マスターが1人で切り盛りする定食屋『きっちん大浪』
吉祥寺駅から歩いて6分の大通り沿いに『きっちん大浪』はある。大きな商店街から少し離れていることから、周辺は静かで落ち着いた雰囲気だ。
店は、オープンして4年(2020年現在)。この店の前身である飛騨高山の料理店にお客として通い、店を手伝っていた清水さんが大将から引き継ぐ形ではじめ、1人で切り盛り。注文が入るとにわかに厨房が忙しくなる。
黒板には魚料理の定食をメインにつけ麺やカレーライスなど多彩なメニューが並ぶ。魚のマークがついている定食にはお店の特徴でもある「惣菜盛り合わせ」がついてくるので、要チェック。
西京漬けにした鯖と8種類の惣菜の盛り合わせにご飯とお味噌汁がついた鯖の西京焼き定食は、きちんとボリュームがありながら、野菜たっぷりで健康的。ご飯とお味噌汁から上がる湯気をいっぱいに吸い込んで、手を合わせる。
副菜のはずのお惣菜が8品も!?
この日のお惣菜の盛り合わせは8品。盛り合わせる料理は日替わりで、7〜9品もつくというから驚きだ。
(写真中央上から時計回りに)
・ブロッコリーのナッツソース
・ひじきの煮物
・水菜の塩ダレサラダ
・酢玉子
・おからのサラダ
・カバテッリのパスタサラダ
・もみ菜のおひたし
・ぼんじりの塩焼
「1人で全部作っていて電子レンジもないので、魚を焼くあいだ待ってもらうのにお惣菜の盛り合わせをつけています。オープン当初はもっと品数が少なかったんですけど、どんどん増えていって、今が完成形。酒のおつまみとしても重宝されているんですよ」と清水さん。
脂たっぷりの焼き魚を堪能
自家製の鯖の西京焼きはジリジリとたっぷりの脂がにじんでやってくる。丸々とした半身で食べ応えも抜群。西京味噌の焼けた部分が香ばしくて、身もふっくらジューシーだ。
ご飯はなるべく精米したて、味噌汁には前の店の大将に教わった飛騨の味噌を使用し、定食に使う野菜はなるべく地のものを仕入れる。「ご飯のおかわり自由とかはやっていないので、その分美味しいものを出さないと、と思って」と話す清水さん。きちんと美味しいに向き合う姿勢から、清水さんのまっすぐさが垣間みえ、「そうそう、これが食べたかったんだった」という気持ちが湧き上がる。『きっちん大浪』の定食は胃袋の迷子に効く味なのだ。
『きっちん大浪』店舗詳細
取材・文・撮影=福井 晶