庶民派商店街にあってひときわ存在感がある小粋な店

朱色ののれんが掛かる門をくぐって店内へ。小さな店だが、この導入部にも期待がふくらむ。

糀谷駅から、おいで通り糀谷商店会を歩いてすぐのところに、小料理屋を思わせるような小粋な造りの店が目に止まる。この外観からも想像できるが、そばと酒が好きな客が集う大人の店だ。

少し照明を落とした店内には、そば屋には珍しいタモの一枚板のカウンターがあり、日本料理店のような雰囲気が漂う。

「私で3代目です。以前は出前もやる普通のそば屋でした。父が亡くなった後は母が継いでいたのですが、私も修業先から戻り、しばらく一緒にやっていました。以前から酒を楽しむ店にしたいと考えていたので、1999年に店をリニューアルして、酒や肴にも力を入れるようになりました」。店主の青山勝久さんが話してくれた。

店内には以前使われていた「きそば」看板が残る。「店のシンボルみたいなものですから大事に飾っています」と青山さんが話す。

店主のこだわりがうかがえる日本酒。まずはそば前を楽しもう

酒を楽しむ店にしたいと語っていた青山さん。日本酒のメニューに並ぶのは、剣岳(富山)610円、東北泉(山形)960円、王禄(島根)1000円など常時5種類ほど。種類は多くないが、いずれも店主が気にいった銘柄ばかりだ。

酒の肴も、いたわさやだしまきなどが揃う「一品」、野菜の天ぷらの盛り合わせや海老天などが揃う「揚げたての天ぷら」、そして当日入荷の刺し身などが並ぶ「本日の馳走」とあり、そば前を楽しむなら、まずはここから1~2品選んで、そばを待つといい。

小粋な日本料理屋を思わせる造り。リニューアルした当時は斬新なインテリアとして注目されたという。
仕切られたテーブル席もあるので、グループや家族連れでの利用にはぜひ予約を。

滋味に富む蔵王竹炭水鴨を使った鴨せいろが絶品!

北海道産そば粉をつかったそばは、細打ち二八のせいろ、荒碾き十割生粉打ちのいなかせいろの2種。季節によって更科そばに柚子や桜の葉などを打ち込んだ変わりそばも登場する。

鴨肉の香りが立ち上がる鴨せいろ1650円。仕上げはそば湯で割って飲み干したい。

この店のそばを堪能するなら、歯ごたえとコシの強さを楽しむせいろと、そばの風味を楽しむいなかせいろを盛り合わせた二色せいろがおすすめ。飼料にこだわり、竹炭で濾過したミネラル豊富な水を与えて育てた蔵王竹炭水鴨。それを使った鴨せいろは、肉の旨味が溶け出したつゆが絶品。鴨の網焼きをつまみに一杯やるのもいい。

住所:東京都大田区西糀谷4-21-17/営業時間:11:30〜14:30・17:30〜21:30LO/定休日:日/アクセス:京急空港線糀谷駅から徒歩2分

取材・文・撮影=塙 広明