仙台の借りを東京で返す!

昨年、仕事で仙台を訪れた。経費で行ったことのない場所を訪れるのは、うれしい反面、大抵ちょっと悔しい思いをする。現地を堪能する時間が足りないのだ。
牛タン、笹かま、ほや、ずんだ、日本酒……例に漏れず、仙台でも食べるべき名物や行くべき名店をリストアップしていたら1日5食超えになり、泣く泣くいくつかの店を諦めた。

あの時の雪辱晴らさずには、いられぬ。

思いたったら、宮城県へワープだ!

予算1000円!アンテナショップを巡る旅とは

我が家の電子レンジが壊れたことにはじまる。旅行に行けるその日まで残そうと決めていたお金が最新家電になってしまった。そのショックと出かけられないストレスが沼の化身になって現れて、私を飲み込む。節約と旅を両立できる場所を求めて、行き着いた先がアンテナショップだった。

ここでアンテナショップを巡る1000円旅、略して「せんたび」のルールを説明したい。

・予算1000円
・予算内ならなにを買ってもOK
・オーバーしたら、自腹

1000円ポッキリでご当地を堪能する品を買う。これだけだ。

池袋駅から徒歩5分「宮城ふるさとプラザ」

「宮城ふるさとプラザ」は1階に物産コーナー、2階には観光案内カウンターと牛たんが食べられるレストランがある。店に足を踏み入れると、牛たん弁当が中央に構え、私を誘惑する。これは、新幹線の仙台駅改札を出てすぐにに牛タンのお店が迎えてくれるのと同じ構図ではないか。

平日にかかわらず賑わっていて、レジのお姉さんとお客が全国高校野球大会の結果について話している。漂う雰囲気がそこはかとなく宮城県でテンションが上がる。

アマビエラベルの日本酒をもって出迎えてくれた大蔵さん。
アマビエラベルの日本酒をもって出迎えてくれた大蔵さん。

いつもの通りお店の方にお店を案内していただく。お話を伺ったのは、クールな眼鏡の下に宮城愛をたぎらせたアツい男・大蔵さんだ。

大蔵さん:あふれんばかりの宮城県の魅力をなんとかこのお店に凝縮させました。福井さんのように一度訪れて宮城県ののトリコになった方や、宮城県出身の方だけでなく、近隣にお住いの皆さんもふらっと立ち寄ってくださいます。

今晩のおかずはアンテナショップで

大蔵さん:まずは宮城といえば、笹かま! 皆さん、おつまみ、おやつ用にいろんな種類をまとめ買いされますね。季節商品もあり、入れ替わっていくので何回来てもここのコーナーは攻略できないかも。

大蔵さん:特に半熟玉子入りの半熟ばくだんは人気ですし、私もお気に入り。お酒のお供に最高です。

福井:もう良すぎて、今日買うものが決まってしまった感じがしますね。かまぼこ系をアソートっぽく1000円分買っちゃおうかな。

大蔵さん:ちょっとまった! 早すぎます。まだまだ、紹介しなければいけないグルメが目白押しなので! これは知っていますか? 三角定義あぶらあげ。

福井:すごいジャンボサイズですね。

大蔵さん:地元スーパーでは絶対といっていいほど並んでいる油揚げです。シンプルに焼いて食べるもよし、煮物にするもよし! 割とすぐに売り切れちゃうんですよ。

大蔵さん:仙台麩(あぶら麩)も人気があります。当店は晩ご飯のプラス一品を買いにいらっしゃる方も多くて、今晩のおかずに迷ったらぜひお立ち寄りいただきたいです。

福井:確かに、晩ごはんの脱マンネリに力を貸してくれそう。牛タンや海産物などのメインを張る食材から、副菜にぴったりな料理までそろいますもんね。

大蔵さん:冷凍のずんだもちや乳製品など、甘いものもたくさんそろえています。

シラタキ:あ!!これは!!

ここにきて、同行していた編集部のシラタキが急に目を輝かせる。蔵王を見るなり「福井さん、これは絶対買ったほうがいいやつです。なんなら私が買いますから、1000円超えても許します」と、すごいゴリ押しをきめてきた。でも買ってくれるなら文句はない。ぜひ味わってみたい。

というわけで、今回の1000円セットは……

私の宮城県1000円セット

下記のとおり!!

