揚げたてを絶妙な間合いで。“おまかせ”も楽しめる串揚げ専門店

柏駅東口から歩いて5分。雑居ビルの2階にある串揚げ専門店『串あげ処 しの』には、親子2代で通う常連客も少なくない。

遠くからでもよく見える青い看板が目印だ。
遠くからでもよく見える青い看板が目印だ。

階段で2階にあがると、店主の篠浩次(しのこうじ)さんが「いらっしゃい!」と迎えてくれた。

カウンターとテーブル席があり、人数に合わせて使い分けられる。
カウンターとテーブル席があり、人数に合わせて使い分けられる。

カウンター越しに店主が1本ずつ揚げる串揚げは、ストップをかけるまで提供されるおまかせスタイルがメイン。揚げたてを味わいながら、自分のペースで楽しめるのが魅力だ。

そのほか、牛肉、クルマエビ、カニのキス巻など12本の串と生野菜がつくわかばコース4000円、串15本と生野菜に小鉢とデザートがつくもみじコース5150円がある。

旬の素材を使った季節のオススメ串や、一品料理も提供している。

確かな技術で串揚げを提供する店主の篠さん。休日は乗馬で体と心を整えるのが日課だとか。
確かな技術で串揚げを提供する店主の篠さん。休日は乗馬で体と心を整えるのが日課だとか。

ところで素朴な疑問。食べる速度も、お酒を飲むペースもそれぞれなのに、オーダーをどうやってさばくのか。

篠さんに尋ねてみると「まずは、飲みに来ている人か食事をしに来ている人かを見ます」と話す。さらにコースの種類や、人数などに合わせてグループ分けをし、絶妙なタイミングで串を提供しているという。串を揚げる技術だけでなく、客のペースを読む目も長年の経験が培ったものだろう。

1998年から柏の街とともに。親子2代で通う常連客も

篠さんは修業を経て独立し、1998年に柏で店を構えた。

創業当時の柏は今よりもずっと人通りが多く、今はなき「そごう」や映画館などが街のにぎわいを支えていたという。しかし、つくばエクスプレスの開通や商業施設の変化によって人の流れも変わった。

カウンターは調理風景が見える絶好のポジション! 
カウンターは調理風景が見える絶好のポジション! 

それでも店が続いているのは、長年通う常連客の存在があるからだ。

お子様セットを食べていた子供が、大人になっておまかせコースを楽しむまで成長した姿を見られたり、結婚相手を連れて来たりもする。

「昔、親に連れてきてもらった子が、今は親にご馳走しているんですよ。子供だった頃の記憶があるだけに、なんか胸に迫るものがありましたね」

そう話す篠さんの表情がやわらかい。
話してくれた数々のエピソードが、まるで街のアルバムのように積み重なっている。

細かなパン粉で軽やかに。3串では止められない串揚げ

篠さんの串揚げは、季節ごとの素材が主役だ。春はタケノコや山菜、夏はトウモロコシやハモなど、聞いているだけでも食欲がぐんぐん湧いてくる。

「魚介類も冷凍ものをなるべく使いたくないから、例えばカキでもいいものが入らないと出さないんです」
だから、季節ごとに訪れたくなる。

酒はひと通り揃っているが、レアものは壁のお品書きをチェック。季節のオススメ串はすべて制覇したくなる。
酒はひと通り揃っているが、レアものは壁のお品書きをチェック。季節のオススメ串はすべて制覇したくなる。

この日いただいたのは、アスパラの豚肉巻き、エビのシソ巻き、シイタケ。これらはどのコースでも序盤に登場する定番人気の3品だ。

肉厚のシイタケにエビのすり身を乗せてから衣に包んでいる。ひと品ごとにこうした篠さんの創意工夫があり、食べた瞬間、吐息が漏れる。
肉厚のシイタケにエビのすり身を乗せてから衣に包んでいる。ひと品ごとにこうした篠さんの創意工夫があり、食べた瞬間、吐息が漏れる。
細かいパン粉もこの店の特徴のひとつ。油切れがよく軽いので、「たくさん食べても胃がもたれない」と話す客もいる。
細かいパン粉もこの店の特徴のひとつ。油切れがよく軽いので、「たくさん食べても胃がもたれない」と話す客もいる。
揚げたての串揚げに日本酒・オリジナルしの(小瓶300ml)1100円を添えて乾杯だ。
揚げたての串揚げに日本酒・オリジナルしの(小瓶300ml)1100円を添えて乾杯だ。

調味料はレモン、生野菜におすすめの自家製辛味噌、塩、ポン酢、ソースが用意されている。

まずは、篠さんいわく「シイタケ嫌いの人でも食べられる」というシイタケから。常連の支持も厚いシイタケの上には、マヨネーズにセロリ、タマネギ、パセリを合わせたタルタルソースのような具材がのる。モチッとした食感で、シイタケの旨みはあるが海老の風味と調和しつつ、シャキシャキとした香味野菜がさわやか。

軽く香ばしい衣には素材の旨みがぎっしり詰まっている。
軽く香ばしい衣には素材の旨みがぎっしり詰まっている。

テッパンの組み合わせ、エビのシソ巻きは塩だけでおいしく、豚バラ肉でアスパラを巻き、1本丸ごと揚げたアスパラの豚肉巻きには、豪快にかぶりついた。

串揚げの合間には、生野菜に自家製辛味噌をつけて食べると口の中がリセットされ、気が付けば、もう1本、またもう1本と手が伸びてしまう。

気がつくとポリポリと生野菜をかじりながら、次の季節にはどんなものが出るのか想像していた。こうして筆者はすっかり『串あげ処 しの』の魅力に引き込まれてしまった。

住所:千葉県柏市柏4-4-8 SKビル2F/営業時間:17:00〜23:00LO、土日祝14:00〜22:00LO/定休日:木/アクセス:JR常磐線・東武鉄道東武アーバンパークライン柏駅から徒歩5分

取材・文・撮影=パンチ広沢