町中華探検隊結成のきっかけはカツ丼!

それが、あまり食べないんですよ。

僕も町中華探検隊を始める前は、あまり食べなかった。1人で行くとなかなか頼まないかもね。

よく行く店に揚げ物があるかどうかも大事ですよね。から揚げくらいしかない店も多い。昔は町中華で揚げ物ってそんなになかったかもしれません。

確かに揚げ物自体がない店もありますもんね。

うちは家族で近くの中華屋に行くと、息子がラーメンとから揚げ。絶対から揚げ注文するんですよ。

そういうのが正しい頼み方かも! それでも、カツ丼はめっちゃ食べるなあ。

カツ丼は町中華探検隊でもカレーライス、オムライスとともに「三種の神器」としてよく注文していますね。

もともと町中華探検隊を始めるきっかけになったのも、高円寺の「大陸」が閉店したってことでした。ここはカツ丼が有名だったんですよ。僕はほとんどカツ丼ばっかり食べてました。

そうです、そうです!

カツは脂身が多くて、しょっぱい一昔前のカツ丼。そのタレとおしんこで食べすすめる。そしてとにかく安かったんですよ。

僕が学生の時は300円だった!

安い!

僕が食べてたときも500円以下でしたね。僕は学生の頃、大阪にいただんだけど、その頃から知っていてずっと「大陸」に行きたかったんです。当時、雑誌とかによく載っていたんですよ。

その「大陸」がなくなったことで、これはちゃんと探検しないとということで町中華探検隊ができたんですよね。

そうなんです。「大陸」が閉店したと聞いて、トロ隊長と2人で高円寺に行ったのが2013年の暮れですね。

そう、だから町中華の揚げ物といえばまずカツ丼だよなあ。

そこからすべてが始まった!
忘れられない揚げ物の数々! おいしさの秘訣は揚げ油にあり?

その後取材で行ったところで、どうしても外せない揚げ物はやはり「ブタカラ」ですよね。

荻窪の『ことぶき食堂』(第10回参照)さんの名物、豚の唐揚げですね!

ご主人がわざわざ缶を持ってきて、高級ラードを見せてくれました。

アジフライもおいしいよね。

『ことぶき』さんは、揚げ物が何でもうまいんだよ。

山出隊員もブタカラ好きでしたよね。

取材の1週間後くらいかな、近くを通ったのでこれは行かなきゃと、ブタカラを食べに再訪しました。取材したところで、初めておかわりに行った店ですね。

揚げ物にはそういう魔力があるんだよ。

確かに、確かに! あと、浅草の『やよい』さん(第6回参照)も高級ラードでした。

揚げ物が人気のお店は、ケチケチせずに油やラードもいいものを使っている感じはあるよね。

一方で植物油というお店もありますよね。浅草の『辰巳庵』さん(第12回参照)がそうでした。

そう、植物油だからしつこくないんだよ。カツカレーとか食べても、全然もたれない。

揚げる油に何を使うかというのも、個性が出るってことに最近気づきました。

確かにそうですね。
「揚げ」は腕の見せどころ、もはや町中華の1カテゴリー

あと、揚げ物といえば早稲田の『五芳斉』さん(第11回参照)のから揚げ。あれもおいしかったね。新年会をやったよね。

そう、これは取材は関係ないですけど、町中華探検隊みんなで新年会をやらせていただいて、山ほどから揚げが出てきましたね。

あそこは、エビフライもうまいんだよね。

揚げ物は腕の見せどころでもありますね。僕は新御徒町の『今むら』さんが忘れられません。トンカツがさくさくでした。

トンカツね!

