上品な甘みの、分厚いだし巻き玉子『大松』
店主の松島耕一さんは、先代の跡を継ぐまで北陸の旅館で修業していた。当時を振り返り「スーパーの特売日に卵を10パック買って、毎日お昼休みに巻く練習をしていました」と笑う。分厚く焼いただし巻きは、火から下ろしてすぐに、すまきで形を整える。薄皮のような表面が、柔らかい内部を包み込み、口にした瞬間、ほぐれる。昆布とかつお節、煮干しでとっただしに、砂糖とみりんの甘みが加わり、コク深くも上品な味わい。和食を中心としたメニューで、特にその日の仕入れでお品書きが変わる魚料理がおすすめだ。
『大松』店舗詳細
東北の銘酒と夫婦の人柄に、ほろり『かもし処 ひょん』
カウンター9席の小体な店ながら、日本酒好きが夜な夜な集う。全国の銘酒が約30種揃うが、特に店主・横田郁夫さん・貴子さん夫婦の地元・福島の酒蔵が充実。「震災で浪江町にあった蔵が流されてしまい、今は山形で醸している鈴木酒造店長井蔵(ながいくら)の『磐城壽(いわきことぶき)』を常時6~7種置いてます」。つまみは「浜育ちなんで」と魚介がメイン。その日仕入れた新鮮な魚の刺し身が酒を加速させ、地酒に関しては饒舌な貴子さんの語りが「もう一杯」を誘引!
『かもし処 ひょん』店舗詳細
懐に優しい価格は地元への感謝の証し『TONGA TONGA CAFE 金町』
レゲエやスカが流れる南国の屋台のような雰囲気の店は、オーナー小林貴史さんたちの手造り。「木の柱の角は落としてます。カッチリし過ぎが嫌いで(笑)」。メニューはメキポテト 380円や、オザワ家(スタッフの名前)仕様のポテサラ290円まで多国籍、縦横無尽。かつすこぶる安い。さらに20時までドリンク60種半額って! 「亡くなった前オーナーに地元に還元しろと言われてて、あんま価格上げられないんスよ」。
『TONGA TONGA CAFE 金町』店舗詳細
構成=アクトデザインラボ株式会社 取材・文=高橋健太(teamまめ)、鈴木健太 撮影=鈴木健太、丸毛 透