お話を聞いたのは……

左から、ヤクルト球団 守谷移転推進グループ・松下祐太郎さん、竹中工務店・立仙(りっせん)康平さん、ヤクルト球団 守谷移転推進グループ・天方一匡さん。

スワローズ愛で満ちた現場

キャベツ畑の先に、何台ものクレーンがあるのが現場だ。
キャベツ畑の先に、何台ものクレーンがあるのが現場だ。

その球場予定地は、キャベツ畑や麦畑も見える広大な田園の先にあった。「農地に3m盛り土して、今は建物の外郭を作る躯体(くたい)工事を進めています」とは、工事を担当する竹中工務店・竹中土木共同企業体の工事長・立仙康平さん。

上空から見た建設地。左から球場、屋内練習場、選手寮兼クラブハウス。
上空から見た建設地。左から球場、屋内練習場、選手寮兼クラブハウス。

構内を案内してもらうと、注意喚起や安全標語の看板、ゴミ置き場や休憩所など、至る所につば九郎!

「職人さんたちの目に留まるように、愛着を持ってもらえるように、つば九郎の力をお借りしています。BGMもスワローズの応援歌や東京音頭をかけているんですよ。工事が終わった頃には全員スワローズファンでしょう(笑)」(立仙さん)

完成前から現場はスワローズ愛で満ちていた。

その名は、「SwallowsWings Square」!

これが二軍球場の全貌だ! 屋内練習場のドームや球場の庇(ひさし)など、細部にツバメをモチーフにしたデザインが施される。隣には守谷市総合公園も開園予定(写真提供=ヤクルト球団)。
これが二軍球場の全貌だ! 屋内練習場のドームや球場の庇(ひさし)など、細部にツバメをモチーフにしたデザインが施される。隣には守谷市総合公園も開園予定(写真提供=ヤクルト球団)。

東京ヤクルトスワローズのホームといえば明治神宮野球場だが、二軍は1977年以来、埼玉県の戸田球場。しかし施設の老朽化と手狭になったこと、そして2019年10月の台風による浸水が決め手となり、移転が計画された。2020年より戸田近辺で場所を探すも見つからず、範囲を広げて出合えたのが、鬼怒川沿い、常総運動公園近くの農地だった。

「神宮へのアクセスも悪くなく、理想の施設をつくるためのまとまった土地を確保できることが大きかったです。自治体の熱烈な後押しもあり2023年11月に移転の基本協定を結びました」と、ヤクルト球団 守谷移転推進グループの松下祐太郎さん。

工事担当者の粋な計らいで、現場の主要通路は「つばくロード」と命名!
工事担当者の粋な計らいで、現場の主要通路は「つばくロード」と命名!

「Swallows Wings Square」という名の7.2haの施設には、売店も備えたメイン球場ほか、実戦練習できる屋内練習場、サブグラウンド、選手寮兼クラブハウス、駐車場も完備。球場観客席は、戸田の約300席に対し、10倍の3000席を確保。二軍のホーム試合は年間約70試合のため、その他の活用も視野に入れてのことだ。また、ナイター照明を新設するのでナイターも可能に!

躯体工事中の屋内練習場。打球の放物線やツバメの躍動感を表現している。
躯体工事中の屋内練習場。打球の放物線やツバメの躍動感を表現している。
建設中の選手寮。入り口の標語看板にもつば九郎!
建設中の選手寮。入り口の標語看板にもつば九郎!

さらに、長方形のサブグラウンドは100×120mもの広さで内野が2面あり、坂道ダッシュができる坂道も作られる。「“ファーム”は練習がテーマ。いかに効率的に練習できるかに注力し、常にキャンプ地のような施設を目指しました。MLBのキャンプ地や他競技の練習施設までしっかり研究しましたね」と松下さん。新人・若手の育成から、不調の一軍選手の再調整まで行ない、選手を一軍に送り出すのが二軍の役割。そこで人工芝や照明など、試合に直結する設備は一軍と同じ仕様にする。

観客席のスタジアムシートは3種類を設置予定。
観客席のスタジアムシートは3種類を設置予定。

ただ、ガチガチな施設でないのが二軍施設のいいところ。気軽に練習や選手を見られる戸田球場のよさを踏襲し、フェンス外の見やすさも意識して設計するという。

「燕心(エンジン)全開」なるスローガンを掲げ、今シーズン好調な東京ヤクルトスワローズ。一方、守谷では駅からの直通バスの整備が進められ、駅周りのフラッグやマンホールにはつば九郎! 街も万全の体制を整えて2027年3月を待つ。優勝の先の開業を夢見て!

守谷駅前のフラッグ。
守谷駅前のフラッグ。
マンホールはは市のイメージキャラクター「こじゅまる」も一緒に。
マンホールはは市のイメージキャラクター「こじゅまる」も一緒に。
住所:茨城県守谷市野木崎/アクセス:つくばエクスプレス・関東鉄道常総線守谷駅西口から車で12分。または市営バス市役所・板井戸ルートで16分の「峰林荘入口」下車17分

取材・文=下里康子 撮影=オカダタカオ
『散歩の達人』2026年7月号より

約36平方キロメートルと茨城県で4番目に狭い市町村の守谷。コンパクトながらも、都市と郊外、田園が絶妙に共存し、移住する人もいっぱい。野鳥の声で目覚め、自然散策に出かけ、地場野菜を味わう。そんな楽しい週末がここに。
1955年、東京都墨田区東向島で精肉店として創業。「おいしい」は「幸せ」をかなえる『藤井商店』は現在、守谷で牧場を営みながら、小売店と生産者、両方の視点を持って日々奔走する。業界全体、ひいては地域全体を幸せにするために。
ヨーグルト専門の『明治なるほどファクトリー』と「スーパードライ」に特化した『スーパードライミュージアム』は、なんと両施設とも日本で守谷だけ。しかも2施設はご近所なので、工場見学をはしごする贅沢(ぜいたく)な楽しみ方も可能!
大小130以上の公園があるという守谷市。住宅地の中で森に出くわすなど、街のゆるやかな空気はこの緑のおかげ……? 今回は公園で過ごす人たちに突撃取材して、5項目を勝手に審査し、『散歩の達人』的「M・V・P(Most・Valuable・Park)~」の3カ所を決定!