分厚いトンカツでしたね。

『今むら』さんもエビフライがおいしかったですね。そう考えると、揚げ物がおいしい店って、一品がおいしいっていうよりは揚げ物全部がおいしいイメージ。

やっぱり「揚げ」がいいってことなんだな。町中華を語るうえで「揚げ物がいい店」というのは一つのカテゴリーだよね。

そうですね。あと町中華ってフライヤーを置いてないところが多くて、普通に中華鍋で揚げているところが多い。

町中華の揚げ物は腕の見せどころなんですよね。でも、逆に揚げ物はやめちゃった、というお店も多いですよね。

もうお店はなくなってしまいましたが、西荻窪「大宮飯店」さんは、忙しいからと揚げ物は夜だけにしてらっしゃいました。

揚げ物って手間かかるから、やっぱりお店としては大変だよね。そういうこともあって、最初にマグロ副長が言ったように昔の町中華ってそんなに揚げ物はなかった気がするなあ。

ロードサイドにあるような中華屋さんは、セットのから揚げ定食とか揚げ物も多いイメージがあるけれど、確かに町中華ではそんなに多くの揚げ物はやってなかったですね。

でも半澤隊員は揚げ物好きでしょ!

大好きですね。お酒と一緒に頼むことが多いです。

定食屋さんなどほかの揚げ物と、町中華の揚げ物、何が違いますか?

ちろんおいしい店も多いですけど、揚げ物専門店なわけじゃないから本格的なものが出てこない店もありますよね。そんなギャンブル性があるのも町中華の揚げ物の面白さかも。

確かに町中華にはミックスフライ定食とか、あまりないものね。

ないね(笑)。

揚げ餃子はどうですか。

ああ、たまにあるけど主役って感じじゃないよね。

甘酢あんかけがかかっているのもありますよね。あれは好きですね。

甘酢あんかけ!

揚げ物のオイリーな感じをやわらげてくれて、ご飯にも合うんですよ。

揚げ物と酸っぱいものが合うってことですかね?

一番わかりやすいのが酢豚でしょう。荻窪『光陽楼』(第8回参照)の酢豚は揚げ物だけど程よいレモンの酸味が効いていて、全然脂っこくなかった。

そうでしたね!

酸味は、揚げ物をさっぱりさせる効果があるってことですね。
秋葉原『雁川』の巨大油淋鶏は、ネギたっぷりのタレも最高

今回うかがった秋葉原の『雁川』さんは牛すじチャーハンが有名な店ですね。

牛すじの味と、チャーハンが絶妙に合うんですよね。

牛すじチャーハンね。これがまたインスタ映えするんですよ。まぜて食べると本当おいしい。

チャーハンも人気ですが、ここは油淋鶏もうまいんですよ。「油淋鶏DX」という名前でもも肉を一枚観音開きにして揚げているんです。

肉がでかくて厚くて、食べごたえがありましたね。

ソースもおいしくてけっこうつゆだく系です。

酸っぱさがちょうどよかった。酸味が強すぎず、爽やかな味で食べやすいんですよ。ビールと絶対合いますね。

味が濃すぎちゃうと途中で飽きちゃうからね。

僕は定食でご飯いっしょに食べましたが、米にも合いまくりでした。

油淋鶏はネギも大事だね。

本当、そう、ネギの存在が大切。

店によって違うけど、僕は大量にネギがのっているのが好きだね。肉と一緒に食うのがいいんだ。

肉を食べ終わった後に、味のしみたネギとご飯をいただくのもおいしい。

それいいですね。ワンバン系だ!

油淋鶏DXを食べて、町中華の揚げ物が持つ独特の存在感にさらに心引かれました。

町中華の揚げ物というと、から揚げがチャーハンにのっかっている、なんてこともありますね。今はそんなに食べれられないけれど、若者はうれしいだろうなあ。

確かに揚げ物ってどうしても若者のためのメニューでもありますが、今後も体調を整えて(笑)、ずっと食べていきたいですね!
「町中華探検隊がゆく!」の連載は今回で終了です。長い間ご愛読いただきありがとうございました。またお会いできる日をお楽しみに!
構成=半澤則吉 撮影=山出高士
今回は町中華における揚げ物がテーマです。これまで多くの店で揚げ物を食べてきましたね。みなさんは普段、町中華で揚げ物を食べますか?