東京堂書店』店舗詳細

住所:東京都千代田区神田神保町1-17/営業時間:11:00~19:00(カフェは~18:00)/定休日:無(カフェは日・祝休)/アクセス:地下鉄神保町駅から徒歩3分

CHEKCCORI

ハングルを読めない方もどうぞ!

「新しい韓国の文学」シリーズを出版する『クオン』が、“読者とふれあいたい”との思いから、2015年7月にカフェも開設。本棚に並ぶのはハングルで書かれた文芸書や実用書、日本語によるガイドブックなど。韓国の文化や本について店員に質問しながら本を読んだり、現地をイメージしつつ旅の計画を立てたり、楽しみ方は十人十色だ。「お客様と一緒にお店を創っていきたい」と代表の金承福さん。進化し続けるブックカフェはいつ訪れても発見がある。

素敵な挿絵の本が多く、絵本好きにもおすすめ。ほぼ全品購入可。
韓国伝統茶や韓国餅といったカフェメニューも評判。写真の韓国餅はドライフルーツや 豆類がたっぷり入った栄養チャルトック500円。

『CHEKCCORI』店舗詳細

ブックカフェ二十世紀

店名に込めた意味は「20世紀の記憶装置」

キリッとした爽やかな辛味とバターの甘みがバランスよく合わさったカレー。サラダ付き600 円。オリジナルブレンドコーヒー280円。

カフェを併設した人気古書店。文学や芸能、食文化、サブカルなど20世紀を象徴する本が揃う。約35年前早稲田で創業した当初、店はサロンも兼ね、頻繁に読書会を開催。その後販売に絞ったが、2015年6 月、20余年ぶりにカフェも始めた。「初心に帰り、本を介して人が交わる場所を創りたいと思ったんです」とは店主の鈴木宏さん。お目当ての本探しの合間に、丁寧に淹れられたコーヒーでほっとひと息付くのも至福の時間だ。

トークショーなどのイベントも実施。
稀少本も気軽に手に取れる。

『ブックカフェ二十世紀』店舗詳細

住所:東京都千代田区神田神保町2-5-4 開拓社ビル2F /営業時間:11:00~19:00(日・祝は~18:00)/定休日:無/アクセス:地下鉄神保町駅から徒歩1分

三茶書房

神保町で55年。良書が集まる老舗

古本ではあるが、どの本も美しい。買った文庫にはカバーをかけてくれる。

三省堂書店の隣にあって人通りが多く、店先の均一コーナーをのぞく人も絶えない。品揃えは日本文学が強く、全集や復刻本などが美しく棚に納まっている。2代目店主の幡野武夫さんは明治以降の歴史に造詣が深く、歴史文献も増えてきた。先代のころから名士や作家との交流が続いているため信頼も篤く、貴重な資料が集まることも多い。一冊一冊の本を大切にしていることが棚から伝わってくる。

2代目店主の幡野さん。作家との交流のお話が尽きない。
絶妙のバランスで積まれた文学全集。

『三茶書房』店舗詳細

住所:東京都千代田区神田神保町1-1/営業時間:9:00~19:00/定休日:日(祝は不定休)/アクセス:地下鉄神保町駅から徒歩5分

南洋堂書店

街歩きから専門書まで、建築を知る

1~2階は吹き抜けになっている。

建築書専門店として、新刊と古書を区別なく置いている。1階は建築誌の最新号、作品集や実務書、2階は住宅・商店建築、数寄屋造りなど日本古来の建築や庭園についての本などが並ぶ。お客さんは学生や建築事務所の人が多いが、そうした専門書に限らず、近代建築や地形散歩など街歩きの本も人気だという。硬軟とり混ぜた幅広いラインナップになっているため、建築を身近に感じることができる。

表通りに面したガラス張りのウインドーが目印。
2階には、 建築・建築史を中心とした選書 シリーズ「SD選書」を常備。一方で民俗学の本もある。

『南洋堂書店』店舗詳細

住所:東京都千代田区神田神保町1-21/営業時間:10:30~18:30/定休日:日・祝/アクセス:地下鉄神保町駅から徒歩5分

夢野書店

血湧き肉躍る昭和漫画の殿堂

天井には番傘、おめん、ポスターなど。「ほっとする空気感をつくりたい」と西山さん。

かつての中野書店漫画部を西山友和さんが引き継ぎ2015年3月に開店。店内は、漫画と雑誌と雑貨が詰まった夢の空間だ。手塚治虫、水木しげる、白土三平といった昭和時代の名作の数々や、1970年代以降の少年・少女誌が年代別に並ぶ。漫画家の自伝や、評論にも力を入れていて、好きな作家の世界がより深まる楽しさもある。往時を懐かしむもよし、新たな出会いを求めるもよし。

貴重な原画も多い。生々しい筆致に思わず見入る。
西山さんは水木しげるに造詣が深い。

『夢野書店』店舗詳細

住所:東京都千代田区神田神保町2-3神田古書センター2F/営業時間:10:00~18:30(祝は11:00~17:30)/定休日:第1・3・5日/アクセス:地下鉄神保町駅から徒歩1分

構成=前田真紀、フラップネクスト 取材・文=高野ひろし、屋敷直子、信藤舞子 撮影=金井塚太郎、オカダタカオ