半世紀にわたって地元に愛される店

純和風の意匠を施した店内。京風の雅さえ感じさせる上品な造りだ。
純和風の意匠を施した店内。京風の雅さえ感じさせる上品な造りだ。

昭和45年(1970)、東急プラザ別館の誕生とともに開業した半世紀の歴史を紡ぐ老舗。親子三世代にわたって訪れる客もいるという地元に愛される店だ。

ユニークな店名は、創業者である先代のニックネームに由来する。「親しみやすく、覚えやすい」というのが命名の理由。当初は、おにぎりが中心の店であったが、時代とともに少しずつ変化し、やがて現在のような釜めし・焼き鳥・うなぎの三枚看板の店となる。

飲食店が連なる蒲田東急プラザ別館の1階にあり、通りに面して入り口があるので利用しやすい。
飲食店が連なる蒲田東急プラザ別館の1階にあり、通りに面して入り口があるので利用しやすい。

魚介スープで炊いた釜めしはお焦げまで旨い

特製五目釜めし1840円は、通常の五目釜めし1220円とは具の種類や数、質が異なる。
特製五目釜めし1840円は、通常の五目釜めし1220円とは具の種類や数、質が異なる。

多くの客が注文するのが釜めし。秋田県湯沢市から直送される「あきたこまち」を、試行錯誤の末に作り上げたいりこ出汁を中心にしたオリジナルの魚介スープで炊くので、ふたを開けたときに出汁の良い香りが鼻をくすぐる。注文を受けてから炊くので20~30分かかるが、厨房のガス台で強火で炊くのでお焦げまでおいしくできる。

釜めし1220円~は、とり、きのこ、あさり、えび、たこ、ほたて、牛など多彩なメニューが揃う。一番人気の特製五目釜めしは、牛肉、エビ、ズワイガニ、ホタテ、ごぼう、しいたけ、錦糸玉子など具だくさん。ふたを開けたときに目に映る豪華な具に、思わず笑みがこぼれることだろう。国産うなぎ使用のうなぎ蒲焼きをのせたうなぎ釜めし2350円は、『梅Q』ならではのメニューといえる。

うなぎ釜めし2350円。写真は身が大きな特製うなぎ釜めし4050円。
うなぎ釜めし2350円。写真は身が大きな特製うなぎ釜めし4050円。

大串の焼き鳥は、釜めしセットがお得!

胸の厚い部分を使う皮260円、プリプリ食感のえび塩390円、鶏肉ミンチと玉ねぎで作ったつくね260円。
胸の厚い部分を使う皮260円、プリプリ食感のえび塩390円、鶏肉ミンチと玉ねぎで作ったつくね260円。

焼き鳥は1本1本店内で串打ちし、丁寧に焼き上げる。食事中心の店なので、「焼き鳥で一杯!」という居酒屋的な客より、食事のサイドメニューとして注文する客が多い。

もも、ねぎま、レバー、皮、つくね、手羽先など、1本から注文できるのもうれしい。1本230~390円。焼き鳥盛合わせ5本1100円、8本1760円。

2代目店主の梅村礁一さん。結婚を機に脱サラして店を継ぐ決意をしたという。
2代目店主の梅村礁一さん。結婚を機に脱サラして店を継ぐ決意をしたという。

『梅Q』の味を楽しむなら、釜めし、焼き鳥2本、豆腐汁、お新香が付く釜めしセット1900円がおすすめ。釜めしは、とり、五目、椎茸、きのこ、じゃこから選べ、追加料金でグレードアップできる。焼き鳥も、もも、砂肝、ねぎま、皮、レバー、つくねから選べる。平日のランチなら、同じ金額で釜めしセットにサラダ、ドリンクが付くお昼のセットもある。

釜めしのイメージが強い店だが、焼き鳥もうなぎも絶品。変化が激しい飲食店街にあって半世紀の歴史を紡ぎ、三代にわたる客がいるというのも、地元に愛される店だからこそ。まさに蒲田の至宝ともいえる名店なのだ。

住所:東京都大田区西蒲田7-69-1 蒲田東急プラザ別館1F/営業時間:11:30~14:00LO・17:00~21:00LO/定休日:不定/アクセス:JR・私鉄蒲田駅から徒歩3分

取材・文・撮影=塙 広明