『スナフキッチン』のマスター、岩崎茂雄さんは地元愛あふれる小金井っ子。使用する野菜はすべて小金井産、日本酒やワインも小金井銘柄という徹底ぶり。近くに農家があり、多品種栽培な上にスーパーより安いという恵まれた環境だからこそだ。
生でもおいしい伝統野菜や西洋野菜
では毎朝4、5軒ハシゴするという「小金井江戸の農家みち」へと自転車を進めよう。最初は『よこきファーム』。「ここは種類が多くて何でもあり」とマスター。当主の横山喜和さんは12代目だ。この界隈は江戸時代の新田開発によって生まれた農地で、子孫が連綿と大地を守ってきたのだとか。
次の『大堀ファーム』の大堀耕平さんちも300年以上続く。
いずれも一般的な野菜のほか江戸時代から昭和40年代にかけて栽培されてきた江戸東京野菜が並ぶ。「亀戸大根は葉ごと浅漬けに、金町小かぶは煮崩れしにくいので煮物に」などと常連の奥様方が教えてくれるので心配無用。ケールやルッコラなどの西洋野菜や自家製ハチミツ、キウイフルーツ、ミカンなどの果物と種類豊富で目移りする。
『仕立てとおはなし処Dozo』は不思議な空間。戦前の建物に住まう夫婦が居間を開放して、ほのぼのとした時間を提供するカフェ(?)だ。庭先では大家の高橋金一さんが「金菜屋」としてシークワーサーや夏みかんなどの柑橘類を中心に販売。「タネが多いのはしっかり子孫を残そうとして旨味が凝縮している証拠」と教えてくれる。
マスターは野菜の食べ方を指南。「まず生で食べる。おいしかったらサラダ仕立てに。サクサク、コリコリといった歯ごたえや音を楽しむため、細かく切らないのもおいしく食べるコツです」。品数豊富で鮮度もよいものをゲットするには午前中に行く、というのも頭に入れておこう。
〈直売所へ通う〉
〈水をくむ〉
〈農家を知る〉
直売所の裏側は広大な農地であることが多い。向こうの森はそのまま小金井公園。お許しが出れば収穫作業なども見学できるかも。
よこきファーム
大堀ファーム
仕立てとおはなし処Dozo
〈調理する〉秘密のレシピ教えます!
旬の野菜のピクルス
[ 材料 ]4人前 ※カップは米の計量カップを使用
●酢……1カップ
●水……1カップ
●かえし(そばつゆ)……1/4カップ
●はちみつ……1/2カップ
●塩……大さじ1~2
●旬の野菜……今回は、はやとうり・赤カブ・タマネギ・キュウリ
[ 作り方 ]
1. 野菜を食べやすい大きさに切る。
2. 材料を全て合わせ、野菜を漬け込む。
3. 2日目から食べごろに。1週間以内に食べきる。
里芋サラダ
[ 材料 ]
●里芋……6コ(1袋)
●キュウリ……1本
●タマネギ……1/2コ
●塩、コショウ……適量
[ 作り方 ]
1.里芋をふかし、皮をむいてマッシュする。
2.キュウリとタマネギを薄切りにして塩もみをし、水分が抜けたら水洗いして絞る。
3.里芋、キュウリ、タマネギを合わせ、ビネグレットドレッシングを入れて和える。塩コショウで味を調える。
ビネグレットドレッシング
[ 材料 ]
●タマネギ……1コ
●ニンニク……1片
●ワインビネガー……50cc
●EXバージンオリーブオイル……250cc
●ディジョンマスタード……小さじ山盛り1
●塩……大さじ1.5
●コショウ……小さじ1
●カキ油……大さじ1
●乾燥バジル……適量
和風タラトゥイユ
[ 材料 ]
●大根……1/4本
●ニンジン……1/2本
●タマネギ……1コ
●ニンニク……1片
●ナス……2本
●キュウリ……1本
●カットトマト缶……150~200g
●カキ油……大さじ1
●かえし……大さじ2
●油、塩、コショウ、白ワイン、乾燥バジル……適量
[ 作り方 ]
1.大根は5mmくらいのいちょう切り、ニンジンは2mmくらいの半月切り、タマネギは大きめの乱切り、ニンニクはみじん切り、ナス・キュウリは1cmの輪切りにする。
2.大根、ニンニク、ニンジンを油で炒める。
3.しんなりしてきたら、ナス・キュウリを入れる。
4.ナス・キュウリがしんなりしてきたら、白ワイン、カキ油、かえしを入れて下味をつける。
5.野菜に下味がついたらカットトマト缶を入れ、中火で水分を飛ばす。
6.大根の歯ごたえが残る程度で火を止め、塩・コショウで味をととのえ、乾燥バジルを入れてまぜる。
7.1日寝かせる。
『スナフキッチン』
国産そば粉と朝採れ小金井野菜にこだわった創作そばとガレットの店。十割そばは注文を受けてこね、パスタマシンを押して素早く作るので抜群の香りだ。緑のケールそば980円やデザートガレット680円など、和洋折衷料理が楽しめる。
取材・文=工藤博康 撮影=オカダタカオ
『散歩の達人』2021年1月号より