オーナーが集めたさまざまな骨董品
大國魂神社の近くの路面にあった牛乳販売店が『珈琲屋マロコ』として営業を始めたのは1970年。2015年に建物の老朽化で一度閉店したが、2年半のブランクを経て、同じ場所にできた新しいビルで再オープン。店内にある柱時計やランプ、その他さまざまな骨董品は、オーナーの佐野邦男さんが集めたもの。オーナーの佐野さんはよく店に顔を出すそうで、取材時はお会いできなかったが、運良く会えれば、骨董品ひとつひとつの由来を教えてくれることもあるそう。
地元の方々の熱い声で復活
「のれんのデザインや歴代のマッチ箱はみんなオーナーのデザインで、カップやシュガーポットもオーナーの手作りなんです」。そう教えてくれたのは店長の坂口晴美さん。かつて大國魂神社近くのフォーリスという専門店街の中に姉妹店があり、そちらで店長をしていたという。3年くらい『マロコ』から離れていたが、再オープンの際にオーナーから声がかかり、働くことに。「オーナーとしてもまたこの店をやるかどうかすごく悩んだみたいで。普段は機敏で元気ですけど、年齢も75で、あと何年できるだろうかと」。
それでも再開したのはファンからの熱い声があったからだろう。
「地元の方にすごく喜んでいただいて。お店のある場所は府中の駅でも栄えていない方ですが、常連さんには来ていただいていますね」。
再オープン後の新名物たまごサンド
コーヒー豆は、南武線矢川駅近くの自家焙煎コーヒー店『玲音珈琲』から仕入れている。こちらは以前『マロコ』で店長をしていた男性が独立して開いた店舗で「とてもおいしい豆なんです」と坂口さん。中深煎りのマロコブレンド、深煎りのふちゅうブレンド、浅煎りのむさしのブレンドと3種の煎り方から選べる。
今回いただいたのはたまごサンドのセット1155円。このメニューは再オープン後、新しい名物をと坂口さんが考案したもの。「以前はカレーが人気だったんですが、改装後はどうしても厨房が狭くて匂いも店内に広がってしまうので、新たに何か作らなきゃと。それなら玉子はどうだろうって。ゆで玉子じゃなくて厚焼きの玉子を挟んで、ご家庭で食べていないものにしたかったんです」。マロコのたまごサンドは昆布が中に入っていて、砂糖の代わりに甘麹で味付けをし、海苔と一緒に挟んで和風に仕上げてある。
コーヒーとともに味わいたい手作りスコーン
スコーンも坂口さんの手作りで440円。チョコ、くるみ、あんこ、プレーン、抹茶などから2個選べるようになっている。ほろりと柔らかく、優しい甘さで人気があるのもうなずける。時期によってはさくらやマロンといったその季節限定の味も楽しめる。
たまごサンドもスコーンもしっかり食べ応えがあるので、ぜひお腹をすかせて行くのがおすすめ!
構成=フリート 取材・文・撮影=藤村恭子