ちびタン 119円
かきかまぼこ 181円
半熟ばくだん 313円
ホヤぼーやカップ 385円

計998円!あまり2円。

これは見るからに満足度の高いセットではなかろうか。自分を褒めたい。

半熟ばくだんはカットすると、とろ〜りと黄身が流れていく。
半熟ばくだんはカットすると、とろ〜りと黄身が流れていく。

半熟ばくだん、ちびタン、かきかまぼこを、ウキウキしながら食べ比べていく。鼻に抜ける香りはスモーク、海の香りと個性が感じられ、食感や味わいもそれぞれ明確に違う。一口食べては、鼻歌交じりに酒をあおる。気分は仙台から帰る新幹線の中だ。心地よい。

1000円オーバー!はみ出し購入品

三角定義あぶらあげ600円。
三角定義あぶらあげ600円。

ご紹介いただいた時に、網で焼いて日本酒でいただく未来が見えた。スタンダードに生姜と醤油でも美味しいはずだが、閃いてしまって、ふきのとう味噌と一緒に食べる。
外側はパリッと香ばしく、中はフカフカでしっとり。ギャップにときめき、お行儀悪くスマホで調べると「本店は揚げたてを食べられる」とある。

あぁ、次に行く時には絶対だ。

牛タン仙台ラー油750円。
牛タン仙台ラー油750円。

大蔵さんが「具の9割が牛タンで、すごく手間をかけて作っているんです。そのおかげで生産が追いつかないこともあるくらい」と紹介してくれたご飯のお供。実質、牛タンが食べられるということでは? と考え購入を決めた。

白米と牛タンの組み合わせは正義のパワーに満ちている。甘辛くて、ぎゅっと噛みしめると肉の旨味があふれる。深夜の卵かけご飯にこれをかけたら、卒倒してしまうのではないか。おかわりください。

喜久福 ずんだ124円。
喜久福 ずんだ124円。

ずんだ餡に生クリームが入っているなんて、まずいわけがない。呪術に関係する某少年漫画の作中に登場して人気に拍車がかかったと聞けば、食べねばならない。ずんだの豊かな香りとコクある甘みが口に広がり、ホワッと生クリームが溶ける。バラ売りしているので、まずは一個とお試し買いしてみたが、もっと買えばよかったと後悔する味わいだった。

編集シラタキの一点推し

蔵王 クリーミースプレッドバニラ565円。
蔵王 クリーミースプレッドバニラ565円。

「クラッカーやトーストに思う存分塗るように!」と指示をいただいた。シラタキが買い与えてくれたので、100倍くらいに美味しく感じたのだが、それにしても美味しい。

食パンが一気に高級デザートに変わるのだ。バニラの香りが上品で甘すぎず、とろける直前のやわらかさも絶妙。朝からトーストをペロリと何枚でも食べてしまう。クラッカーに塗って、ワインといただくのも罪深かった。

なんてものを教えてくれたのだ、シラタキが憎い。

 

以前、宮城県を満喫できなかった気持ちを晴らすつもりが、また宮城県に行きたくなった。宮城ふるさとプラザの戦略にまんまとハマって、アンテナショップに行く→宮城県に行きたくなる→またアンテナショップに行ってしまうという宮城のループから逃れられなくなってしまったのだ。

住所:東京都豊島区東池袋1丁目2番2号 東池ビル1・2階/営業時間:1F 物販コーナー11:00~20:00/2F 飲食コーナー11:00~22:00 ※変更あり
/定休日:年末年始/アクセス:JR・私鉄・地下鉄池袋駅東口から徒歩2分

取材・撮影・文=福井 晶

1000円で旅に出る。お金がなくても外食できなくても、アンテナショップへ行って目を閉じれば、もうそこは現地だ。いや違うんだけども、ちょっと旅に出た気分になれる。今回は日比谷にある『日比谷しまね館』で、日本酒発祥の地ともいわれる島根県へ行くとしよう。
1000円で旅に出る。お金がなくても外食できなくても、アンテナショップへ行って目を閉じれば、もうそこは現地だ。日本橋にある『三重テラス』で取材をしたら、餃子と意外なドリンクの組み合わせに出合ってしまった。どんな旅になるのやら。