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profile:湯沢祐介(ゆざわ ゆうすけ)
1980年東京都生まれ。
月に500匹以上のペット撮影を手がける。
七色の声を使い分けてわんちゃんの気を引き、猫じゃらしで猫を操りながら撮影するペトグラファー。
その巧みな猫じゃらしさばきから「猫じゃらしの魔術師」の異名を持つ。
写真教室講師、原稿執筆、テレビ出演、レンタルフォト撮影など多岐にわたる活動をしている。著書多数。
昭和の雰囲気満載ですね。 よくみると猫の置物やシールなど猫モチーフのものが沢山あります。
昭和の雰囲気満載ですね。 よくみると猫の置物やシールなど猫モチーフのものが沢山あります。

店内はテーブル席4席とカウンター席が4席ほど。

私が入店した時のお客さんは大学生ぐらいの若者が1人だけ。

取材がしやすいように比較的空いているであろう14時ちょっと前ぐらいを狙ったのが功を奏しました。

窓際のテーブル席に着席し店内の様子を伺うが今の所看板猫の姿はなし。

マスターに猫は出てくるか聞いてみると「猫の気分次第」との事。そりゃそうだ。だって猫だもの。

 

猫が来る時はここを通るよと教えてくれた猫専用通路。

2階とお店をつなぐ猫専用通路。
2階とお店をつなぐ猫専用通路。

たまたま私の座った席にありました。

これなら猫が突然現れても見逃すことはありません。

 

猫が出てくるまでとりあえず腹ごしらえと言うことでハムサンドとコーヒーのセットを注文。

野菜のシャキシャキ感が最高。ピリっとくるからしの風味がたまりません。

コーヒーカップはどれも猫の絵柄でとってもかわいいです。

飲み干すとカップの底からも猫さん登場。

心の中で思わず「こんにちは」とあいさつしてしまいました。

 

改めて店内を見渡すといたるところに猫グッズが置いてあります。

3枚の看板猫写真の下には店内の様子を描いた絵が。お店の雰囲気に合ったとても温かみのある絵です。
3枚の看板猫写真の下には店内の様子を描いた絵が。お店の雰囲気に合ったとても温かみのある絵です。

しばらくしていると常連らしきお客様がご来店。
マスターと挨拶を交わしながら席に着く。
「いつもの」みたいな感じで注文し、時折マスターと会話をしながら静かに食事をする。

なんかいいなぁ。

そうこうしている間に1匹の看板猫がやって来ました。
専用通路を出て常連さんのいるテーブルの前まで行き、軽く撫でてもらった後に私の靴の匂いをクンクンして、そのまま二階へと戻っていってしまいました。

あららと思っていると先に来ていた大学生らしきお客さんが帰り支度を始めます。
すると「気をつけてね」「またおいで」と優しく声をかけるマスター。
「ありがとうございました」と挨拶して出て行く学生。

 

あぁ、あったかいなぁ。

 

初めて来たのになんか懐かしい感じがしてとても居心地がいい。
あまりの居心地の良さに時間がゆっくりと流れている感覚に陥りました。

その後しばらく猫が姿を現さないのでしばしマスターと会話。

お店はマスターとママさん2人でやっていて、お客さんは常連さんがほとんど。40年通っているお客さんがいるほど地元の常連さんに愛されている喫茶店です。先ほどのお客さんとの距離感を見ていると常連さんが好んで通う理由がよくわかります。

今までも雑誌などの取材は数多く受けて来たようで店内には掲載された雑誌が置いてあります。でも取材を受ける事であまり沢山の人が来るのも困るようで常連のお客さんを大切に、ゆっくりとお店をやっていきたいという思いがあるそうです。とは言え一見さんお断りというわけでもなく、初来店の私にも優しく接してくれました。

気がつけば時刻は15時半。
ママさんが店に帰って来たとほぼ同時に看板猫たちが二階から下りて来ました。

17歳のタモンさん。
17歳のタモンさん。

お店の最年長ねこだけど見た目はまだまだ若いです。

タモンさんお気に入りの場所はおしぼりの保温機の上。
17歳とは思えぬ身軽さで飛び乗ります。

こちらはルンルンさん。

何かを語りかけてます。

ご飯を食べているところを撮ったら「何か用?」とばかりに睨まれました。

近づいてごめんね。

 

そして最後に姿を現したのがニーナさん。

マスターとママさんが「ニーナは下りてこないね」と話していると、その会話を聞いていたかのように下りて来てくれました。

「呼んだ?」と言わんばかりに顔を出す仕草がたまりません。

入店時には姿が見えなかったのでどうなる事かと思いましたが、無事に3匹全員と会う事が出来ました。

猫たちは自分のペースで生活をしているため必ずお店にいるわけではありませんので、気まぐれで下りて来てくれたらラッキーぐらいの心のゆとりを持って行くのがいいでしょう。猫が来ても無理に触ろうとしたりせず、猫たちの自由な姿を眺め、猫のいる空間を楽しみましょう。

仮に看板猫に会えなくてもマスターやママさんとの会話を楽しんだり、
かわいいねこモチーフのカップでコーヒーを飲んだり、
飾られている絵やねこグッズを眺めたりとゆったりと過ごす事が出来ますよ。

『ル・プリーベ』店舗詳細

住所:東京都台東区谷中1-2-16/営業時間:非公開/定休日:不定/アクセス:地下鉄千代田線根津駅から徒歩3分
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<おまけ>

さて取材が終わるとついでに野良猫を探してしまう習性の私ですが、この日はなかなか見つからず近所をウロウロしていると、

ついに野良猫発見!

と思いきや、招き猫の『谷中堂』さんにたどり着きました。

店内には様々な招き猫が置いてありました。

除菌用のスプレーポンプまで招き猫というこだわり!

定番の白黒ペア招き猫1650円。
定番の白黒ペア招き猫1650円。
春限定のペア桜招き猫2200円
春限定のペア桜招き猫2200円

●東京都台東区谷中5丁目4-3。営業時間10:30~17:30、無休。03-3822-2297。

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お隣は姉妹店のカフェ『猫衛門』さん。

店内での飲食のほか招き猫の絵付け体験も出来ます。

4種類の肉球マドレーヌ 1つ 216円。3つセット648円。
4種類の肉球マドレーヌ 1つ 216円。3つセット648円。

散歩途中に焼き菓子を買って食べ歩くのもアリですね。

●東京都台東区谷中5丁目4-2。営業時間11:00~18:00、月曜休。03-3821-0090。

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結局野良猫は見つかりませんでしたが、猫だらけで充分に癒されたので満足な1日でした。

皆さんも谷中をお散歩する際には存分に猫を楽しんでください。

写真・文=湯沢祐介

いまや東京を代表する散歩スポットととなったこのエリア。江戸時代からの寺町および別荘地と庶民的な商店街を抱える「谷中」、夏目漱石や森鴎外、古今亭志ん生など文人墨客が多く住んだ住宅地「千駄木」、根津神社の門前町として栄え一時は遊郭もあった「根津」。3つの街の頭文字をとって通称「谷根千」。わずか1.5キロ正方ぐらいの面積に驚くほど多彩な風景がぎゅっと詰まった、まさに奇跡の街なのである。