地元の人が訪れる大衆酒場
総武線本八幡駅の南口からガード下沿いに歩いて徒歩約5分、飲み屋街から少し外れたところにある『大衆酒場 馬越』。開店は2017年8月9日と比較的新しい店だ。店内の中央にコの字型のカウンターがあり、ほかテーブル席が数席ある。
客層は近所の住人や勤め人で、週に2~3回という高いペースで足を運ぶ。14時からのオープンで、明るい時間帯は仕事を引退したシニア層がよく飲みにきているという。
「外からのぞけば値段も書いてあるし、メニューに何が書いてあるかわからないということもない。年配の人も入りやすい店なんだと思います」と、代表の村田良介さん。
酎ハイはキンミヤで
一人当たりの平均予算は大体1700〜1800円程度。生ビールは300円、酎ハイは250円からという低価格で、何杯か飲んでつまみをいくつか頼めば、それでもう十分。船橋や豊洲から仕入れた魚の刺し身も人気だ。
酎ハイのベースは基本的に全部キンミヤを使っている。天羽の梅で割ったキイロ280円は、「お客さんが“黄色いのちょうだい”って言うので、じゃあそれでいいやと」命名された。他店では、下町ハイボールという呼び名で親しまれている。
肉豆腐に牛すじの煮込みを載せた重ネ。それぞれ単体で注文すると、煮込みが300円、肉豆腐が200円なので得した気分に。
揚げ物類で一番人気があるのが、紅しょうがのかき揚げ。さっぱりとした辛みとしっかり利かせた塩気で酒のアテにぴったりだ。
「一緒に働きたい」という人が増えると出店する
元々お酒を飲むのが好きだった代表の村田さんは、船橋の大衆酒場『一平』に通ううち、自分も働くようになり、独立して同じ船橋で『大衆酒場 増やま』をオープン。『馬越』は2店舗目になる。本八幡にはほかに『立呑 わたらい』があり、系列店は総武線沿線で7軒まで増えた。
「お客さんからスタッフになった人もいて、こういう店が好きな人が集まっています。でも、僕たちと働きたいと言ってくれても、その場所がないと働けないじゃないですか。なので、一緒に働きたいと言ってくれる人が増えたらお店を出すという感じです」と代表の村田さん。スタッフは決まった1店に出勤するのではなく、全店をまわるそう。「手間も多いんですけど、ひとりの人間が見ていると見落としてしまうことも、みんなで見ていると気づけるので」。
大衆酒場が好きな人が集まって、大衆酒場が増えていく。
「街に1つか2つはこういうお店があった方がいいですから」。
構成=フリート 取材・文・撮影=藤村恭子